【行政書士法改正】特定技能の書類作成は誰に頼む?役割分担と費用

【行政書士法改正】特定技能の書類作成は誰に頼む?役割分担と費用
2026年1月 改正行政書士法 施行 2026年8月更新

【行政書士法改正】特定技能の書類作成は誰に頼むのか
登録支援機関と行政書士の役割分担・費用・依頼の形

2026年1月1日、改正行政書士法が施行されました。在留申請の書類、支援計画書、定期届出——これらを誰が作れるのかの線引きがはっきりしています。ただし「登録支援機関は一切作れない」という単純な話でもありません。条文の要件を正確に押さえたうえで、実務上どう分担するのが現実的かを整理します。

公開日:2026年1月10日 最終更新:2026年8月1日 執筆:行政書士 鹿間英樹

ご相談で最も多いのは「違法かどうか」ではなく、「では、うちはどうすればいいのか」です。支援は登録支援機関、書類作成は行政書士、という分け方が基本になりますが、自社で作成する選択肢もあります。費用と手間を含めて、3つの選択肢を比較できる形にしました。

3つの選択肢自社作成・行政書士・弁護士
直接契約受入企業と行政書士が当事者
50,000円認定・変更許可申請1件(税別)
執筆:行政書士 鹿間英樹(行政書士しかま事務所・東京都行政書士会新宿支部/登録番号 第24080583号)/特定技能・技術・人文知識・国際業務を中心に累計500件超の在留申請に対応

この記事の結論

支援と書類作成を、契約ごと分けてください。
そのうえで、書類作成の頼み先を選びます。

行政書士法は、他人の依頼を受け報酬を得て官公署に提出する書類を作成することを、行政書士(および弁護士)の業務としています。したがって、登録支援機関が支援委託費という報酬のなかで申請書類を作成することは、この規定に抵触するおそれがあります。一方、受入企業が自社の申請として自ら作成することは、他人の依頼を受けたものではないため問題になりません。まず契約と料金を「支援」と「書類作成」に分け、そのうえで書類作成を自社で行うか、行政書士に直接依頼するかを決めるのが、実務上の出発点です。

1. 誰が作成できるのか|条文の要件を正確に

まず条文です。断定的な情報が飛び交っている領域なので、要件から確認します。

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。 行政書士法 第1条の2第1項
行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことができない。 行政書士法 第19条第1項

ここで押さえるべきは、禁止されるのが「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」行う書類作成である、という点です。この3つが揃うかどうかで結論が変わります。

状況評価理由
受入企業の担当者が、自社が受け入れる外国人の申請書類を作成する問題なし他人の依頼を受けたものではありません
外国人本人が自分の申請書類を作成する問題なし同上
登録支援機関が、支援委託費を受けたうえで申請書類を作成する抵触のおそれ他人の依頼を受け、報酬を得て、反復継続して行っていると評価されます
登録支援機関が、受入企業の指示のもとで入力作業を手伝う要注意純粋な補助にとどまるか、内容を判断して完成させているかで評価が分かれます

「無償なら常に適法」と言い切ることもできません。無償であっても、実質的に他のサービスの対価に含まれていると評価されれば報酬性が問題になり得ます。逆に、報酬性がなく反復継続もしていなければ、直ちに違反となるものではありません。個別の判断が必要な領域です。

2026年1月の改正で、名目による回避ができなくなりました

改正により「いかなる名目によるかを問わず」報酬を得て行う書類作成が対象であることが明確化されました。「コンサルティング料」「サポート料」「支援パッケージに込み」といった名目の付け替えでは、評価は変わりません。実態が書類作成の対価であれば同じです。

罰則も定められており、法人に対する両罰規定もあります。

2. 書類ごとの整理

特定技能では扱う書類が多いため、すべてが同じ扱いになるわけではありません。

書類位置づけ
在留資格認定証明書交付申請書
在留資格変更許可申請書
在留期間更新許可申請書
出入国在留管理庁に提出する書類です。第三者が報酬を得て作成することはできません
1号特定技能外国人支援計画書申請の際に提出する書類です。同上
定期届出書・随時届出書官公署に提出する書類にあたります。届出だからよい、ということにはなりません
雇用条件書・雇用契約書受入企業と外国人の契約書面です。契約当事者である企業が作成するもので、性質が異なります
社内の管理帳簿・支援実施記録官公署への提出書類ではありません

申請書類の必要書類全体は特定技能の必要書類チェックリストで整理しています。

届出も対象になる点が見落とされます

在留申請の書類作成は行政書士に切り替えたものの、定期届出や随時届出は従来どおり登録支援機関に任せているというケースがあります。届出書も官公署に提出する書類ですので、同じ整理になります。
定期届出の内容と作成方法は特定技能の定期届出を徹底解説をご覧ください。

3. 受入企業の3つの選択肢と費用

「登録支援機関に任せられない」と分かった後、実際に取り得る選択肢は3つです。

1

自社で作成する

費用はかかりません。ただし申請書類は分野ごとの要件確認、同等報酬の説明、支援計画の設計まで含むため、担当者の負荷は相応にあります。不備があれば追加資料の提出を求められ、結果的に時間を失います。

2

行政書士に直接依頼する

受入企業と行政書士が直接契約し、直接支払います。報酬は事務所によって異なります。当事務所の場合、認定証明書交付申請・変更許可申請が50,000円、更新許可申請が30,000円(いずれも税別)です。

3

弁護士に依頼する

弁護士も書類作成を行えます。紛争性のある事案や、不許可後の対応を含めて相談したい場合に選択肢になります。

4

組み合わせる

支援は自社または登録支援機関、書類作成は行政書士、という形が一般的です。届出だけを外に出す、という切り分けも可能です。

登録支援機関が行政書士に再委託する形は、解決になりません

「うちは行政書士と提携しているので大丈夫」という説明を受けることがあります。しかし、受入企業が登録支援機関に支払い、登録支援機関がその一部で行政書士に委託するという流れでは、報酬を受け取っているのは登録支援機関です。名目を分けても構造は変わりません。

適法にするには、受入企業と行政書士が直接契約し、直接支払う必要があります。登録支援機関が行政書士を紹介すること自体は問題ありません。

4. 「支援費用に含める」がなぜ問題になるのか

実務で最も多いのがこの形です。月額の支援委託費のなかに、申請書類の作成が事実上含まれている状態です。

問題は、費用の内訳が分からないことにあります。支援の対価なのか、書類作成の対価なのかが切り分けられていないため、実態として書類作成の対価を含んでいると評価される余地が残ります。

分けてしまえば、話は単純になります

・登録支援機関への支援委託費:支援業務の対価(書類作成を含まない)
・行政書士への報酬:書類作成の対価(受入企業が直接契約・直接支払い)

この2つが契約書と請求書の上で分離されていれば、それぞれが何の対価なのかが明確になります。企業にとっても、何にいくら払っているのかが見えるようになります。実際、分けた結果として総額が下がった、という例は珍しくありません。

5. 登録支援機関はどうすればよいか

登録支援機関の側から見ると、書類作成から手を引くことは、必ずしも不利益ではありません。

できること避けるべきこと
支援計画の実施(事前ガイダンス、送迎、住居確保、生活オリエンテーション、公的手続の同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、交流促進、転職支援、定期面談)報酬を得ての申請書類・支援計画書・届出書の作成
申請書類の取次(申請等取次者による提出)名目を変えた書類作成の対価の受領
受入企業への行政書士の紹介行政書士への再委託により実質的に作成を担うこと
定期届出のうち、自らが実施した支援の状況に関する記載届出書全体の作成の代行

支援に集中できる、という見方もできます

書類作成は、分野ごとの要件、様式の改正、審査の運用を追い続ける必要がある領域です。ここを外に出せば、本来の支援業務と、受入企業との関係構築に人員を割けます。行政書士との連携体制を先に整えた機関ほど、受入企業に対して安心して提案できるようになります。

連携の具体的な形は登録支援機関の方へ(提携プラン)でご案内しています。

6. 契約書と見積書のチェックポイント

いま結んでいる契約が、どちらの形になっているかを確認してください。

確認する項目見るべき点
支援委託契約に「申請サポート」「書類作成支援」等の項目があるかあれば、その中身が何を指すのかを確認します
料金がパッケージになっていないか「支援費用(申請代行込み)」のような表記は内訳の確認が必要です
行政書士費用が支援機関経由で請求されていないか直接契約・直接支払いになっているかを確認します
誰が書類を作成しているかを把握しているか「支援機関が申請してくれている」の中身が取次なのか作成なのかを分けます
届出の作成体制はどうなっているか在留申請だけ切り替えて、届出が残っていないかを確認します

7. よくあるご質問

Q. 自社の担当者が申請書類を作るのは問題ありませんか。

A. 問題ありません。行政書士法が制限しているのは、他人の依頼を受け報酬を得て業として行う書類作成です。自社が受け入れる外国人について自ら作成することは、これに当たりません。なお、申請書類を入管の窓口へ提出する行為については、申請等取次者としての承認を受けた職員が行う必要があります。

Q. 登録支援機関が無償で作ってくれると言っています。

A. 無償であれば常に問題ない、とは言い切れません。支援委託費という別の対価を受け取っている関係のなかで書類を作成していれば、実質的に報酬を得ていると評価される余地があります。契約と料金の内訳がどうなっているかによりますので、書面を確認したうえでご判断ください。

Q. 登録支援機関が行政書士と提携していれば大丈夫ですか。

A. 契約と支払いの流れによります。受入企業が登録支援機関に支払い、登録支援機関が行政書士に委託する形では、報酬を受け取っているのは登録支援機関です。受入企業と行政書士が直接契約し、直接支払う形にしてください。紹介を受けること自体は問題ありません。

Q. 届出書の作成も対象ですか。

A. 定期届出書・随時届出書も官公署に提出する書類です。在留申請と同じ整理になります。在留申請だけ切り替えて届出が残っているケースが多いので、あわせてご確認ください。

Q. 行政書士に頼むと、いくらかかりますか。

A. 事務所によって幅があります。当事務所では、在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請が50,000円、在留期間更新許可申請が30,000円(いずれも税別)です。定期届出は30,000円(3名まで)、随時届出は1件20,000円です。着手金はいただいていません。

Q. 支援は自社で行い、書類だけ頼むことはできますか。

A. できます。自社支援に切り替えたうえで、申請と届出の書類作成のみを行政書士に依頼する形は増えています。支援体制の要件は満たす必要がありますので、切替えを検討される場合はご相談ください。

ご依頼について

当事務所は特定技能に特化し、来客対応を行わない完全オンライン体制で運営しています。受入企業からの直接のご依頼のほか、登録支援機関からのご紹介にも対応しています。

申請・届出の報酬

表示はすべて税別/着手金なし/1件から対応

在留資格認定証明書
交付申請・変更許可申請
50,000
1名あたり
在留期間更新
許可申請
30,000
1名あたり
定期届出
(毎年4〜5月)
30,000
1所属機関あたり3名まで

定期届出は4名以降、1名につき5,000円を加算します。随時届出は1件20,000円です。入管の手数料等の実費は別途申し受けます。

いまの体制のままで大丈夫か、確認しませんか

「契約書のどこを見ればいいか分からない」「支援は自社に切り替えたいが書類が不安」「届出だけ頼みたい」——このタイミングで多いご相談です。
受入企業の方も登録支援機関の方も、全国オンラインで対応しています。

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参考にした一次情報

行政書士法 第1条の2・第19条・罰則規定
出入国管理及び難民認定法 第19条の18(特定技能所属機関による届出)
出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」
特定技能外国人受入れに関する運用要領(出入国在留管理庁)

本記事は2026年8月1日時点で確認できる法令・公表資料に基づいて作成しています。行政書士法違反に当たるか否かは、契約の内容、報酬の性質、行為の反復継続性など個別の事情により判断されます。本記事は一般的な整理を示すものであり、個別の事案について結論を保証するものではありません。具体的なご事情については当事務所までご相談ください。
執筆:行政書士 鹿間英樹(行政書士しかま事務所/東京都新宿区西新宿4-40-5 西新宿ビューハイツ903)