特定技能2号の転職受入れ|誓約書が求める体制と分野別の必要人数

特定技能2号を転職で受け入れる|誓約書が求める体制と事前確認
受入企業向け 採用前の確認

特定技能2号を転職で受け入れる|誓約書が求める体制と事前確認

2号の人材は試験にも実務経験にも通っているため、即戦力として採用しやすい。しかし2026年8月20日以降、受け入れる側が自社の業務内容と指導対象者について誓約書を作成することになりました。試験に合格した人材を見つけても、自社の事業所に指導対象者がいなければ書けません。採用を決める前に確認しておく事項が増えています。

自社で作成前職からは引き継げない
2名以上多くの分野の必要人数
事業所単位対象者を数える範囲
読了 約8分 更新日:2026年9月5日 カテゴリ:特定技能/2号 執筆:行政書士 鹿間英樹
執筆:行政書士 鹿間英樹(行政書士しかま事務所・東京都行政書士会新宿支部/登録番号 第24080583号)/特定技能を中心に累計500件超の在留申請・届出に対応
この記事の結論
  • 誓約書は受け入れる企業が自社で作成します。前の勤務先で作成されたものを引き継ぐことはできません。
  • 指導対象者は事業所単位で数えます。同一の事業所に出勤し原則同一の所属部署に所属する、フルタイム勤務の従業員が対象です。
  • 分野ごとに必要な対象者数が違います。多くの分野で2名以上、自動車整備分野と航空分野の空港グランドハンドリング区分は1名以上、漁業分野と外食業分野は人数の記載がありません。
  • すでに2号がいる事業所では、対象者を分け合うことになります。同じ人を2人の2号の対象者として重ねて記載することはできません。
  • 転職により所属機関を変更する場合は、在留資格変更許可を受ける必要があります。許可を受けるまで、新しい勤務先での就労は認められません。

転職でも誓約書は自社で作成します

2026年8月20日以降の在留諸申請から、2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書(参考様式第1-32号)の提出が必要になりました。同日付の運用要領改正で、特定技能2号の確認対象の書類として掲げられています。

この誓約書に書くのは、その方が自社で何をするのか、誰を指導するのかです。したがって転職で受け入れる場合も、前の勤務先で作成されたものをそのまま使うことはできません。自社の事業所名、所属部署、役職、指導を受ける対象者の氏名まで、あらためて記載することになります。

記載する内容

  • 2号本人の所属部署名、役職又は地位、具体的な職務内容
  • 技能実習生や1号特定技能外国人との職務内容の違い
  • 指導を受ける対象者の氏名(外国人の場合は在留カード番号も)、事業所及び所属部署名、役職又は地位、指導を受ける職務内容

記載事項の詳細は、特定技能2号「業務内容に関する誓約書」の書き方で整理しています。

「同一であってはならない」が基準です

運用要領では、2号が通常従事する業務は技能実習生または1号特定技能外国人の業務と同一であってはならないとされています。指導業務・管理業務・自らの判断による専門的技術的業務であること、分野ごとに定められた対象者数以上を指導していることも明記されています。

採用の際に「まずは現場に入ってもらって、慣れてから指導を任せよう」と考えていると、この基準に届きません。入社時点から指導・管理の立場に置く前提で採用を組み立てる必要があります。

受け入れられるかは事業所の構成で決まります

指導を受ける対象者として記載できる人には条件があります。運用要領では、次に該当する方は指導の対象者に含まれないとされています。

対象者に含まれない人受入れの場面で問題になる例
異なる事業所に
出勤している者
本社や他店舗の従業員は数えられません。多店舗展開や複数拠点を持つ企業では、配属予定の事業所だけで人数を見る必要があります。
フルタイム勤務
ではない者
パート・アルバイト中心の職場では、数えられる人が想定より少なくなります。
他の2号特定技能外国人から
指導を受けている者
すでに2号が在籍している事業所で2人目を受け入れる場合、対象者を分け合うことになります。

対象者に含まれない人の条件は、様式および運用要領に示されているものです。

分野ごとに必要な対象者数が違います

様式の末尾には、参考として分野ごとの必要な対象者数が示されています。受け入れられるかどうかは、まずここで決まります。

特定産業分野必要な対象者数
ビルクリーニング分野2名以上
工業製品製造業分野2名以上
建設分野2名以上
造船・舶用工業分野2名以上
自動車整備分野1名以上
航空分野空港グランドハンドリング区分は1名以上
宿泊分野2名以上
農業分野2名以上
漁業分野記載なし
飲食料品製造業分野2名以上
外食業分野記載なし

様式に参考として示されている人数です。分野・業務区分によって取扱いが異なりますので、実際の作成にあたっては最新の様式をご確認ください。

漁業分野と外食業分野は人数の記載がありません

様式の注記では、必要な対象者数の記載がない分野・業務区分について、指導を受ける対象者が不在でも差し支えないが、対象者が在籍する場合は必ず記載することとされています。

漁業分野と外食業分野は、この人数の制約を受けません。1店舗あたりの人数が限られやすい外食業にとっては、受入れの判断が大きく変わる部分です。ただし対象者が在籍していれば記載は必要ですし、1号や技能実習生との職務内容の違いを説明する必要がなくなるわけではありません。

自動車整備分野は1名以上、航空分野の空港グランドハンドリング区分も1名以上とされており、2名以上の分野より条件が緩やかです。航空分野の航空機整備区分は、業務の性質上「自らの判断により整備業務を行う」区分であるため、必要数の記載がありません。

なぜ分野で差があるのか

この人数は、分野別運用方針が定める2号が従事する業務の書きぶりに対応しています。

2名以上とされている工業製品製造業は「複数の技能者を指導しながら、製造工程の作業に従事し、工程を管理する業務」、ビルクリーニングは「建築物内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する業務」と定められています。

一方、漁業は「操業を指揮監督する者の補佐、作業員の指導及び作業工程の管理」で「複数の」が付いていません。外食業は「外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)及び店舗経営」で、指導ではなく店舗経営が業務の中心です。

その分野で2号に何をさせることになっているかが、そのまま人数の差になっています。採用の可否を判断する際は、様式の表だけでなく、自社の分野の運用方針も確認しておくと判断がぶれません。

指導対象者の考え方は見直しが検討されています(2026年9月10日追記)

出入国在留管理庁の特定技能制度に関するQ&A(Q102)に、この点についての記載が追加されました。指導対象者が一時的に不足している場合や、指導対象者がフルタイムではない場合などの対応について問い合わせが寄せられており、指導対象者の考え方を含めて内容の見直しを検討している、整い次第速やかに知らせるとされています。

現時点の要件が今後変わる可能性があるということです。受入れを検討している場合は、採用の判断を進める前に、入管庁からの新しい案内が出ていないかを確認してください。人数が足りないという理由だけで、採用そのものを見送る判断を急ぐ必要はありません。

小規模な事業所ほど影響を受けます

同じ分野の会社に転職するのであれば、転職先にはその分野の従業員がいます。問題は、配属予定の事業所単位で人数がそろうかどうかです。

1店舗あたりの人数が限られる業態、フルタイム従業員が少ない工場や事業所では、2名以上という水準に届かないことがあります。会社全体では人がいても、配属先の事業所で足りなければ書けません。

確認は事業所単位で

採用の可否を判断する際は、会社全体の従業員数ではなく配属予定の事業所・部署のフルタイム従業員を数えてください。異動や採用で人数を作れる場合もありますが、時間がかかります。内定を出す前に確認しておくのが安全です。

分野をまたぐ転職は現実的ではありません

特定技能外国人が転職により指定書に記載された特定技能所属機関を変更する場合、または特定産業分野を変更する場合は、在留資格変更許可を受けなければなりません。

このうち分野を変更する場合は、変更後の分野について2号の技能水準を有していることを、試験その他の評価方法により証明する必要があります。実際には、同じ分野内での転職がほとんどです。他分野からの応募を検討する場合は、その分野の2号評価試験に合格しているかを最初に確認してください。

採用前に確認すること

面接や内定の前に見ておきたい5点

  • 配属予定の事業所・部署に、フルタイム勤務の従業員が分野の必要数だけいるか
  • その従業員が、すでに他の2号から指導を受ける扱いになっていないか
  • 入社時点から任せる役職と職務内容が決まっているか
  • その職務が、同じ現場の1号や技能実習生の業務と区別できるか
  • 応募者の指定書に記載された特定産業分野が、自社の分野と一致しているか

3点目と4点目は、雇用条件書の作成にも直結します。誓約書で「職長として複数名を指導する」と記載しながら、雇用条件書上の業務内容や賃金が1号と変わらないままだと、書類間の整合性を問われます。役職と処遇をあわせて設計してください。

欄は「役職又は地位」です

誓約書に書くのは役職名に限られません。欄は「役職又は地位」なので、役職として発令していない場合でも、現場責任者など社内での立場が伝わる書き方であれば記載できます。

ただし、役職を発令しているほうが説明は簡単です。辞令や組織図でそのまま裏づけられます。地位で書く場合は、組織図や職務分掌、処遇との整合を説明できる状態にしておいてください。

避けるべきなのは「社員」「作業員」といった、1号や技能実習生と区別がつかない表記です。

なお、報酬額については、同等の業務に従事する日本人労働者と同等以上であることが特定技能雇用契約の基準とされています。この点は特定技能の「日本人と同等以上の報酬」で整理しています。

手続きの流れと就労開始の時期

1

体制の確認

配属予定の事業所に指導対象者がいるかを確認します。足りない場合は、採用や配置転換に数か月を見込む必要があります。

2

雇用契約の締結

役職、職務内容、報酬を確定させます。誓約書の記載内容と整合する形で作成します。

3

在留資格変更許可申請

誓約書を含む必要書類一式を作成し、申請します。本人の署名が必要な書類があるため、日程に織り込んでください。

4

許可後に就労開始

在留資格変更許可申請中は、変更予定の就労先での就労活動は認められません。入社日は許可の見込みを踏まえて設定します。

許可前に働かせることはできません

在留資格変更許可申請中は、変更予定の就労先での就労活動が認められていません。「申請したから」「もうすぐ許可が出るから」という理由で入社日を前倒しすることはできません。

前職の退職日と入社日の間が空くことになるため、本人にもあらかじめ説明しておいてください。

「うちの事業所で2号を受け入れられますか」

配属予定の事業所に指導対象者がいるか、役職と処遇をどう設計するか。
採用を決める前の段階からご相談いただけます。着手金は不要です。

よくある質問

転職で受け入れる場合も誓約書は必要ですか。

必要です。誓約書は受け入れる企業が自社の業務内容と指導対象者について作成するものです。前の勤務先で作成されたものを引き継ぐことはできません。

小さな事業所では2号を受け入れられませんか。

分野によって異なります。多くの分野で2名以上とされていますが、自動車整備分野と航空分野の空港グランドハンドリング区分は1名以上、漁業分野と外食業分野は人数の記載がありません。人数の記載がない分野・業務区分については、指導を受ける対象者が不在でも差し支えないが、対象者が在籍する場合は必ず記載することとされています。2名以上とされている分野では、同一の事業所に出勤し原則同一の所属部署に所属するフルタイム勤務の従業員がその人数だけ必要になるため、事業所の規模によっては書ける内容が限られます。

すでに2号がいる事業所で2人目を受け入れられますか。

他の2号特定技能外国人から指導を受けている者は、指導の対象者に含まれないとされています。同じ人を2人の2号の対象者として重ねて記載することはできないため、対象者の人数を事業所単位で確認する必要があります。

別の分野の会社へ転職することはできますか。

指定書に記載された特定産業分野を変更する場合は、在留資格変更許可を受ける必要があります。その分野の2号の技能水準を試験その他の評価方法により証明することも求められるため、分野をまたぐ転職は実際には限られます。

申請中に働いてもらうことはできますか。

できません。在留資格変更許可申請中は、変更予定の就労先での就労活動は認められていません。許可が下りてからの就労開始になります。

ご依頼と費用

2号の転職受入れは、書類を作る前に「自社の事業所で受け入れられるか」を確認する作業から始まります。配属先の構成、役職と職務の設計、雇用条件書との整合まで含めて対応します。当事務所は特定技能に特化し、来客対応を行わない完全オンライン体制で運営しています。

申請費用|当事務所の報酬(すべて税別)
手続き報酬備考
在留資格変更許可申請
(転職・2号への移行)
50,000円1名あたり
誓約書の作成を含む
在留期間更新許可申請
(特定技能2号)
50,000円1名あたり
誓約書の作成を含む
家族滞在の申請
(認定・変更)
50,000円1名あたり
初回相談無料受入れ可否の確認のみでも可
着手金は不要です。入管に納める手数料、在留カード発行手数料等の実費は別途となります。受付時間は平日9:00〜18:00(土日祝休)です。

まとめ

この記事のまとめ

  • 誓約書は受け入れる企業が自社で作成する——前職からは引き継げない
  • 指導対象者は事業所単位で数える——本社や他店舗の従業員は含まれない
  • 必要な対象者数は分野で違う——多くは2名以上、自動車整備は1名以上、漁業・外食業は記載なし
  • すでに2号がいる事業所では対象者を分け合う——重ねて記載できない
  • 入社時点から指導・管理の立場に置く前提で設計する——慣れてから任せる、では間に合わない
  • 分野をまたぐ転職は限られる——その分野の2号評価試験の合格が必要
  • 許可前の就労はできない——入社日は許可の見込みを踏まえて設定する

2号人材の採用をご検討中の企業様へ

受入れ体制の確認から誓約書の作成、申請まで。
全国オンラインで対応しています。採用前のご相談も歓迎です。

初回相談無料 着手金0円 全国オンライン対応

参考にした一次情報

出入国在留管理庁「2号特定技能外国人の業務内容について」(令和8年8月5日)
出入国在留管理庁「『特定技能外国人受入れに関する運用要領』の一部改正について」(令和8年8月20日)
出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」
出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」に掲載の参考様式第1-32号

この記事の情報について

本記事は2026年9月5日時点で出入国在留管理庁が公表している情報に基づいています。様式および運用は変更されることがありますので、申請にあたっては必ず最新の情報をご確認ください。許可の可否は個別の審査によります。個別の事案については専門家にご相談ください。

執筆:行政書士 鹿間英樹(行政書士しかま事務所/東京都新宿区西新宿4-40-5 西新宿ビューハイツ903)