特定技能の年間スケジュール|採用後に企業がやることを時系列で解説
特定技能を採用したら、1年間で何をするのか
入社前から更新申請まで、企業に発生する手続きの時間軸
特定技能は、採用したら終わりではありません。3か月ごとの面談、14日以内の届出、毎年4月からの定期届出、在留期間ごとの更新申請。それぞれ別の記事で解説されていますが、企業が知りたいのは「いつ、何が来るのか」という順番のはずです。
受入れ後に発生する手続きは、周期の違う4つが並行して動きます。3か月ごと・随時・毎年・在留期間ごと。これらを一本の時間軸に並べると、自社で回せる量なのかどうかが見えてきます。この記事は、その全体像を1ページで確認できるようにしたものです。
この記事の結論
採用は入口にすぎません。
本番は、そのあと毎年続く手続きです。
特定技能では、受入れ後に周期の異なる手続きが並行して発生します。3か月ごとの定期面談、事由が生じたら14日以内の随時届出、毎年4月1日から5月31日までの定期届出、そして在留期間ごとの更新申請。1人受け入れるだけなら回せますが、人数が増えると期限が重なり、管理の問題に変わります。まず全体像を把握し、自社で回す範囲と外に出す範囲を決めてください。
落とすと痛いのは、届出よりも更新申請の期限です
届出の遅れは、遅延理由書を添えて速やかに提出すれば受け付けられます。一方、在留期間の更新は期限を過ぎると在留自体が続けられません。特定技能1号の在留期間は3年を超えない範囲で個別に指定されるため、1年の人も2年の人も3年の人も出てきます。人によって満了日がばらばらになります。人数が増えるほど、誰の期限がいつ来るかを把握しておく必要があります。
目次
1. 年間スケジュールの全体像
まず一覧です。周期ごとに整理しています。
| 時期 | やること | 内容・期限 |
|---|---|---|
| 入社前 | 事前ガイダンス | 在留諸申請の前に実施。労働条件、活動内容、入国手続、保証金徴収の有無等を説明 |
| 入社前 | 協力確認書の提出 | 活動する事業所の所在地・住居地が属する市区町村へ提出 |
| 入社前 | 在留諸申請 | 認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請 |
| 入社時 | 出入国の送迎 | 海外から入国する場合、港・飛行場での送迎 |
| 入社直後 | 生活オリエンテーション | 入国後(変更後)遅滞なく実施 |
| 入社直後 | 住居確保・生活契約の支援 | 住居、銀行口座、携帯電話等 |
| 入社直後 | 公的手続への同行 | 住居地の届出、社会保険、税など。必要に応じて |
| 3か月ごと | 定期面談 | 支援責任者等が本人および監督者と面談。記録を作成・保存 |
| 随時 | 随時届出 | 事由が生じた日から14日以内。対象・対象外の区別に注意 |
| 毎年4〜5月 | 定期届出 | 前年4月1日から当年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況を報告 |
| 在留期間ごと | 在留期間更新許可申請 | 満了日以前に申請。1号の在留期間は3年を超えない範囲で個別に指定される(2年、2年6か月なども出る) |
| 通年 | 日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、日本人との交流促進 | 義務的支援として継続的に実施 |
1号特定技能外国人が対象です。2号は支援の対象外のため、義務的支援と定期面談は発生しません。
支援を登録支援機関に委託している場合
義務的支援と定期面談は登録支援機関が実施します。ただし、届出義務は特定技能所属機関に残ります。定期届出も、登録支援機関に全部委託していても受入れ企業が取りまとめて提出します。「支援を委託したから何もしなくていい」わけではありません。
2. 入社前|申請と事前ガイダンス
順序に注意が必要な部分です。事前ガイダンスは、在留諸申請の前に実施します。申請時にその実施状況を確認することとされているためです。「許可が出てから説明すればいい」という順序ではありません。
内容は、雇用契約の内容、日本で行える活動の内容、上陸・在留の条件のほか、保証金の徴収や違約金を定める契約が違法であることなど。対面またはテレビ電話等で、本人が十分に理解できる言語で行います。
在留諸申請そのものに必要な書類は、認定・変更・更新で異なり、国籍によって追加書類が生じることもあります。詳しくは特定技能の必要書類チェックリスト|認定・変更・更新+国籍別の追加書類をご覧ください。
2025年4月から、市区町村への協力確認書の提出が加わりました
特定技能外国人が活動する事業所の所在地と住居地が属する市区町村に対し、協力確認書を提出することとされています。共生施策への協力に関する仕組みで、比較的新しい手続きです。初めて受け入れる企業は見落としやすい部分です。
3. 入社直後|最初の1か月にやること
入国後(または在留資格変更後)は、義務的支援が集中します。
出入国する際の送迎
海外から入国する場合、港・飛行場での送迎が必要です。交通費は受入れ機関の負担とされています。
住居の確保と生活に必要な契約
賃貸借契約の保証人になる、物件情報を提供する、社宅を提供するなど。銀行口座の開設や携帯電話の契約も支援対象です。
生活オリエンテーション
入国後(変更後)遅滞なく実施します。生活一般、届出等の手続、相談先、医療機関、防災・防犯などを説明します。
公的手続への同行
住居地の届出、社会保険、税に関する手続などに、必要に応じて同行し、書類作成を補助します。
1か月以上就労が始まらない場合は、届出が必要です
入国や在留資格変更の許可を受けた日から1か月経過しても就労を開始していない場合、受入れ困難に係る届出の対象になります。入社日が後ろにずれたときは、この点をご確認ください。
4. 3か月ごと|定期面談
受入れ後、最も定期的に発生するのがこれです。支援責任者または支援担当者が、特定技能外国人本人と、その監督をする立場の者の双方と、3か月に1回以上の頻度で面談します。労働基準法違反その他の問題を把握したときは、労働基準監督署等の関係行政機関へ通報することとされています。
面談の記録は作成・保存し、定期届出の際に報告することになります。
オンラインでの実施について
2025年4月の運用改正により、本人の同意がある場合にはオンラインでの実施も可能とされました。ただし、録画と一定期間の保存、第三者が同席しない環境の確保など、条件が設けられています。初回や担当者が交代したときは対面が望ましいとされています。詳細な要件は運用要領でご確認ください。
「3か月に1回」は、年4回ではなく間隔の話です
年間で4回実施していればよい、というものではありません。前回の面談から3か月を超えないように実施する必要があります。人数が増えると、誰の面談がいつまでか、という管理が必要になります。
5. 随時|14日以内の届出(対象と対象外)
ここが最も誤解の多いところです。「変更があったら14日以内に届出」と説明されることが多いのですが、実際には届出が必要なものと不要なものが分かれています。
| できごと | 届出 | 補足 |
|---|---|---|
| 最低賃金の改定などに伴い賃金が上がった | 不要 | 賃金が増加する場合は不要とされています |
| 雇用条件書の記載どおりに昇給した | 不要 | 予定していた昇給がなくなった場合は必要 |
| 基本賃金は変えず、手当の支給をやめた | 必要 | 不利益な変更に当たります |
| 就業場所(事業所)を変更した | 必要 | 分野によって追加書類あり |
| 事業所内で部署が変わった | 必要 | 雇用条件書に部署まで記載している場合 |
| 始業・終業の時刻を変更した(所定労働時間は同じ) | 不要 | 所定労働時間に変更がなければ不要 |
| 賃金の締切日・支払日を変更した | 不要 | 支払間隔が1か月以上空く場合は必要 |
| 業績不振で賞与の支給がなくなった | 必要 | 雇用条件書に支給額が定められている場合。「業績により支給しない場合がある」と記載していれば不要 |
| 支援責任者・支援担当者が変わった | 必要 | 支援計画変更の届出 |
| 登録支援機関を変更した/自社支援に切り替えた | 必要 | 支援委託契約と支援計画の両方 |
| 本人が自己都合で退職した | 必要 | 雇用契約終了の届出。受入れ困難の届出は不要 |
| 会社名・住所が変わった | 不要 | 本人による届出は別途必要 |
| 社会保険料や税の滞納が発生した | 必要 | 基準不適合に係る届出 |
出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」の記載に基づく整理です。判断に迷う事例は個別にご確認ください。
考え方の軸は「本人にとって有利か、不利か」です
賃金が増える、手当が増える、休業手当の支給割合が上がるといった本人に有利な変更は、届出が不要とされています。逆に、減額、手当の廃止、昇給の取りやめ、控除の新設などは届出が必要です。この軸で考えると、判断がぶれにくくなります。
6. 毎年4〜5月|定期届出
受入れ企業が年1回提出する報告です。前年4月1日から当年3月31日までの期間について、毎年5月31日までに提出することとされています。提出期間は4月1日から5月31日です。
対象期間中に1日でも特定技能外国人と雇用契約関係があれば、提出義務が生じます。途中で退職した人も、在籍していた期間について報告します。
新様式の書き方、添付書類、人数の計上ルールなど、実際に手を動かす段階の内容は特定技能の定期届出を徹底解説|新様式の書き方・提出書類・届出の流れで詳しく解説しています。
支援を全部委託していても、提出するのは受入れ企業です
2025年4月の改正で、従来は登録支援機関が別途提出していた支援実施状況の届出が一本化され、受入れ企業がまとめて提出する形になりました。登録支援機関から面談記録などの情報を集めたうえで、企業名で届け出ることになります。委託先との情報のやり取りが、この時期に発生します。
7. 在留期間ごと|更新許可申請
ここは誤解の多いところです。特定技能1号の在留期間は、3年を超えない範囲内で、法務大臣が個々の外国人について指定する期間とされています。2号が「3年、2年、1年又は6月」と定められているのとは、規定の仕方が違います。
1号は、決まった選択肢から選ばれるわけではありません
「1年ごとに更新」「1年・6か月・4か月のいずれか」と説明している記事を見かけますが、正確ではありません。1号は個別に指定されるため、2年、2年6か月といった期間も出ます。
実務上は、通算5年の残り期間を踏まえて設定されることが多くなります。残りが2年6か月であれば2年6か月、初回の更新では2年程度が付与されることもあり、状況がよければ3年が出ることもあります。
したがって、「特定技能は毎年更新」という前提で年間計画を立てると、実態とずれます。誰にいつ期限が来るかは、在留カードを1人ずつ確認するほかありません。
更新申請は在留期間の満了日以前に行います。6か月以上の在留期間を有する場合、おおむね3か月前から申請を受け付けるとされています。標準処理期間は2週間から1か月です。
更新のたびに、受入れ企業の状況も審査されます
更新は形式的な手続きではありません。社会保険や税の納付状況、報酬が日本人と同等以上であること、届出を適正に行っていることなど、受入れ企業側の状況も含めて審査されます。日々の管理が更新の結果に跳ね返る構造です。
通算5年の上限に注意
特定技能1号は原則として通算5年を超えて在留できません。更新のたびに残りの期間を確認しておく必要があります。5年に近づいたら、2号への移行、分野によっては別の在留資格への変更など、次の選択肢を検討する時期になります。準備には年単位の時間がかかりますので、5年目に入ってから考えるのでは間に合いません。
なお、産前産後休業や育児休業などの期間については、通算期間から除外される取扱いがあります。詳しくは特定技能「5年の壁」が緩和|最長6年の在留・在留期間3年への延長をご確認ください。2号への移行を検討する場合は、【特定技能2号 完全ガイド】11分野別の移行要件で分野ごとの要件を整理しています。
8. 2026年から2027年にかけての特殊要因
例年の流れに加えて、この1年半は制度変更が重なります。
9. 自社で回すか、外に出すか
ここまでを1人分として見ると、それほど多くありません。問題は人数が増えたときです。
5人受け入れている場合、年間で何回発生するか
定期面談が年20回(1人あたり4回)。定期届出が1回(5人分の情報を取りまとめ)。更新申請は在留期間によって異なり、1年の人と2年の人と3年の人が混在すれば、期限はばらばらに来ます。これに随時届出が不定期で乗ります。面談の実施記録、賃金台帳、届出書類の整合を、常に保っておく必要があります。
切り分けの考え方はこうです。義務的支援と定期面談は、外部に出せません。自社支援であれば自社の支援責任者等が、委託していれば登録支援機関が実施します。一方、在留諸申請と各種届出の書類作成は、行政書士の領域です。
つまり、迷う余地があるのは後者だけです。届出と申請を自社で抱えるか、外に出すか。人数が増えるほど、期限管理の負荷は書類作成そのものより重くなります。
単発でのご依頼にも対応しています
当事務所では、「更新申請だけ」「定期届出だけ」といった単発のご依頼を承っています。在留申請をご依頼いただいていない企業からの、届出のみのご依頼にも対応しています。複数名分をまとめてご依頼いただくことも可能です。
10. よくあるご質問
Q. 登録支援機関に全部委託しています。会社は何もしなくてよいですか。
A. 義務的支援と定期面談は登録支援機関が実施しますが、届出義務は受入れ企業に残ります。定期届出も、支援を全部委託していても受入れ企業が取りまとめて提出することとされています。登録支援機関から面談記録等の情報を受け取る体制を整えておいてください。
Q. 定期面談は年4回やっていれば問題ありませんか。
A. 「3か月に1回以上」は間隔の要件です。年間の回数が足りていても、間隔が3か月を超えていれば要件を満たしません。前回の実施日から管理してください。
Q. 最低賃金が上がって賃金を引き上げました。届出は必要ですか。
A. 賃上げのみであれば不要です。入管庁のQ&Aで、労働関係法令の改定などに伴う変更については、賃金が増加する場合には届出は不要とされています。ただし、手当の廃止など不利益な変更が含まれる場合は必要です。
Q. 届出の期限を過ぎてしまいました。
A. 期限後でも提出は可能です。速やかに提出してください。その際、届出が遅延した理由を説明する文書の添付が求められます。放置するほうが問題になりますので、気づいた時点で対応してください。
Q. 2号に移行すれば、これらの手続きはなくなりますか。
A. 支援計画と定期面談は不要になります。登録支援機関への委託費も発生しません。ただし、雇用契約に関する届出や在留期間更新は引き続き必要です。定期届出も対象です。移行の要件は特定技能2号 完全ガイドをご覧ください。
Q. 途中で退職した人も定期届出に含めますか。
A. 含めます。対象期間中に1日でも雇用契約関係があれば報告の対象です。在籍していた期間の情報を記載します。なお、退職自体については雇用契約の終了として14日以内の届出も別途必要です。
申請・届出のご依頼について
当事務所は特定技能に特化し、来客対応を行わない完全オンライン体制で運営しています。年間まとめてのご依頼も、単発のご依頼も承ります。
特定技能の申請・届出費用
表示はすべて税別/着手金なし
許可申請
(毎年4〜5月)
(1件)
定期届出は4名以降、1名につき5,000円を加算します。在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請は50,000円です。入管の手数料等の実費は別途申し受けます。
必要なところだけ、お任せいただけます
「この変更で届出が必要かどうか判断できない」「更新の書類を毎回そろえるのが負担」「定期届出の書き方が分からない」——受入れ人数が増えた企業から多いご相談です。
単発でのご依頼も、複数名分をまとめてのご依頼も、全国オンラインで対応しています。
参考にした一次情報
出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」
出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」
出入国管理及び難民認定法 第19条の18/同法施行規則 第19条の17・第19条の18
特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令 第3条
本記事は2026年8月1日時点で確認できる法令・公表資料に基づいて作成しています。届出の要否は個別の事情により判断が異なる場合がありますので、実際のご対応にあたっては最新の運用要領をご確認いただくか、当事務所までご相談ください。
執筆:行政書士 鹿間英樹(行政書士しかま事務所/東京都新宿区西新宿4-40-5 西新宿ビューハイツ903)

