特定技能2号、部下が足りないと変更できない?指導対象者の数え方と対処法
特定技能2号の指導対象者が足りないとき|部下が2名未満の場合の考え方と対応
特定技能2号の申請では、2026年8月20日から業務内容に関する誓約書(参考様式第1-32号)に、2号の外国人が指導している従業員を記載することになりました。最近多いのが、「2号の試験には合格したが、指導する部下が足りない」というご相談です。この記事では、誰が指導対象者に数えられるのか、足りないときに何ができるのかを、実務の順序で整理します。
- 2号の業務は、技能実習生や1号と同じ作業ではなく、複数の作業員を指導し工程を管理する業務が前提です。指導する相手がいなければ、この前提が成り立ちません。
- 指導対象者に数えられるのは、同一の事業所に出勤し、原則同一の部署に所属するフルタイムの従業員です。日本人社員、技能実習生、1号も対象になり得ます。
- 別の事業所の人、フルタイムでない人、他の2号から指導を受けている人は数えられません。
- 足りない場合は、配置と役割の見直し、申請時期の調整、管轄の入管への事前相談が基本です。理由書だけで実態の不足を補うのは難しいと考えられます。
- 指導対象者の考え方は見直しが検討されています(2026年9月10日追記のQ&A)。申請前に新しい案内が出ていないかを必ず確認してください。
なぜ指導対象者が問題になるのか
出入国在留管理庁は令和8年8月5日、2号特定技能外国人の業務内容についての考え方を公表しました。2号には長年の実務経験で身につけた熟達した技能が求められ、分野別運用方針では「複数の作業員を指導」「工程を管理する業務」などが従事する業務として定められています。技能実習生や1号とは異なる業務に就くことが前提です。
分野別運用方針でも、たとえば建設分野では「複数の建設技能者を指導しながら、(中略)作業等に従事し、工程を管理する業務」、農業分野や飲食料品製造業分野では「複数の技能者を指導しながら、(中略)作業に従事し、工程を管理する業務」が、2号の従事する業務とされています。運用要領(令和8年8月20日改正)でも、2号が通常従事する業務は技能実習生または1号の業務と同一であってはならず、分野ごとに定められた対象者数以上を指導していなければならないと明記されました。
誓約書では、この「指導する業務」の実態を、指導を受ける人の氏名・事業所と部署・役職・指導を受ける職務内容という形で具体的に書くことになります。2号の試験に合格していても、職場で指導する相手がいなければ、2号の業務に就いていることを書面で示せません。
分野ごとの必要人数
様式には、分野ごとに必要な指導対象者の人数が参考として示されています。建設・工業製品製造業・ビルクリーニング・農業・飲食料品製造業・宿泊・造船・舶用工業は2名以上、自動車整備と航空(空港グランドハンドリング)は1名以上、漁業と外食業は記載なしです。記載事項や人数の全体像は、特定技能2号「業務内容に関する誓約書」の書き方で詳しく整理しています。
数えられる人・数えられない人|ケース別
ご相談で多いのは、「この人は数えてよいのか」という判断です。運用要領と様式の条件に当てはめると、次のように整理できます。
同じ班の技能実習生・1号
同じ事業所・同じ部署でフルタイムで働き、2号の方が日々の作業を指導している場合です。最も典型的な指導対象者です。
同じ部署の日本人社員
指導対象者は外国人に限られていません。2号の方が実際に指導している日本人のフルタイム社員であれば記載できます。
パート・アルバイトの従業員
フルタイム勤務ではない者は対象外です。飲食料品製造業や宿泊など、パート比率の高い職場では特に注意が必要です。
別の工場・店舗・拠点の従業員
異なる事業所に出勤している者は対象外です。複数拠点を巡回して管理している場合でも、原則として同じ事業所の人に限られます。
すでに別の2号が指導している部下
在留諸申請の時点で、他の2号特定技能外国人から指導を受けている者は記載しません。2人目の2号を申請するときは、指導対象者を分ける必要があります。
建設などで現場が日々変わる場合
日々の工事現場ではなく、所属する事業所(本社・支店など)と部署で記載する形になると考えられます。ただし公表資料に明確な説明はないため、同じ班で実際に一緒に作業し指導していることを説明できるようにしておきます。
名前を並べるだけの記載は避けてください
人数を満たすために、実際には指導していない従業員の名前を書くことは避けてください。記載内容と実際の内容に相違がある場合は在留資格が取り消される可能性があり、虚偽の記載は特定技能所属機関の欠格事由に該当するとされています。欠格事由に当たれば、2号だけでなく会社の特定技能の受入れ全体に影響します。
人数と一緒に「指導の中身」も書きます
指導対象者の欄には、一人ずつ何について指導を受けているかを記載します。2号本人の欄でも、1号や技能実習生が担当していない指導・作業の割当て・工程管理を具体的に書き分ける必要があります。記載の粒度の考え方は、業務内容に関する誓約書の書き方で整理しています。
誓約書は具体的に書く必要があります
指導対象者の人数がそろっていても、誓約書の書き方で問題が生じることがあります。多いのは、記載が抽象的で、技能実習生や1号との違いが伝わらないケースです。
様式の留意事項では「全て具体的に記載すること」とされ、職務内容の欄には「製造物、収穫物、作業工程など」を書くよう求められています。「作業員」「建設作業に従事」「製造業務」「後輩を指導する」といった一語の記載では、技能実習生や1号と同じ業務に見えてしまいます。
一方で、誓約書は記載内容と実際の内容に相違がある場合は在留資格が取り消される可能性がある書類です。見栄えのよい表現を選ぶのではなく、現場の実態をそのまま、具体的に書くことが前提になります。雇用条件書の業務内容や社内の組織図とも一致している必要があります。
当事務所では、実態を伺ってから作成します
誓約書の文面は、同じ分野でも会社ごとの現場の体制によって変わります。当事務所では、ご依頼いただいた企業様から、配置・役職・日々の指導の内容を丁寧にヒアリングし、分野別運用方針が定める2号の業務に照らして、雇用条件書や組織図と整合する形で作成しています。
特定技能を中心に累計500件超の在留申請に対応してきた経験をもとに、実態に沿った記載をご提案します。
指導対象者が足りないときの4つの対応
配置と役割を見直す
同じ事業所・部署に、指導を受けているフルタイムの従業員が実際に何人いるかを、一人ずつ確認します。班体制がある会社では、2号の方を班長・職長などに置き、班員を指導する体制に改めることで要件を満たせる場合があります。辞令・組織図・雇用条件書の業務内容まで一緒に整えることが前提です。
体制が整うまで申請時期を調整する
採用予定や配置換えの予定がある場合は、体制が整ってから申請する方法があります。1号の在留期限と通算在留期間の残りを確認し、いつまでに体制を整えるかを逆算します。
管轄の入管に事前に相談する
一時的な欠員など個別の事情がある場合は、申請前に管轄の地方出入国在留管理官署へ相談しておくと、進め方の判断がしやすくなります。
理由書で説明できるかを慎重に見極める
欠員の補充中など、一時的な事情の説明には意味があります。一方で、指導する相手が実態としていない状態を、理由書の説明だけで補うことは難しいと考えられます。理由書ありきで申請を急ぐより、体制の見直しを優先してください。
指導対象者の考え方は見直しが検討されています(2026年9月10日追記)
出入国在留管理庁の特定技能制度に関するQ&A(Q102)では、指導対象者が一時的に不足している場合や、フルタイムではない場合などの対応について問い合わせが寄せられており、指導対象者の考え方を含めて内容の見直しを検討している、整い次第速やかに知らせるとされています。
入管庁の「特定技能関係の申請・届出様式一覧」のページでも、この様式について「指導対象者の考え方を含め、内容の見直しを検討しておりますので、整い次第お知らせします」と注記されています。
今後、取扱いが変わる可能性があります。人数が足りないという理由だけで、配置換えや採用を急いで決める必要はありません。申請の直前に、入管庁から新しい案内が出ていないかを確認してください。
「うちの体制で2号にできますか」
指導対象者に数えられる人が何人いるか、どう配置すれば実態に合うか。
申請前の体制確認からご相談いただけます。着手金は不要です。
今申請するか、待つか|判断の目安
指導対象者が足りない状況では、「今申請するか」「体制が整うか、見直しの案内が出るまで待つか」を判断することになります。目安は次のとおりです。
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 必要人数を満たしている | 業務内容と処遇を整理したうえで、通常どおり申請を進めます。 |
| 配置換えで満たせる | 辞令・組織図・雇用条件書を実態に合わせて整えてから申請します。 |
| 採用予定があり、近く満たせる見込み | 1号の在留期限に余裕があれば、体制が整ってから申請するほうが説明しやすくなります。 |
| 1号の在留期限が迫っている | 1号のまま更新できるか、通算在留期間の残りも含めて確認し、2号への変更を急ぐ必要があるかを判断します。 |
| 当面満たす見込みがない | 見直しの案内を待ちつつ、管轄の入管への相談を検討します。 |
個別の事情によって判断は変わります。1号の在留期限と通算在留期間は、在留カードとこれまでの許可の履歴で確認してください。
人数だけでなく「業務の中身」も問われます
人数を満たしていても、2号の方の業務が1号や技能実習生と同じ作業のままでは、誓約書の「技能実習生・1号との職務内容の違い」の欄を書けません。誰を指導し、どの工程で何を判断しているのかを、人数と一緒に確認しておくことが大切です。
すでに2号の人は更新時に注意
誓約書は、在留資格の変更申請だけでなく在留期間更新許可申請でも提出します。2026年8月20日より前に2号になった方も、次の更新の際に誓約書を提出することになります。
更新前に確認したい変化
- 2号になった後に、指導していた部下が退職・転籍していないか
- 2号の方や部下の勤務する事業所・部署が変わっていないか
- 同じ部署に別の2号外国人が加わり、指導対象者が重なっていないか
- 部下の勤務形態がフルタイムから短時間勤務に変わっていないか
在留期限の3か月前を目安に、指導対象者の人数と配置を確認しておくと、必要な対応を落ち着いて検討できます。更新時の確認点は、特定技能2号の更新で問われること|誓約書の記載と実態のずれでも解説しています。
よくある質問
指導対象者は日本人の従業員でもよいですか。
外国人に限られていません。様式では、外国人の場合に在留カード番号を記載することとされており、日本人の従業員も記載できる構造です。同一の事業所に出勤し、原則同一の所属部署に所属するフルタイムの従業員を、実際に指導していることが前提です。
技能実習生や1号特定技能外国人は指導対象者に数えられますか。
同一の事業所・原則同一の所属部署でフルタイムで働き、その2号から実際に指導を受けていれば、記載の対象になります。ただし、すでに他の2号特定技能外国人から指導を受けている者は数えられません。
指導対象者が足りないまま申請するとどうなりますか。
人数の不足がただちに不許可につながるかどうかは、現時点の公表資料からは明確ではありません。ただし運用要領では分野ごとの対象者数以上を指導していることが求められており、審査上の説明負担は重くなると考えられます。指導対象者の考え方は見直しが検討されているため、新しい案内が出ていないかも確認してください。
理由書で人数不足を説明すれば足りますか。
欠員の補充中など、一時的な事情を説明する意味はあります。一方で、指導する相手が実態としていない状態を、理由書の説明だけで補うことは難しいと考えられます。まず配置と役割の見直しを検討してください。
誓約書はどこまで詳しく書けばよいですか。
様式では全て具体的に記載することとされており、職種名だけでは技能実習生や1号との違いが伝わりません。一方で、記載内容と実際の内容に相違があれば在留資格が取り消される可能性があるため、現場の実態に沿って書くことが前提です。雇用条件書や組織図との整合も必要です。
すでに2号の人も確認が必要ですか。
必要です。誓約書は在留期間更新許可申請でも提出します。2号になった後に部下が退職した、事業所が変わったといった事情があると、更新時に人数が足りなくなることがあります。
申請のご依頼と費用
当事務所では、誓約書の作成を含めて2号の申請全体をお受けしています。指導対象者の数え方の確認、配置や役職の整理、雇用条件書との整合まで、申請前の段階からご相談いただけます。なお、誓約書のみの作成や内容確認はお受けしていません。完全オンライン体制で、全国の受入企業様に対応しています。
| 申請の種類 | 報酬 | 備考 |
|---|---|---|
| 在留資格変更許可申請 (特定技能2号へ) | 50,000円 | 1名あたり 誓約書の作成を含む |
| 在留期間更新許可申請 (特定技能2号) | 50,000円 | 1名あたり 誓約書の作成を含む |
| 在留期間更新許可申請 (特定技能1号) | 30,000円 | 1名あたり |
| 初回相談 | 無料 | 体制の確認のみでも可 |
まとめ
この記事のまとめ
- 2号の業務は指導・工程管理が前提——指導する相手がいなければ2号の業務を書面で示せない
- 数えられるのは同一事業所・原則同一部署のフルタイム従業員——日本人社員、技能実習生、1号も対象になり得る
- 数えられないのは3種類——別の事業所、フルタイムでない、他の2号から指導を受けている
- 誓約書は具体的に、実態どおりに書く——職種名だけでは1号との違いが伝わらない
- 足りないときは体制の見直しが先——配置と役割の見直し、申請時期の調整、入管への事前相談
- 理由書だけで実態の不足を補うのは難しい——一時的な事情の説明にとどめる
- 指導対象者の考え方は見直しが検討中——申請の直前に最新の案内を確認する
- すでに2号の人も更新時に誓約書を提出——在留期限の3か月前に人数と配置を確認する
2号への変更・更新をご検討中の企業様へ
指導対象者の確認、配置と役職の整理、誓約書を含む申請書類の作成まで。
全国オンラインで対応しています。準備段階のご相談も歓迎です。
参考にした一次情報
出入国在留管理庁「2号特定技能外国人の業務内容について」(令和8年8月5日)出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月20日改正)
出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(Q102・令和8年9月10日追記)
出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」に掲載の参考様式第1-32号
「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(令和8年1月23日決定)の建設・農業・飲食料品製造業分野
この記事の情報について
本記事は2026年9月19日時点で出入国在留管理庁が公表している情報に基づいています。指導対象者の考え方については見直しが検討されており、今後変更・補足される可能性がありますので、申請にあたっては必ず最新の様式および公式情報をご確認ください。許可の可否は個別の審査によります。個別の事案については専門家にご相談ください。
執筆:行政書士 鹿間英樹(行政書士しかま事務所/東京都新宿区西新宿4-40-5 西新宿ビューハイツ903)



