特定技能外国人の採用費用|初期50〜150万円・月額2.5〜4万円の内訳とコスト削減
特定技能外国人の採用費用|初期費用と月額費用の内訳、コストを抑える方法
特定技能の費用は「一括でいくら」ではなく、初期費用・月額費用・年1回の費用の3層で発生します。しかも初期費用は採用ルートによって数倍の差が出ます。この記事では、何にいくらかかるのかを項目ごとに分解し、採用ルート別の比較と、コストを抑えるための3つの選択肢まで整理します。
この記事のポイント
費用は3層に分かれます。採用から入社までの初期費用、雇用中に毎月かかる支援委託費、そして在留期間更新や定期届出のように年単位で発生する費用です。この区別をしないまま見積りを比べると、月額が積み上がる部分を見落とします。
初期費用は採用ルートで数倍変わります。海外から呼び寄せる場合は50万円から150万円程度、国内在住者なら25万円から60万円程度、自社の技能実習生から移行する場合は10万円から20万円程度が目安です。
月額費用は支援の実施方法で変わります。登録支援機関に委託すると1人あたり月2万円台から4万円程度、年間では30万円前後になります。自社支援に切り替えられるかどうかが、継続コストの分岐点です。
費用の全体像|3層に分けて把握する
特定技能の費用を検討するとき、最初にやるべきは金額を調べることではなく、発生の仕方で分類することです。1回だけの費用と、毎月積み上がる費用を同じ表に並べると、判断を誤ります。
| 層 | 発生タイミング | 主な内容 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 採用決定から入社まで(1回) | 人材紹介手数料、送出機関手数料、在留資格の申請費用、渡航費、住居の準備費用 |
| 月額費用 | 雇用中は毎月 | 登録支援機関への支援委託費(自社支援の場合は発生しない) |
| 年単位の費用 | 年1回または在留期間ごと | 在留期間更新許可申請、定期届出、分野別団体の年会費(建設分野など) |
給与は含めていません
この記事で扱うのは、給与や社会保険料以外の「採用と受入れに伴う費用」です。報酬は日本人と同等額以上であることが要件であり、コスト削減の対象にはなりません。給与水準を下げる方向での検討は、要件を満たさなくなるため成り立ちません。
初期費用の内訳
初期費用が最も大きくなるのは、海外から呼び寄せる場合です。ここを基準に項目を押さえておくと、他のルートとの差分が見えます。
海外から呼び寄せる場合
| 費用項目 | 金額の目安 | 支払先 |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料 | 10万円〜30万円 | 人材紹介会社 |
| 送出機関手数料 | 20万円〜60万円 | 現地の送出機関 |
| 在留資格の申請費用 | 5万円〜15万円 | 行政書士(当事務所は50,000円・税別) |
| 渡航費(航空券) | 5万円〜10万円 | 航空会社 |
| 住居の準備費用 | 10万円〜50万円 | 不動産会社など |
| 入国前後のサポート費用 | 5万円〜10万円 | 登録支援機関など |
| 合計 | 50万円〜150万円程度 | — |
送出機関の手数料は国と機関によって幅があります
送出機関に支払う手数料は、国の制度や機関ごとの設定によって差があります。国名だけで高い・安いを判断するのは適切ではなく、同じ国でも機関によって異なります。見積りを取る際は、手数料に何が含まれるか(渡航前の教育、健康診断、書類取得など)を項目ごとに確認してください。なお、送出国側の手続きは国によって異なり、ベトナムの推薦者表、フィリピンのMWO・DMW・OECなど、日本側の申請とは別に必要な手続きがあります。
住居費は「実費」で説明できる形にしておく
住居を会社が借り上げて本人に負担させる場合、雇用条件書に記載する住居費は実費に基づく必要があります。相場を根拠にした金額設定は、申請時に説明を求められる可能性があります。初期費用の見積り段階で、借上コストと本人負担の関係を整理しておくと、後の書類作成がスムーズです。
月額費用の内訳(支援委託費)
特定技能1号の受入れ企業には、1号特定技能外国人支援計画に基づく支援の実施義務があります。この支援を登録支援機関に委託する場合、毎月の委託費が発生します。
| 項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 支援委託費 | 2万円台〜4万円/月・1名 | 月額定額制が一般的。項目別の単価制の場合は積み上げで高くなることがある |
支援として実施しなければならないこと
義務的支援には、入国前の事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居の確保と生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、公的手続きへの同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、そして3か月に1回以上の定期面談が含まれます。これらを自社で実施するか、登録支援機関に委託するかを選択します。
自社支援に切り替えると月額費用は発生しません
支援を自社で実施すれば委託費はかかりません。1人あたり年間で30万円前後の差になり、複数名を受け入れている企業では金額が大きくなります。ただし支援責任者・支援担当者の選任、本人が理解できる言語での相談対応体制など、体制面の要件を満たす必要があります。判断材料は特定技能の自社支援、本当に得か損か|委託費を見直す前にチェックすべき5項目で整理しています。
「受入れ実績がないと自社支援はできない」は誤解です
自社支援の要件には複数のルートがあります。過去2年間に中長期在留者の受入れ・管理を適正に行った実績があるルートのほか、中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を持つ役員・職員を選任するルートがあり、自社に受入れ実績がなくても要件を満たせます。さらに、これらと同程度の能力が認められるルートもあります。実績がないことを理由に委託を続けているのであれば、一度要件を確認する価値があります。
支援委託費に申請書類の作成費が含まれていないか確認してください
報酬を得て在留資格の申請書類を作成できるのは行政書士または弁護士です。支援委託費に申請書類の作成が含まれている形は、行政書士法に抵触するおそれがあります。委託費の内訳を見積書や契約書で確認し、何に対する対価なのかを整理しておいてください。詳細は特定技能を行政書士に依頼する費用で解説しています。
年1回・定期的に発生する費用
| 費用項目 | 金額の目安 | 頻度 |
|---|---|---|
| 在留期間更新許可申請 | 3万円〜5万円(当事務所は30,000円・税別) | 在留期間ごと |
| 定期届出の作成 | 3万円程度から(当事務所は3名まで30,000円・税別) | 年1回 |
| 分野別団体の年会費 | 分野・団体により異なる | 年1回 |
| 許可時の手数料 | 窓口6,000円/オンライン5,500円 | 申請ごと(実費) |
定期届出は2026年から年1回に変わりました
2025年4月の改正により、従来の四半期ごとの報告が廃止され、年1回の定期届出(参考様式第3-6号)に一本化されました。提出期間は毎年4月1日から5月31日までです。この届出書も出入国在留管理庁に提出する書類であるため、報酬を得て作成を依頼する場合は行政書士法の対象になります。様式と記載ルールは特定技能の定期届出を徹底解説をご覧ください。
採用ルート別のコスト比較
同じ特定技能1号でも、どこから採用するかで初期費用は数倍変わります。
| 採用ルート | 初期費用の目安 | 発生しない項目 |
|---|---|---|
| 海外から呼び寄せ | 50万円〜150万円 | — |
| 国内在住者を採用 | 25万円〜60万円 | 送出機関手数料、渡航費 |
| 自社の技能実習生から移行 | 10万円〜20万円 | 人材紹介手数料、送出機関手数料、渡航費、住居の新規準備 |
自社の技能実習生からの移行が最もコストを抑えられます
すでに自社で就労している人材のため、紹介手数料と渡航関連の費用が発生せず、住居も継続できることが多いです。加えて、多くの分野では技能実習2号を良好に修了していれば技能試験・日本語試験が免除されるため、試験の受験に伴う時間とコストも省けます。移行のスケジュールと在留期限の逆算は技能実習から特定技能1号への移行で解説しています。
安いルートが常に最適とは限りません
移行できる人材が社内にいなければ、このルートは選べません。また分野によっては受入れ見込数の上限に達して新規の受入れが制限されることがあり、ルートの選択自体が制約を受けます。コストだけでなく、必要な時期に必要な人数を確保できるかを合わせて判断してください。
自社のケースで概算を出したい方へ
採用人数、分野、採用ルート、現在の支援委託の内容をお伺いして、必要な手続きと費用を整理してご案内します。他社の見積書や支援委託契約書を見ながら内訳を確認するご相談にも対応します。要件の確認だけのご相談も歓迎です。
コストを抑える3つの方法
1. 自社の技能実習生から移行する
紹介手数料と渡航関連費用が不要になり、初期費用を最も大きく圧縮できます。実習生の修了時期から逆算して、変更申請の準備を早めに始めることが前提になります。在留期限に間に合わないと一度出国が必要になる場合があるため、時期の管理が実質的なコスト対策になります。
2. 支援を自社で実施する
月額の委託費が不要になり、1人あたり年間30万円前後の差が出ます。受入れ人数が増えるほど効果が大きくなります。体制面の要件を満たせるかの確認が先で、実績がなくても選任できるルートがあります。
3. 申請を行政書士に直接依頼する
在留資格の申請書類の作成は、報酬を得て行う場合は行政書士または弁護士の業務です。人材紹介会社や登録支援機関を経由すると中間の費用が乗ることがあり、また支援委託費に作成費が含まれる形は行政書士法に抵触するおそれがあります。受入れ企業が行政書士と直接契約する形にすると、費用の内訳が明確になります。
削減してはいけない部分があります
報酬額は日本人と同等額以上であることが要件です。また義務的支援の内容を省略することはできません。これらを削る方向の検討は、要件を満たさなくなるため成り立ちません。削減の対象は、あくまで紹介・仲介の費用と、支援の実施方法の選択です。
よくある質問
料金・サポート内容
| 申請・届出種類 | 料金(税別/1名) |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 50,000円 |
| 在留資格変更許可申請 | 50,000円 |
| 在留期間更新許可申請 | 30,000円 |
| 定期届出の作成(3名まで) | 30,000円 |
| 初回相談 | 無料 |
必要書類のご案内、申請書類一式の作成、申請取次、追加資料への対応が料金に含まれます。許可時に納付する手数料(窓口申請6,000円、オンライン申請5,500円)、登記事項証明書などの実費は別途です。在留許可手数料については改定の方向が示されている段階のため、申請時点の金額をご案内します。複数名の同時申請、定期届出が4名以上の場合は、件数に応じてお見積りします。税証明書・源泉徴収票の取得は申請人ご本人に行っていただきます。
この記事のまとめ
- 費用は初期費用・月額費用・年単位の費用の3層に分けて把握する
- 初期費用の目安は海外から50万円〜150万円、国内在住者25万円〜60万円、技能実習生からの移行10万円〜20万円
- 月額の支援委託費は1名あたり2万円台〜4万円。年間30万円前後の継続コストになる
- 自社支援は受入れ実績がなくても要件を満たせるルートがある(生活相談業務の経験者を選任する等)
- 年単位では在留期間更新と定期届出(年1回・4月1日から5月31日)が発生する
- 支援委託費に申請書類の作成費が含まれていないかを内訳で確認する
- 報酬額の同等性と義務的支援の内容は削減の対象にならない
この記事の情報について
本記事は2026年7月時点の法令・運用に基づいています。人材紹介手数料、送出機関手数料、住居費、支援委託費などの金額は、公開情報および当事務所が実務で確認した範囲での目安であり、統計調査に基づくものではありません。国・地域・委託先・時期により変動します。当事務所の料金以外の金額は保証されるものではありません。制度・様式・手数料は随時改定されるため、実際の検討にあたっては申請時点の最新の法令・告示・通知および出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。個別の案件については専門家にご相談ください。



