外食の特定技能、まだ採れます|交付停止中に動いている転職ルートと申請実務

外食の特定技能、まだ採れます|交付停止中に動いている転職ルートと申請実務
交付停止中の実務

外食の特定技能、まだ採れます|交付停止中に動いている転職ルートと申請実務

「外食の特定技能は止まったから、もう採用できない」——半分は正しく、半分は違います。海外から呼び寄せる在留資格認定証明書の交付は、たしかに停止中です。しかしすべてが止まったわけではありません。入管庁が公表している審査状況では、外食業分野内での転職に伴う変更申請は全ての申請が通常どおり審査されており、在留期間の更新も通常どおりです。本記事では、いま何が動いていて何が止まっているのかを一次情報で整理し、飲食店に残された採用ルートを解説します。

読了 約10分 2026年7月18日更新 行政書士 鹿間英樹
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現在の状況 入管庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」(2026年7月17日掲載)時点の内容に基づいています。この審査状況は随時更新されます。申請前に必ず最新の公表内容をご確認ください。
この記事の結論

止まっているのは「海外から新しく呼ぶルート」だけです。すでに日本で外食業の特定技能1号として働いている人を、自社に迎える——この分野内転職は、入管庁の審査状況で「全ての申請」が通常どおり審査とされています。更新も通常どおり。

つまりいま外食で人を増やせるのは、他社で働いている外食の特定技能人材を採る道です。母数は限られますが、ゼロではありません。そして他店に人が動く側にもなり得る——引き止めの話でもあります。

いま何が動いていて、何が止まっているのか

まず、ご自身の状況がどこに当てはまるかを確認してください。ここを取り違えると、準備がすべて無駄になります。

やりたいこと入管庁の審査状況(2026年7月17日掲載)
海外から新しく呼ぶ
(在留資格認定証明書交付申請)
交付停止中
他社の外食業 特定技能1号を採る
(分野内での転職)
全ての申請が通常どおり審査
いまいる人の在留期間を延ばす
(在留期間更新許可申請)
通常どおり順次審査
技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)から移行受付日が令和8年6月30日までの申請が通常どおり審査
外食業分野の特定活動(特定技能1号移行準備)から移行受付日が令和8年6月30日までの申請が通常どおり審査
留学など、上記以外から変更受付日が令和8年4月12日までの申請が対象。令和8年4月13日以降に受理した申請は原則不許可

「留学生を卒業と同時に外食の特定技能へ」は、いま止まっています

アルバイトで育てた留学生を、卒業後に正社員として——という王道ルートが、現在は使えません。上記の表のとおり、令和8年4月13日以降に受理された「その他の在留資格からの変更申請」は原則不許可とされています。

「試験に受かってから考えよう」では手遅れです。該当しそうな方がいる場合は、いま取れる手を先に確認してください。

なぜ止まったのか

外食業分野の特定技能1号の在留者数が、受入れ見込数の上限である5万人に達する見込みとなったためです。

入管庁は2026年3月27日に「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」を公表し、4月13日には、農林水産大臣から法務大臣に対して交付停止措置の要請がなされたことを受け、入管法第7条の2第4項に基づき一時的に同分野に係る在留資格認定証明書の交付停止措置をとることとしたと公表しました。同日以降に受理した同分野に係る在留資格認定証明書交付申請は不交付とされています。

これは外食だけの話ではありません

特定技能では、分野ごとに受入れ見込数が定められています。入管法では、在留者数が受入れ見込数を超える見込みとなった場合に交付を一時停止する措置を講じることとされており、外食はその仕組みが実際に発動した最初の分野です。

言い換えれば、他の分野でも同じことが起こり得ます。特定技能1号だけに依存した採用設計のリスクが、外食で表面化したということです。

いま動いている「転職」ルート

入管庁の審査状況では、特定技能1号(外食業分野)からの変更申請(外食業分野内での転職)は「全ての申請」が通常どおり審査されるとされています。基準日の限定もありません。

ここが、いま外食で人を増やせる唯一の現実的な道です。

1

すでに要件を満たした人材です

外食業の特定技能1号として在留している以上、外食業特定技能1号技能測定試験と日本語試験にすでに合格しています。試験の心配がありません。日本での就労経験もあり、教育コストが低い。

2

手続きは「変更許可申請」です

転職は在留資格変更許可申請になります。更新ではありません。ここを間違えて期限まで放置すると、在留に問題が生じます。転職先が決まったら、速やかに申請してください。

3

受入れ側の準備は先にできます

協議会加入、営業許可証、支援体制。人材が見つかってから慌てるのではなく、先に整えておけば動きが速くなります。とくに協議会は時間がかかります。

逆から見れば、自社の人材も動きます

分野内転職が全件通常審査ということは、他社が自社の人材を採りに来るということでもあります。海外から呼べない以上、飲食業界は限られた人材を取り合う局面に入っています。

いまいる特定技能人材の処遇を見直すのは、採用活動そのものです。採るより、辞めさせないほうが安く済みます。

外食業で任せられる業務

転職で迎える場合も、任せられる業務の範囲は変わりません。外食業分野は飲食物調理・接客・店舗管理の3つに従事でき、特定技能のなかでも業務の幅が広い分野です。

飲食物調理

  • 食材の仕込み・下処理
  • 加熱調理・非加熱調理
  • 調味・味付け
  • 盛付け
  • ドリンク作成

接客

  • 席への案内・メニュー提案
  • 注文伺い・配膳・下膳
  • 代金受取り・レジ対応
  • 予約受付・電話対応
  • 苦情等への対応

店舗管理

  • 店舗内の衛生管理
  • シフト管理・指導
  • 食材・備品の発注・在庫管理
  • メニュー企画
  • 売上管理・会計事務

関連業務は「付随的に」なら可能です

原材料の受入れ、配達作業、店舗清掃、食器洗浄など、日本人スタッフが通常従事する関連業務にも付随的に従事できます。ただし関連業務のみに専従させることはできません。デリバリー専門で回す、洗い場に固定する——こうした運用は制度の範囲を外れます。

働かせられない場所

風俗営業・性風俗関連特殊営業の営業所は不可

風俗営業を営む営業所、性風俗関連特殊営業を営む営業所での就労、およびそれらの営業所での接待行為はできません。

ただし入管庁の提出書類一覧では、旅館・ホテルで業務に従事する場合の営業許可証や、風営法の風俗営業の営業許可証の写しが提出書類として設けられています。店舗の営業形態によって扱いが分かれる部分ですので、判断に迷う場合は個別にご確認ください。

コンビニエンスストアは対象外です

コンビニは特定技能「外食業」の対象になりません。イートインがあっても同じです。

「うちはどのルートなら動けますか」

いまの状況で申請できるか、できないか。できるなら何が必要か。
まず、そこだけでもはっきりさせてください。

外食業分野の必要書類(第3表)

入管庁の提出書類一覧は、第1表(申請人)・第2表(所属機関)・第3表(分野)を組み合わせる構成です。ここでは外食業分野に固有の第3表を整理します。第1表・第2表は分野共通のため、特定技能の必要書類チェックリストをご覧ください。

第3表|外食業分野に関する必要書類主なもの

チェックボックスは画面上で確認用にお使いいただけます(保存はされません)。提出書類一覧は随時改定されます。申請前に入管庁の最新版をご確認ください。

介護と違い、登録支援機関側の協議会証明書も必要です

分野によって扱いが違います。外食業では、支援計画の実施の全部を登録支援機関に委託する場合、登録支援機関側の誓約書と協議会証明書も提出書類に入っています。一方、介護分野の提出書類一覧には登録支援機関の協議会証明書は含まれていません。

複数分野で受け入れている事業者は、この違いに注意してください。

協議会加入は、申請の前に済ませておく必要があります

協議会の構成員であることの証明書は提出必須の書類です。加入が済んでいないと申請できません。審査には時間がかかるため、人材が見つかってから始めるのでは間に合わないことがあります。

いまは交付停止で採用が止まっている時期です。だからこそ、加入を先に済ませておく。再開したときに、動ける会社と動けない会社が分かれます。

停止中の今、やっておくべきこと

1

いまいる人材を守る

分野内転職が全件通常審査ということは、自社の人材も動けるということです。海外から補充できない以上、離職は直接ダメージになります。処遇の見直しは、いま最も費用対効果の高い採用施策です。

2

更新を落とさない

更新は通常どおり審査されています。逆に言えば、更新を落としたら補充できません。届出漏れや税・社会保険の未納は、更新の審査でマイナスに働きます。今のうちに確認してください。

3

協議会と社内体制を先に整える

協議会加入、支援体制、雇用条件書の整備。再開したときに準備ができている会社から動けます。停止期間は、準備期間でもあります。

4

審査状況を定期的に確認する

入管庁の審査状況は更新されます。2026年5月19日時点と7月17日時点を比べると、通常どおり審査される申請の受付日の基準が前に進んでいます。枠は動いています。止まったまま固定ではありません。

他の分野という選択肢もあります

調理や食品の製造が中心の業務であれば、飲食料品製造業分野が該当する可能性があります。給食センターのような集中調理施設は、原則として飲食料品製造業です。

「外食で止まっているから諦める」の前に、業務の実態がどの分野なのかを確認する価値があります。外食業と飲食料品製造業の切り分けは、接客の有無が一つの目安になります。

よくある質問

外食業の特定技能は、もう採用できないのですか?
すべてが止まっているわけではありません。入管庁が公表している特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況によれば、在留資格認定証明書交付申請は交付停止中ですが、特定技能1号(外食業分野)からの変更申請、つまり外食業分野内での転職については全ての申請が通常どおり審査されています。在留期間更新許可申請も通常どおりです。
なぜ交付が停止されたのですか?
外食業分野の特定技能1号の在留者数が、受入れ見込数の上限である5万人に達する見込みとなったためです。入管法では在留者数が受入れ見込数を超える見込みとなった場合に在留資格認定証明書の交付を一時停止する措置を講じることとされており、2026年4月13日から実施されています。
留学生を外食業の特定技能に切り替えられますか?
2026年7月17日掲載の審査状況によれば、特定技能1号(外食業分野)からの転職、技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)からの変更、外食業分野に係る特定活動(特定技能1号移行準備)からの変更以外の在留資格からの変更申請は、受付日が令和8年4月12日までの申請が通常どおり審査の対象とされ、令和8年4月13日以降に受理した申請については原則不許可とされています。
いつ再開されますか?
再開時期は公表されていません。ただし入管庁の審査状況は更新されており、2026年5月19日時点と7月17日時点を比べると、通常どおり審査される申請の受付日の基準が前に進んでいます。定期的に確認する必要があります。
特定技能2号も停止していますか?
入管庁が公表している審査状況は「特定技能1号(外食業分野)」についてのものです。特定技能2号の取扱いはこの公表内容に含まれていません。2号への移行を検討している場合は、最新の入管庁の公表内容をご確認ください。外食・飲食料品製造の特定技能2号については別記事で解説しています。
デリバリー専門で働かせることはできますか?
できません。デリバリーは関連業務にあたるため、飲食物調理・接客・店舗管理という本来業務と合わせて従事させる必要があります。関連業務のみに専従させることはできません。
アルバイトとして雇用できますか?
できません。特定技能はフルタイムの直接雇用が原則です。パート・アルバイトや派遣での雇用はできません。

料金・サポート内容

特定技能 変更(転職含む)

50,000円

(税別/1名)

特定技能 更新

30,000円

(税別/1名)

※必要書類一式の作成は申請料金に含まれています。着手金0円・申請時点でのお支払いです。在留カード発行手数料等の実費は別途です。書類の状況等で工数が大きく増える場合は、着手前にお見積りをご提示します。

外食業で対応している業務

分野内転職に伴う在留資格変更許可申請/在留期間更新許可申請/必要書類一式の作成/食品産業特定技能協議会の加入サポート/支援計画書の作成/各種届出の作成・提出代行/業務の実態が飲食料品製造業に該当する場合の切り分けと申請

まとめ

この記事のまとめ

  • 止まっているのはCOEだけ——海外からの新規呼び寄せは交付停止中
  • 分野内転職は全件通常審査——いま外食で人を増やせる唯一の現実的なルート
  • 更新も通常どおり——ただし落としたら補充できない
  • 留学等からの変更は原則不許可——令和8年4月13日以降に受理した申請が対象
  • 逆に自社の人材も動く——処遇の見直しは、いま最も効く採用施策
  • 枠は動いている——5月19日版と7月17日版で、通常審査の基準日が前進している
  • 停止期間は準備期間——協議会加入と体制整備を先に済ませた会社から動ける

止まっているのか、動けるのか。まずそこから

分野内転職での受入れ、更新、業務実態の分野判定。
いまの状況で打てる手を整理してご案内します。準備だけのご相談も歓迎です。

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この記事の情報について

本記事は2026年7月18日時点の情報に基づいています。審査状況は出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」(2026年7月17日掲載)を、必要書類は「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧・確認表」を参照しています。いずれも随時更新・改定されるため、本記事の内容は公開時点のものです。交付・許可状況については、入管庁・地方出入国在留管理官署・農林水産省に問い合わせても回答されない旨が公表されています。申請にあたっては必ず入管庁の最新の公表内容をご確認いただくか、専門家にご相談ください。

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