特定技能2号の人材を採用する|受入企業に求められる要件と流れ
特定技能2号の人材を採用する|会社側の要件
転職で2号を受け入れるとき、実際に止まるのは会社の側です
「他社で働いている特定技能2号の人を採用したい」というご相談が増えています。2号の方はすでに技能水準の要件を満たしているため、論点は本人ではなく、受け入れる会社の側に移ります。
2号の人材採用が止まる原因は、ほぼ3つに絞られます。自社が協議会に入っていない、業務区分が一致していない、所属機関としての基準を満たしていない。いずれも本人とは関係のない、会社側の事情です。そして、どれも採用を決める前に確認できます。
この記事の結論
2号の採用でつまずくのは、
外国人ではなく会社の側です。
すでに特定技能2号で在留している方を採用する場合、技能水準の証明は済んでいます。残るのは会社側の要件です。分野と業務区分が合っているか、協議会に加入しているか、所属機関としての基準を満たしているか。特に自社がこれまで特定技能を受け入れたことがない場合、協議会への加入が在留諸申請の前提となるため、そこがスケジュールを決めます。なお、2号は支援の対象外なので、登録支援機関への委託費は発生しません。
許可が出るまで、自社では働けません
特定技能は働く会社そのものが在留資格の内容として指定されているため、会社が変わる時点で在留資格変更許可申請が必要です。内定を出しても、雇用契約を締結しても、許可を受けるまで自社での就労はできません。在留資格変更許可申請の標準処理期間は1か月から2か月とされており、その前に会社側の準備期間がかかります。
目次
1. まず確認する4項目
出入国在留管理庁は、受入企業が事前に認定を受ける必要はないとしつつ、外国人本人の在留諸申請の審査において、協議会に加入していることを含め、受入企業が所定の基準を満たしているかが審査されるとしています。つまり会社の審査は、本人の申請の中で行われます。
採用を決める前に、次の4つを確認してください。
分野が2号の対象か
介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は2号の対象外です。工業製品製造業は対象区分が限られています。
業務区分が一致しているか
転職が認められるのは同一の業務区分内、または技能水準の共通性が確認されている業務区分間です。
協議会に加入しているか
在留諸申請の前に構成員となっている必要があります。未加入なら、まずここから始まります。
所属機関の基準を満たすか
労働・社会保険・租税に関する法令の遵守が前提です。社会保険が未加入であれば受入れ自体ができません。
2. 分野と業務区分が合っているか
2号の対象分野
出入国在留管理庁は、特定技能1号の16分野のうち、介護分野、自動車運送業分野、鉄道分野、林業分野、木材産業分野を除く11分野が2号の対象であるとしています。工業製品製造業分野については、機械金属加工区分、電気電子機器組立て区分、金属表面処理区分に限られます。
| 区分 | 分野 |
|---|---|
| 2号の対象 | ビルクリーニング/工業製品製造業(機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分に限る)/建設/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業 |
| 2号の対象外 | 介護/自動車運送業/鉄道/林業/木材産業 |
出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」の記載に基づく整理です。
分野ごとの要件は、それぞれの記事で解説しています
2号の要件は分野によって大きく異なります。自社の分野については、次の記事もあわせてご確認ください。
・外食業・飲食料品製造業の特定技能2号(2号技能測定試験・管理業務の実務経験2年)
・建設分野の特定技能2号(評価試験・班長/職長としての実務経験)
・特定技能2号 完全ガイド(11分野別の要件を一覧で整理)
介護分野には2号がありません
介護は2号の対象外です。長期就労のルートは、介護福祉士の国家資格を取得して在留資格「介護」に変更する一本になります。すでに介護福祉士に合格している方を採用する場合は、特定技能ではなく在留資格「介護」への変更として進めます。詳しくは特定技能1号「介護」から在留資格「介護」へをご覧ください。
業務区分の一致
転職が認められるのは、同一の業務区分内、または試験等により技能水準の共通性が確認されている業務区分間とされています。同じ分野でも、業務区分が異なれば当然に受け入れられるわけではありません。
「同じ製造業だから大丈夫」とは限りません
工業製品製造業のように分野の中に複数の業務区分が置かれている場合、本人が持っている区分と、自社で従事させる業務の区分が一致しているかを確認する必要があります。ここを確認せずに採用を決めると、後から成立しないことが判明します。確認するのは求人票の職種名ではなく、実際に従事させる業務の内容です。
3. 協議会に加入しているか
出入国在留管理庁は、特定技能所属機関は在留諸申請の前に必ず協議会の構成員となる必要があるとしています。加入してから申請、という順序です。
すでに同じ分野で特定技能外国人を受け入れている企業であれば加入済みのはずなので、問題になりません。問題になるのは、自社にとって特定技能の受入れが初めての場合です。
「経験者を引き抜けば早い」という発想は、ここで崩れます
すでに日本で働いている2号人材を採用するのは、海外から新規に呼ぶより手続きが軽そうに見えます。実際、本人側の準備は整っています。ところが自社が初めての受入れであれば、協議会の加入から始めることになり、そこが全体のスケジュールを決めます。本人を探す前に、自社の状態を確認するのが順序として正しいです。
加入の手続きや必要書類は分野を所管する省庁・協議会によって異なります。建設分野のように、協議会とは別に受入計画の認定や業界団体への加入が求められる分野もあります。
4. 所属機関としての基準を満たしているか
受入企業には、特定技能所属機関としての基準が課されます。実務でつまずきやすいのは次の点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社会保険 | 法令上加入すべき事業所が未加入である場合、基準を満たさないため受入れができません。就労させることもできません |
| 労働関係法令 | 労働時間、賃金、安全衛生などの遵守が前提です。是正勧告を受けたことがある場合は、その後の対応状況を説明できる状態にしておく必要があります |
| 租税 | 法人としての納税状況が確認されます |
| 欠格事由 | 過去5年以内の出入国・労働に関する法令違反、暴力団関係など |
| 行方不明者の発生 | 過去に自社の責めに帰すべき事由で行方不明者を出していないか |
受入れ実績の有無で、準備する書類の量が変わります
すでに特定技能を受け入れている企業と、初めて受け入れる企業とでは、提出書類の範囲が変わります。初めての場合は、登記事項証明書、決算文書、労働保険・社会保険関係、税関係の資料など、会社側の書類が一式必要になります。「本人の在留カードと契約書だけ用意すればよい」という手続きではありません。
5. 雇用条件の設計|同等報酬をどう説明するか
報酬は、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められます。2号は熟練した技能を要する在留資格ですので、水準の説明はより丁寧になります。
出入国在留管理庁は、同等報酬の判断について次の順序を示しています。
同等報酬の判断順序
1.賃金規定がある場合は、賃金規定に基づいて判断
2.賃金規定がなく、同等の業務に従事する日本人がいる場合は、その日本人と比較
3.同等の業務の日本人はいないが、近い業務を担う日本人がいる場合は、役職・責任の程度を踏まえて報酬差が合理的に説明されているか、年齢・経験年数を比較しても妥当かを検討
4.比較対象の日本人もいない場合は、当局が保有する近隣同業他社の特定技能外国人の報酬額と比較
比較対象がいない会社ほど、説明が重くなります
4の段階になると、企業側からは比較対象が見えません。賃金規定を整備しておくか、比較できる日本人従業員の資料を用意しておくほうが、説明が安定します。前職の給与をそのまま引き継ぐ設計にすると、2号としての水準を説明しにくくなる点にもご注意ください。
その他の制約
労働者派遣の形態で受け入れられるのは農業分野と漁業分野に限られます。また、特定技能外国人はフルタイムで業務に従事することが求められるため、複数の企業と雇用契約を締結して就労することはできず、別の会社でのアルバイトも認められていません。
6. 2号だから不要になるもの
1号との比較で、企業にとって負担が軽くなる部分があります。
支援計画も、登録支援機関への委託も不要です
特定技能2号は支援の対象外です。したがって、支援計画の作成も、登録支援機関への委託も必要ありません。1号で月額の支援委託費が発生していた場合、その負担がなくなります。ただし、支援に関する基準が外れるだけで、所属機関としての基準そのものは引き続き満たす必要があります。
また、2号には在留期間の上限がなく、要件を満たせば家族(配偶者・子)の帯同も認められます。付与される在留期間は3年、2年、1年または6か月です。長期雇用を前提とした採用がしやすい在留資格です。
7. 本人がすでに退職している場合
採用の相談をいただく時点で、本人が前職を退職しているケースもあります。この場合の在留について、出入国在留管理庁は次のとおり整理しています。
失業しても、直ちに帰国する必要はありません
特定技能外国人が失業した場合であっても、就職活動を行うのであれば、少なくとも在留期間内は在留することが可能とされています。雇用契約が満了した場合も同様で、再雇用や転職により新たに特定技能雇用契約が締結されれば、在留期間の範囲内で引き続き在留が認められます。
ただし3か月が一つの目安になります
3か月以上就職先を探すことなく在留しているなど、正当な理由なく3か月以上「特定技能」に係る在留活動を行っていない場合には、在留資格が取り消されることがあるとされています。在留期限が近い場合や空白期間が長引きそうな場合は、早めにご相談ください。実務上、転職の準備期間について「特定活動」への在留資格変更が認められる例もありますが、認められるかどうかは個別の事情によります。
8. よくあるご質問
Q. 自社は特定技能を受け入れたことがありません。2号なら支援が不要なので、すぐ受け入れられますか。
A. 支援は不要ですが、協議会への加入は必要です。在留諸申請の前に構成員となっている必要があるため、未加入であればそこから始まります。あわせて、社会保険の加入状況や同等報酬を説明できる賃金体系など、所属機関としての基準を満たしているかの確認も要します。
Q. 本人はすでに2号を持っています。入社日はいつに設定できますか。
A. 在留資格変更許可の後になります。標準処理期間は1か月から2か月とされており、その前に協議会加入と書類準備の期間がかかります。逆算する際は、審査期間だけで見積もらないでください。
Q. 前職と同じ分野であれば、業務区分は気にしなくてよいですか。
A. 確認が必要です。転職が認められるのは同一の業務区分内、または技能水準の共通性が確認されている業務区分間とされています。分野が同じでも区分が異なる場合は成立しないことがありますので、実際に従事させる業務の内容で確認してください。
Q. 給与は前職と同じ額で問題ありませんか。
A. 日本人が同等の業務に従事する場合と同等以上であることが必要です。前職の額をそのまま引き継ぐ設計だと、自社の賃金体系のなかで2号としての水準を説明しにくくなる場合があります。賃金規定や比較対象となる日本人従業員の資料を踏まえて設計されることをおすすめします。
Q. 派遣で受け入れることはできますか。
A. 労働者派遣の形態が認められているのは農業分野と漁業分野のみです。その他の分野では直接雇用が前提になります。
Q. 社会保険に未加入なのですが、受け入れられますか。
A. 法令上加入すべき事業所であれば、未加入のままでは基準を満たさず、受入れができません。就労させることもできません。加入手続きを進めたうえで受入れを検討してください。
申請のご依頼について
当事務所は特定技能に特化し、来客対応を行わない完全オンライン体制で運営しています。自社が受け入れられる状態にあるかの確認段階からご相談いただけます。
特定技能の申請費用
表示はすべて税別/着手金なし
(2号人材の受入れ)
交付申請
許可申請
入管の手数料等の実費は別途申し受けます。分野・在留状況により個別のお見積りとなる場合があります。
採用を決める前に、自社の要件をご確認ください
「協議会に入る必要があるのか」「業務区分は合っているか」「この給与額で説明がつくか」——採用の可否とスケジュールを左右する部分です。
内定を出した後で成立しないと分かるより、先に確認したほうが確実です。全国オンライン対応です。
参考にした一次情報
出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」特定技能外国人受入れに関する運用要領(出入国在留管理庁)
出入国管理及び難民認定法 別表第一の二の表(特定技能)
本記事は2026年8月1日時点で確認できる法令・公表資料に基づいて作成しています。分野ごとの要件や協議会の運用は変更されることがありますので、実際のご対応にあたっては最新の情報をご確認いただくか、当事務所までご相談ください。個別の事情により結論が異なる場合があります。
執筆:行政書士 鹿間英樹(行政書士しかま事務所/東京都新宿区西新宿4-40-5 西新宿ビューハイツ903)

