外国人採用「オファー前」に必須ビザ経歴チェックと内定取消しリスク回避法
外国人採用でビザが取れなかったときのために|内定前に確認しておく7項目
良い候補者を見つけて内定を出し、そこから在留資格の手続きに入って不許可になる。この順序で進めると、採用計画がやり直しになるだけでなく、候補者との関係も難しくなります。防ぐ方法は単純で、内定を出す前に在留資格上の論点を確認しておくことです。この記事では、確認すべき7項目と、採用プロセスへの組み込み方を整理します。
この記事のポイント
順序を変えるだけで防げます。内定を出してから在留資格の手続きに入るのではなく、最終候補者に絞った段階で在留資格上の論点を確認します。確認に必要な情報は、採用選考の過程で既に集まっているものがほとんどです。
技術・人文知識・国際業務で論点になりやすいのは、学歴・職歴と予定業務の対応関係です。候補者の経歴が優れていても、担当してもらう業務との対応が説明できなければ審査で問題になります。ここは内定前でなければ配置の調整ができません。
事前に確認しても、許否を保証することはできません。判断するのは地方出入国在留管理局です。事前確認でできるのは、説明を求められそうな論点を洗い出し、必要な補強資料を整理し、対応できない事情を早い段階で把握することです。
内定後に不許可になると何が起きるか
在留資格が下りなかった場合、企業側に生じるのは次のような実務上の影響です。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 採用計画の遅延 | 配属予定の時期に人員が埋まらず、再募集から選考をやり直すことになります。分野によっては次の採用機会まで数か月空きます。 |
| 採用コストの喪失 | 紹介手数料、選考の工数、手続きに要した費用が回収できません。海外からの受入れでは渡航関連の準備が進んでいることもあります。 |
| 内定を取り消す場合の取扱い | 内定の労働契約上の位置づけや、取消しの有効性が論点になります。この判断は労働法の領域であり、弁護士にご相談ください。 |
| 候補者との関係 | 候補者にとっても在留や就職の予定が崩れます。次項のとおり、手続きへの協力が得られなくなることがあります。 |
不許可の理由は「経歴の情報が足りていなかった」ことが多いです
当事務所がこれまで扱った案件を振り返ると、審査で問題になったケースは、申請の準備段階で申請人の経歴に関する情報が十分に把握できていなかったことに起因していました。企業側も紹介元も把握していなかった事情が、審査の過程で明らかになる形です。情報の把握が早ければ、説明資料を用意するか、配置を調整するか、その候補者では進めないという判断ができます。順序が逆になると、この選択肢がなくなります。
申請人と連絡が取れなくなる問題
実務でよく起きるのが、手続きの途中で申請人と連絡が取れなくなるケースです。追加の書類提出をお願いした段階で返信が止まる、という形が典型です。
連絡が取れないと、手続きが止まったまま在留期限が進みます
在留資格の申請には申請人本人が用意する書類が含まれます。本人の協力が得られないと、企業側だけでは手続きを進められません。すでに前職を退職している方の場合、その状態が続くと在留期限の問題に直結します。企業としても、内定を維持するのか取り消すのか判断できないまま時間が過ぎることになります。
連絡が途絶える背景はケースごとに異なりますが、本人が在留資格の見通しに不安を持っている場合、追加書類の依頼が引き金になることがあります。本人が説明しにくい事情を抱えている可能性を、内定前に確認しておく意味はここにもあります。
内定前に確認しておく7項目
確認するのは次の7項目です。いずれも在留資格の手続きで説明が必要になる事項に限定しています。
1. 学歴と専攻内容
卒業した学校の種類(大学、短期大学、専門学校、海外の教育機関)と、実際に何を学んだかです。学校名や学位だけでなく、履修した科目の内容まで確認します。成績証明書があると精度が上がります。
2. 職務経歴
これまで従事してきた業務の内容、役職、期間です。学歴で説明できない場合に、実務経験で要件を満たせるかの検討材料になります。
3. 学歴・職歴と予定業務の対応関係
技術・人文知識・国際業務では、ここが審査の中心になります。候補者に担当してもらう予定の業務が、その方の専攻や実務経験と対応しているかを確認します。対応が弱い場合、業務内容の設計を見直すか、対応関係を説明する資料を用意する必要があります。内定後では配置の調整が難しくなるため、この項目こそ内定前に確認すべきものです。審査の傾向は技人国ビザの審査厳格化で解説しています。
4. これまでの在留資格の経緯
どの在留資格で、どの期間日本に在留してきたかです。在留資格の変更履歴、決定されてきた在留期間の長さ、過去に不許可を受けたことがあるかを確認します。在留期間が短く決定されている場合、その理由が次の審査にも影響します。
5. 転職回数と空白期間
転職の回数と、就労していない期間の有無です。空白期間があること自体が問題になるわけではありませんが、その期間に何をしていたかを説明できる状態にしておく必要があります。
6. 資格外活動の状況(留学生の場合)
留学の在留資格でアルバイトをしていた場合、資格外活動許可の範囲内であったかを確認します。原則として週28時間という上限があり、超過していた場合は審査で説明を求められます。複数の勤務先で働いていた方は、合算での確認が必要です。
7. 申請書に申告する事項の事前確認
在留資格の申請書には、賞罰の有無や過去の出入国に関する事項など、申請人本人が申告する欄があります。本人が申告すべき内容を、本人から事前に確認しておくという項目です。企業が独自に調査するものではありません。申告漏れがあると審査に大きく影響するため、申告事項の意味を本人に理解してもらうこと自体に価値があります。
確認の結果としてお渡しするもの
審査で説明を求められそうな論点の整理、必要な補強資料の一覧、業務内容や配置について検討すべき点、そして進め方の選択肢です。許否の予測や見込みの数値をお出しすることはしません。判断するのは地方出入国在留管理局であり、事前に結果を保証できる性質のものではないためです。
採用プロセスへの組み込み方
タイミングは、最終候補者に絞り込んだ後、内定を通知する前です。
- 書類選考・面接
通常どおり進めます。この段階で職務経歴書と学歴に関する情報は集まっています。
- 最終候補者に絞り込む
複数名を比較する段階では、まだ事前確認は不要です。絞り込んでから行う方が効率的です。
- 在留資格の事前確認
候補者に趣旨を説明し、必要書類をご提供いただきます。ここで論点が見つかった場合は、業務内容の調整や補強資料の準備を検討します。対応できない事情があれば、この段階で分かります。
- 内定通知
在留資格の見通しについて論点を把握した状態で、内定を通知します。
- 在留資格の申請
事前確認で整理した資料をそのまま申請の準備に使えるため、着手から提出までが短くなります。
必要な書類
職務経歴書、最終学歴の卒業証明書と成績証明書、在留カードの写し、パスポートの出入国記録の部分、前職の退職証明書(該当する場合)です。多くは選考の過程で既に受け取っているものです。
候補者への説明と、確認してはいけないこと
候補者には、入社手続きを円滑に進めるための確認である旨を伝えるのが自然です。次のような説明が使えます。
説明の例
「採用を前向きに検討しています。入社の手続き(在留資格の申請)を円滑に進めるため、行政書士を交えて必要な事項を事前に確認させていただけますか。ご本人にとっても、入社後に在留資格の不安を抱えずに済むという利点があります。」
採用選考で把握すべきでない事項があります
家族構成、家庭環境、出生地、信条など、本人に責任のない事項や思想信条に関わる事項は、採用選考において把握すべきでないとされています。事前確認は、在留資格の手続きに必要な範囲に限定してください。この記事で挙げた7項目は、いずれも在留資格の申請で説明が必要になる事項に絞っています。「在留資格の手続きのために必要な確認」と「採用選考のための情報収集」を混ぜないことが重要です。
賞罰等は本人が申告する事項です
7項目の最後に挙げた申告事項の確認は、申請書に本人が記載する内容を本人から聞くという趣旨です。企業が独自に候補者の犯罪歴を調査することを勧めるものではありません。調査の主体と方法によっては別の問題が生じるため、確認はあくまで本人からのヒアリングによります。
この候補者で進めて大丈夫か、から相談できます
「内定を出す前に在留資格の見通しを確認したい」「すでに手続き中だが連絡が取れなくなった」といった段階のご相談に対応します。進め方のご相談だけであれば初回相談は無料です。全国どこからでもオンラインで対応します。
よくある質問
料金・サポート内容
| サービス | 料金(税別/1名) |
|---|---|
| 内定前の事前確認 | 20,000円 |
| 上記のうち、申請までご依頼の場合 | 申請料金に充当 |
| 技人国|認定証明書交付申請・変更許可申請 | 80,000円 |
| 技人国|在留期間更新許可申請 | 40,000円 |
| 特定技能|認定証明書交付申請・変更許可申請 | 50,000円 |
| 特定技能|在留期間更新許可申請 | 30,000円 |
| 初回相談 | 無料 |
事前確認では、論点の整理、必要な補強資料の一覧、業務内容や配置について検討すべき点をお示しします。許否の予測や見込みの数値はお出ししません。申請までご依頼いただく場合は事前確認の費用を申請料金に充当するため、追加のご負担は発生しません。申請書類一式の作成と申請取次は申請料金に含まれます。更新申請の料金は同一の勤務先で継続して就労する場合(転職を伴わない更新)のものです。許可時に納付する手数料等の実費は別途です。進め方のご相談だけであれば初回相談は無料です。
この記事のまとめ
- 内定を出す前に在留資格上の論点を確認すれば、業務内容の調整や資料の準備という選択肢が残る
- 技術・人文知識・国際業務で中心になるのは学歴・職歴と予定業務の対応関係
- 審査で問題になる事案は、申請人の経歴に関する情報が事前に把握できていなかったことに起因することが多い
- 手続き中に申請人と連絡が取れなくなると、企業側だけでは手続きを進められない
- 確認するのは在留資格の手続きに必要な7項目に限定する。家族構成など選考で把握すべきでない事項は含めない
- 賞罰等は本人が申請書に申告する事項を本人から確認するもので、企業が調査するものではない
- 事前確認でも許否は保証できない。判断するのは地方出入国在留管理局
- 内定取消しの有効性など労働法上の判断は弁護士の領域
この記事の情報について
本記事は2026年7月時点の法令・運用に基づく一般的な情報提供です。在留資格の許否は個別の事情により判断され、事前の確認によって結果を保証するものではありません。内定の労働契約上の位置づけ、内定取消しの有効性、損害賠償の可否といった労働法上の判断は行政書士の取扱範囲外であり、本記事では扱っていません。該当する事案は弁護士にご相談ください。採用選考における情報収集の適法性についても、個別の判断が必要です。制度・運用は随時変更されるため、実際の検討にあたっては最新の公表内容をご確認のうえ、専門家にご相談ください。
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