特定技能「介護」の人数制限、足りていますか|受入れ要件・3つの試験・必要書類
特定技能「介護」の人数制限、足りていますか|受入れ要件・3つの試験・必要書類
介護分野で人材を探し始める前に、確認すべきことがあります。特定技能外国人の数は、事業所の日本人等の常勤介護職員の総数を超えられません。そして技能実習生は、この分母に入りません。実習生中心の事業所が「うちは人数が多いから大丈夫」と考えて、実際には枠がなかったというケースがあります。本記事では、人数制限・協議会加入・3つの試験という介護分野特有の要件と、申請の必要書類を、入管庁の提出書類一覧に基づいて整理します。
介護分野で最初に確認すべきは人数制限です。特定技能外国人の数が、事業所の日本人等の常勤介護職員の総数を超えることはできません。次に協議会加入——申請時点で加入済みである必要があり、後追いはできません。そして試験ルートの場合、介護分野は日本語の試験が2種類(日本語能力試験N4以上等+介護日本語評価試験)必要です。この3点を外すと、他の準備がすべて無駄になります。
介護分野の特定技能、押さえるべき5点
| 人数制限 | 特定技能外国人の数が事業所の日本人等の常勤介護職員の総数を超えないこと |
|---|---|
| 協議会 | 申請時点で加入済みであること。証明書が提出必須書類 |
| 試験 | 試験ルートは3つの試験(介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語試験) |
| 特定技能2号 | 介護は2号の対象外。長期就労は在留資格「介護」へのルート |
| 訪問介護 | 2025年4月から対象。追加要件あり |
介護分野特有の受入れ要件
介護分野には、他の特定技能分野にはない上乗せ基準があります。これを満たさないと受入れができませんので、人材を探し始める前に確認してください。
事業所要件
特定技能外国人を受け入れる事業所が、介護等の業務を行う事業所であること。介護保険法に基づく指定を受けた事業所等が対象です。入管への申請では「介護分野における業務を行わせる事業所の概要書」(分野参考様式第1-2号)の提出が必要になります。
人数制限
特定技能外国人の数が、事業所の日本人等の常勤介護職員の総数を超えないこと。「日本人等」には、永住者、日本人の配偶者等、在留資格「介護」の外国人も含まれます。法人全体ではなく、事業所ごとに判断します。
協議会への加入
介護分野の特定技能協議会に加入すること。入管庁の提出書類一覧では「協議会の構成員であることの証明書」が提出必須の書類として指定されており、申請時点で加入済みである必要があります。裏面に就業場所の事業所名や種別コード等が記載されているものが必要です。
人数制限の計算例
| 事業所の常勤介護職員 | 受入れ可能な特定技能外国人 |
|---|---|
| 日本人 5名 | 最大 5名 |
| 日本人 10名 | 最大 10名 |
| 日本人 3名 + 在留資格「介護」2名 | 最大 5名(合計で計算) |
人数制限で間違えやすい3点
技能実習生は「日本人等」に含まれません。技能実習生が何名いても、人数制限の分母には入りません。技能実習中心の事業所が「うちは人数が多いから大丈夫」と考えて、実際には枠がなかったというケースがあります。
常勤換算で数えます。パート・非常勤の扱いは常勤換算によります。
事業所ごとの計算です。法人全体で足し合わせることはできません。複数事業所を運営している場合、事業所ごとに枠を確認してください。
登録支援機関の協議会加入は、介護分野では提出書類になっていません
分野によって扱いが異なります。飲食料品製造業分野や外食業分野では、登録支援機関に支援の全部を委託する場合、登録支援機関側の協議会証明書も提出書類に含まれています。一方、介護分野の提出書類一覧には登録支援機関の協議会証明書は含まれていません。分野をまたいで受け入れている事業者は、この違いに注意してください。
取得ルートと試験|日本語の試験が2つ必要
介護分野で特定技能の在留資格を取得するルートは4つあります。入管庁の提出書類一覧(第3表)では、この4つのうち該当するものを選んで書類を提出する構成になっています。
| ルート | 提出する書類 | 試験 |
|---|---|---|
| 介護福祉士養成施設の修了者 | 介護福祉士養成施設の卒業証明書の写し | 免除 |
| EPA介護福祉士候補者で4年間の在留期間を満了した方 | 直近の介護福祉士国家試験の結果通知書の写し | 免除 |
| 介護職種の技能実習2号を良好に修了した方 (2年10か月以上) | 介護技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写し、または技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号) | 免除 |
| 上記のいずれにも該当しない方 (試験ルート) | 介護技能評価試験の合格証明書の写し 介護日本語評価試験の合格証明書の写し 日本語能力試験(N4以上)の合格証明書の写し、または国際交流基金日本語基礎テストの判定結果通知書の写し | 3つ必要 |
介護分野は、日本語の試験が2種類必要です
他の分野は「技能試験+日本語試験」の2つですが、介護分野は介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語試験の3つです。介護日本語評価試験は、介護現場で使う日本語に特化した試験で、日本語能力試験N4とは別のものです。「N4を持っているから大丈夫」と考えて、介護日本語評価試験を受けていなかったというケースがあります。
介護以外の職種の技能実習生を、介護の特定技能に移行できるか
できますが、免除されるのは日本語試験だけです。ここが見落とされやすいところです。
職種によって、免除される範囲が変わります
介護職種の技能実習2号を良好に修了した場合——3つの試験がすべて免除されます。
介護以外の職種で技能実習2号を良好に修了した場合——提出書類一覧の注記によれば、職種・作業にかかわらず技能実習2号良好修了者(2年10か月以上)であれば日本語試験は省略可とされています。ただしその場合も、技能実習2号良好修了者であることを証明する書類の提出が必要です。そして介護技能評価試験と介護日本語評価試験は、別途合格が必要です。
たとえば農業や食品製造の技能実習生を介護に移行させたい場合、日本語試験は不要でも、介護の試験2つは受けてもらう必要があります。試験のスケジュールを在留期限から逆算してください。
技能実習からの移行全般については、技能実習から特定技能1号への移行|「間に合わない」を防ぐ完全ガイドで、在留期限との逆算や特定活動での延長も含めて解説しています。
「うちの事業所で、何人まで受け入れられますか」
人数制限の枠、協議会加入の状況、試験の要否を整理してご案内します。
要件の確認だけのご相談も歓迎です。
必要書類チェックシート(介護分野)
入管庁の提出書類一覧は、第1表(申請人)・第2表(所属機関)・第3表(分野)の3種類を組み合わせる構成です。ここでは介護分野に固有の第3表を中心に整理します。第1表・第2表は分野共通のため、特定技能の必要書類チェックリストをご覧ください。
第3表|介護分野に関する必要書類試験ルートの場合
チェックボックスは画面上で確認用にお使いいただけます(保存はされません)。協議会の証明書は、裏面に就業場所の事業所名や種別コード等が記載されているものが必要です。
第3表|試験免除ルートの場合(該当するもの1つ)3ルート
いずれのルートでも、誓約書・事業所概要書・協議会証明書は必要です。
「過去に提出済み」なら省略できる書類があります
提出書類一覧の「提出の要否」が△の書類は、留意事項を満たせば省略できます。試験の合格証明書などは、申請人に係る過去の在留諸申請で提出済み(現在も内容に変更がなく、有効期限内のものに限る)であれば省略可能です。その場合、一覧表の「過去に提出した申請情報」欄に、申請年月日と受付番号、または申請年月日と在留カード番号を記載します。
また、同一年度内にすでに特定技能外国人を受け入れている機関は、第2表の書類が提出不要です。2人目以降の申請は、書類がかなり軽くなります。
評価調書が出ない場合は、申請前に相談を
技能実習からの移行で「技能実習生に関する評価調書」の発行が受けられない場合は、申請前に地方出入国在留管理局に相談するよう提出書類一覧に明記されています。実習実施者との関係が良好でない場合に発生しがちです。申請を出してから止まるより、事前に整理しておくほうが確実です。
訪問介護の要件
2025年4月から、特定技能外国人が訪問系サービスに従事できるようになりました。訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などが対象です。
ただし、「特定技能1号だから訪問にも出せる」わけではありません。施設介護とは別の要件が重なります。
資格は要りませんが、研修は要ります
介護福祉士の資格は必要ありません。ここは誤解されがちなところです。
ただし国際厚生事業団の案内によれば、介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等での実務経験等を有する特定技能外国人について、訪問系サービスへの従事が認められるとされています。実務経験は1年以上あることが原則です。
「資格が不要」と「すぐ出せる」は別の話です。初任者研修の修了と実務経験の両方が前提になります。採用の時点から逆算しておかないと、訪問に出せるのは何年も先になります。
事業所側にも、5つの遵守事項があります
本人の要件だけではありません。受入事業所は利用者・家族へ事前に説明を行うとともに、厚生労働省告示に定められた5つの事項を遵守する必要があります。講習の実施、責任者等の同行による訓練、キャリアアップ計画の作成、そしてハラスメントに関する相談窓口の設置と緊急時の連絡体制の整備です。
さらに、訪問系サービスに従事させる前に、協議会事務局へ書類を提出して適合確認書の発行を受ける必要があります。キャリアアップ計画には評価期間1年ごとの更新と提出という継続義務もあります。
詳しくは外国人ヘルパーは訪問介護に出せるか|特定技能の要件と事業所の準備で解説しています。
自社支援か、登録支援機関への委託か
1号特定技能外国人への支援は、自社で行うか登録支援機関に委託するかを選べます。委託費は月額2〜3万円程度が相場で、1人あたり年間24〜36万円。人数が増えるほど、自社支援への切り替えを検討する事業所が増えます。
「受入れ実績がないから自社支援は無理」——そうとは限りません
支援体制の要件は、3つのルートのいずれかを満たせば足ります。「過去2年間の受入れ実績が必須」と誤解されがちですが、それは1つ目のルートにすぎません。
受入れ実績ルート
過去2年間に、入管法別表第1の1の表・2の表・5の表の在留資格をもって在留する中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ役員・職員の中から支援責任者および事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任している場合。
提出書類:受け入れた中長期在留者リスト(参考様式第1-11-2号)、支援責任者の履歴書(第1-20号)、支援担当者の履歴書(第1-22号)等
生活相談業務の経験者ルート
役員又は職員であって、過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有する者の中から、支援責任者および事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任している場合。
自社に受入れ実績がなくても、経験者を採用・配置すれば要件を満たせます。
提出書類:生活相談業務を行った中長期在留者リスト(参考様式第1-11-3号)等
同程度の能力を有すると認められるルート
①又は②と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として認められる役員・職員の中から選任している場合。
提出書類:同程度に支援業務を適正に実施することができる者であることの説明書と、その立証資料
なお、これらの書類は登録支援機関に支援計画の実施の全部を委託する場合には不要です。委託するか自社でやるかで、申請書類の量が変わります。
| 自社支援 | 登録支援機関へ委託 |
|---|---|
| 委託費(1人あたり年間24〜36万円程度)が不要 外国人と直接やり取りできる —— 支援責任者・支援担当者の選任が必要 支援体制の立証書類が申請時に必要 面談記録・届出を自社で作成 | 支援体制の立証書類が申請時に不要 多言語対応を任せられる —— 月額2〜3万円/人 支援の質は機関により差がある 最終的な責任は受入企業に残る |
自社支援に切り替えるべきかどうかの判断材料は、特定技能の自社支援、本当に得か損か|年間180万円の委託費を見直す前にチェックすべき5項目で整理しています。また、登録支援機関の変更を検討している場合は登録支援機関を変更する手続きと注意点もあわせてご覧ください。
2026年1月施行の改正行政書士法にご注意ください
自社支援に切り替える場合も、登録支援機関に委託する場合も、入管に提出する書類の作成を報酬を得て業として行えるのは、行政書士および弁護士に限られます。提出書類一覧にも「弁護士及び行政書士以外の方が、官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たるおそれがある」と明記されています。詳しくは【2026年行政書士法改正】特定技能の書類作成、登録支援機関に任せると違法?をご覧ください。
特定技能2号は対象外|在留資格「介護」へのルート
介護分野に特定技能2号はありません
他の分野には特定技能2号があり、在留期間の更新に上限がなく家族帯同も可能になりますが、介護分野は1号のみです。特定技能1号は通算5年が上限のため、それを超えて働き続けてもらうには別のルートが必要になります。
そのルートが在留資格「介護」です。介護福祉士の国家資格を取得すれば在留資格「介護」に変更でき、更新回数の制限がなくなり、家族帯同も認められます。
事業所として国家試験取得を支援する意味
特定技能「介護」で実務経験を積み、実務者研修を修了して介護福祉士国家試験に合格する——このルートを事業所として支援すれば、5年で帰る人材が、期限のない戦力に変わります。採用コストを考えれば、試験対策の支援は十分に元が取れる投資です。
在留資格「介護」への変更手続きと合格戦略については、特定技能1号「介護」から在留資格「介護」へ|変更手続きと合格戦略で詳しく解説しています。
よくある質問
料金・サポート内容
特定技能 認定・変更
50,000円
(税別/1名)
特定技能 更新
30,000円
(税別/1名)
※必要書類一式の作成は申請料金に含まれています。在留カード発行手数料等の実費は別途です。書類の状況等で工数が大きく増える場合は、着手前にお見積りをご提示します。
介護分野で対応している業務
在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請/必要書類一式の作成/協議会加入手続きのサポート/支援計画書の作成/自社支援への切り替え手続き/各種届出の作成・提出代行/技能実習からの移行対応/訪問介護に対応した要件確認
受入れ後の定期届出(毎年4月1日〜5月31日)も継続してお引き受けしています。介護事業所向けの書類作成体制については【介護事業所向け】特定技能の書類作成|法改正後の正しい対応方法もご覧ください。
まとめ
この記事のまとめ
- 人数制限——特定技能外国人の数は、事業所の日本人等の常勤介護職員の総数を超えられない。技能実習生は分母に入らない
- 協議会加入——申請時点で加入済みであることが必要。証明書は裏面に事業所名・種別コード等の記載があるもの
- 試験は3つ——介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語試験。介護分野だけ日本語の試験が2種類
- 他職種の技能実習からの移行——免除されるのは日本語試験のみ。介護の試験2つは別途必要
- 自社支援の要件は3ルート——受入れ実績がなくても、生活相談業務の経験者がいれば要件を満たせる
- 訪問介護は「資格不要だが研修は必要」——介護職員初任者研修課程等の修了と、原則1年以上の実務経験が前提。事業所側にも5つの遵守事項と適合確認書がある
- 介護に特定技能2号はない——長期就労は介護福祉士取得から在留資格「介護」へ
- 2人目以降は書類が軽い——同一年度内にすでに受け入れている機関は第2表が提出不要
介護分野の特定技能、要件の確認からご相談ください
人数制限の枠、協議会加入、試験の要否、自社支援の可否。
着手前に確認すべき点を整理してご案内します。技能実習からの移行、訪問介護への対応もお引き受けしています。
この記事の情報について
本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。必要書類については出入国在留管理庁「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧・確認表」を参照していますが、同一覧表は随時改定されます。訪問介護の要件をはじめ、運用は変更される場合がありますので、実際の申請にあたっては最新の法令・告示・通知および入管庁の公表内容をご確認ください。個別の案件については専門家にご相談ください。



