農業分野の特定技能1号から2号への変更要件・実務経験・手続き
農業分野の特定技能1号から2号への変更
要件・実務経験・手続きを行政書士が解説
実務経験の立証方法(管理経験2年 or 現場経験3年)、所属機関の基準、必要書類、申請の具体的な流れまで。1号から2号への変更を検討する企業・外国人の方へ、申請実務の視点で徹底解説します。
農業分野で特定技能1号の外国人を雇用している企業から、「そろそろ2号に変更したい」という相談が増えています。特定技能1号の在留期間は通算5年が上限。優秀な人材に長く働いてもらうためには、2号への移行が不可欠です。
しかし、農業分野の2号変更には「実務経験の立証」という独自のハードルがあります。管理経験2年以上、もしくは現場経験3年以上──これをどう証明し、どのような書類を揃えて申請するかが、申請の成否を分けるポイントです。
この記事では、農業分野の運用要領別冊(令和7年6月6日改正)に基づき、特定技能1号から2号への変更に必要な要件・実務経験の考え方・必要書類・手続きの流れを、申請実務の観点から解説します。
1. 特定技能2号(農業分野)とは? ── 1号との違い
特定技能2号は、特定産業分野に属する「熟練した技能」を要する業務に従事する外国人材向けの在留資格です。1号が「相当程度の知識又は経験」をベースに業務に従事するのに対し、2号は自らの判断で農作業を行うことが前提となっています。自然条件や家畜の状態の変化に応じて主体的に判断できる技能水準が求められます。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算5年(上限あり) | 上限なし(更新回数制限なし) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(配偶者・子 → 家族滞在) |
| 義務的支援(10項目) | 必須 | 不要 |
| 登録支援機関への委託 | 必要(自社支援も可) | 不要 |
| 日本語試験 | JFT-Basic / JLPT N4以上 | 不要 |
| 実務経験 | 不要 | 管理経験2年以上 or 現場経験3年以上 |
| 永住申請 | 制度上困難 | 要件を満たせば可能 |
✅ 企業側の主なメリット
2号への変更により、義務的支援が不要となるため登録支援機関への委託費用を削減できます。在留期間の上限がなくなることで、技能を蓄積した優秀な人材を長期的に確保でき、経営の安定化に直結します。家族帯同が認められることで本人の定着率向上も期待できます。
2. 2号に変更するための要件
農業分野で特定技能2号の在留資格を取得するためには、以下の2つの要件を両方とも満たす必要があります。
要件① 2号農業技能測定試験の合格
業務区分に対応した2号農業技能測定試験(耕種農業全般 又は 畜産農業全般)に合格する必要があります。1号とは異なり技能実習修了による試験免除は一切ありません。日本語試験は不要です。
要件② 実務経験(管理経験2年 or 現場経験3年)
試験合格に加えて、実務経験の充足が求められます。以下の2パターンのいずれかを満たす必要があります。
| パターン | 内容 | 必要年数 |
|---|---|---|
| A 管理経験あり | 農業の現場において複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験 | 2年以上 |
| B 現場経験のみ | 農業の現場において、自らの判断により農作業に従事した経験 | 3年以上 |
💡 パターンBなら「管理経験」は不要です
パターンB(3年以上)は、複数の作業員を指導・管理した経験がなくても要件を満たせます。あくまで「自らの判断で農作業に従事した経験」が3年以上あればOKです。管理経験がない方でも2号への移行が可能なので、パターンBの活用は実務上の大きなポイントです。
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今すぐ相談する →3. 実務経験の定義と立証方法 ── 運用要領の解釈
実務経験の立証は、農業分野の2号移行における最大の実務上のハードルです。運用要領別冊に基づき、それぞれの定義と立証上のポイントを整理します。
パターンA「複数の作業員を指導しながら工程を管理する」の定義
耕種農業の場合
📖 運用要領別冊の記載
「自然条件の変化に応じて自らの判断により農作業を行うとともに、2名以上の作業員を指導・監督し、作業工程を管理すること」
畜産農業の場合
📖 運用要領別冊の記載
「家畜の個体や畜舎環境の変化に応じて自らの判断により農作業を行うとともに、2名以上の作業員を指導・監督し、作業工程を管理すること」
管理経験の解釈について、運用要領が示す重要なポイントは以下のとおりです。
- 指導を受ける作業員の国籍・雇用形態は問わない
日本人でも外国人でも、正社員でもパート・アルバイトでも構いません。技能実習生を指導した経験でもOKです。 - 2名以上を指導する期間は、管理に従事した全期間を通じて連続している必要はない
農業は繁閑の差が大きい産業です。管理業務に従事した期間のうち、一部指導を行わない期間があっても差し支えないとされています。繁忙期に複数名を指導し、閑散期は自ら作業に従事する──そうした実態でも通算2年以上であれば要件を満たします。
パターンB「農業の現場における実務経験」の定義
パターンBは、管理経験を問わない代わりに3年以上の現場経験が求められます。
- 耕種農業の場合
施設園芸、畑作・野菜、果樹等の耕種農業の現場において、自然条件の変化に応じて自らの判断により農作業に従事した経験を指します。 - 畜産農業の場合
養豚、養鶏、酪農等の畜産農業の現場において、家畜の個体や畜舎環境の変化に応じて自らの判断により農作業に従事した経験を指します。
💡 「自らの判断により」がキーワード
パターンBで重要なのは「自らの判断により農作業に従事した」という点です。単に指示された作業をこなしていただけでは不十分で、環境の変化に応じて自分で判断しながら作業に従事した経験が求められます。技能実習3号や特定技能1号として一定期間従事し、ある程度自律的に作業を行えるようになっている方が主な対象になると考えられます。
実務経験はいつ・どのように確認されるか
実務経験の有無は、2号農業技能測定試験の受験時に試験実施機関が確認します。具体的な確認方法は試験実施機関にお問い合わせください。
企業に課される「実務経験証明書の交付義務」
⚠ 企業には実務経験証明書の交付義務があります
告示第7号により、特定技能所属機関は「特定技能外国人からの求めに応じ、実務経験を証明する書面を交付し、又は提供すること」が基準とされています。退職した外国人からの依頼であっても対応が必要であり、これに応じない場合は基準不適合となり、以後の特定技能外国人の受入れに影響する可能性があります。
4. 業務区分と従事できる業務の範囲
農業分野には耕種農業全般と畜産農業全般の2つの業務区分があります。
| 業務区分 | 主たる業務 |
|---|---|
| 🌾 耕種農業全般 | 栽培管理、農産物の集出荷・選別等 |
| 🐄 畜産農業全般 | 飼養管理、畜産物の集出荷・選別等 |
⚠ 栽培管理または飼養管理が含まれていることが必須
運用要領別冊では「栽培管理又は飼養管理の業務が従事する業務に含まれていることが必要」と明記されています。集出荷・選別のみに従事させることは認められません。
関連業務(付随的に従事可能)
主たる業務に加え、日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事できます。ただし、専ら関連業務のみに従事することは不可です。
- 自社が生産した農畜産物を使用する製造・加工作業
- 副産物(稲わら、家畜排泄物等)を使用する製造・加工作業
- 農畜産物・加工品の運搬・陳列・販売作業
- 冬場の除雪作業、複合経営における他方の農作業等
5. 所属機関(企業側)に求められる基準
特定技能外国人を受け入れる所属機関は、以下の基準を満たす必要があります。
- 雇用経験:過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験、又はこれに準ずる経験を有すること
- 農業特定技能協議会の構成員であること
- 協議会の活動に必要な協力を行うこと
- 外国人からの求めに応じ、実務経験を証明する書面を交付すること
💡 「6か月以上の雇用経験に準ずる経験」とは
過去5年以内に6か月以上継続して労務管理に関する業務に従事した経験をいいます。農業経営を行う親の下で労務管理を行っていた場合や、農業法人で労務管理経験のある従業員が新たに独立する場合等が該当します。
✅ 1号と比べて不要になること
2号への変更により、義務的支援(10項目)が不要となります。登録支援機関への委託も不要です。企業にとっては支援にかかるコストと事務負担が大幅に軽減されます。
労働時間・休憩・休日に関する注意点
農業分野では、日本人と同様に労働時間・休憩・休日に関する労働基準法の規定が適用除外となります。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 労基法の基準も参考に、過重な長時間労働とならないよう適切に管理
- 外国人の意向も踏まえ、適切に休憩・休日を設定
- 深夜割増賃金やその他の規定は適用除外にならない(要注意)
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サービス内容を見る ↓6. 必要書類チェックリスト
特定技能1号から2号への在留資格変更許可申請において必要な書類を整理します。農業分野固有の書類と、在留資格変更の共通書類の両方を準備してください。
農業分野固有の書類
- 2号農業技能測定試験 合格証明書の写し(耕種農業全般 又は 畜産農業全般)
- 特定技能所属機関に係る誓約書(分野参考様式第11-1号)
- 農業特定技能協議会の構成員であることを確認できる書類
在留資格変更の共通書類(主なもの)
- 在留資格変更許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm、6か月以内に撮影)
- パスポート及び在留カード(提示)
- 特定技能雇用契約書の写し
- 雇用条件書の写し
- 申請人の住民税の課税証明書及び納税証明書(直近1年分)
- 申請人の源泉徴収票の写し(直近年度分)
⚠️ 改正行政書士法への対応
2026年1月に施行された改正行政書士法により、在留資格の申請書類作成は行政書士(又は弁護士)の独占業務であることが明確化されました。自社で無報酬で行うこと自体は可能ですが、特定技能2号の変更申請は書類の専門性が高く、不備があれば不許可リスクに直結します。正確かつ確実な申請のために、行政書士への依頼をご検討ください。
7. 変更手続きの流れ【ステップ別】
同一企業・同一業務区分で1号→2号に変更する場合(最も多いケース)の手続きの流れです。
2号農業技能測定試験の合格証明書を取得済みであること、実務経験(管理経験2年以上 or 現場経験3年以上)を充足していることを確認します。技能実習期間中の経験も含めて年数を計算してください。
2号の業務区分に対応した職務内容を明確に記載し、報酬額が日本人と同等以上であることを確認してください。
農業分野固有の書類(合格証明書、分野参考様式第11-1号の誓約書、協議会構成員書類等)と、在留資格変更の共通書類(申請書、課税・納税証明書、源泉徴収票等)を準備。申請人側・所属機関側の双方で必要な書類があるため、漏れがないよう注意してください。
書類作成は行政書士へ在留資格変更許可申請を提出します。管轄の地方出入国在留管理局の窓口へ持参するか、オンライン申請も可能です。行政書士は申請取次制度により、本人に代わって申請書類の提出を行えます。
審査期間の目安は2か月弱です(申請時期や管轄によって前後します)。審査中に追加資料の提出を求められることもあるため、迅速に対応できるよう準備しておきましょう。
⏱ 2か月弱変更許可手数料:窓口6,000円 / オンライン5,500円。許可後、新しい在留カードが交付されます。在留期間は1年・3年・5年のいずれかです。
転職して2号に変更する場合の注意点
他社で1号として就労していた外国人を、自社で2号として受け入れる場合は、新しい在留カードが交付された後でなければ就業を開始できません。在留資格変更の審査中は前の会社での就労も新しい会社での就労も原則としてできないため、スケジュール管理が重要です。
8. 企業が今から準備すべき5つのポイント
❶ 外国人の実務経験年数を「今すぐ」棚卸しする
技能実習期間中の経験も含めて、管理経験・現場経験の年数を計算してください。「あと何年で2号の要件を満たせるか」を逆算し、計画的に進めましょう。管理経験パターン(2年以上)を狙う場合は、早い段階から2名以上の作業員を指導する機会を意図的に作る必要があります。
❷ 実務経験の記録を日常的に残す
指導した作業員の氏名・人数、管理した工程の内容、従事期間を日報や業務記録として残しておきましょう。記録がないと後から立証するのは困難です。パターンBの場合でも、「自らの判断により農作業に従事した」ことを示す記録があると証明がスムーズになります。
❸ 雇用契約書の職務内容を見直す
1号から2号への変更に伴い、雇用契約の内容も見直しが必要です。業務区分に対応した職務内容が適切に記載されているか、報酬額が日本人と同等以上であるか、あらためて確認しておきましょう。
❹ 実務経験証明書の交付体制を整える
外国人からの求めに応じて実務経験証明書を交付する義務があります。転職する外国人からの依頼にも対応できるよう、誰がいつどのような業務に従事していたかの記録を組織的に管理してください。
❺ 在留期限から逆算してスケジュール管理する
審査期間(2か月弱)や書類準備期間を考慮し、在留期限の3〜4か月前には準備を開始してください。1号の通算5年上限が迫っている場合は特に注意が必要です。
9. 料金・サービス内容
当事務所では、農業分野の特定技能2号への変更申請に必要な手続きをワンストップで対応しております。初回のご相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
特定技能2号 変更許可申請(農業分野)
50,000円(税別)
※着手金0円・申請時点でのお支払い
- 実務経験(管理経験・現場経験)の該当性チェック
- 在留資格変更許可申請書類一式の作成
- 誓約書・雇用契約書等の整備サポート
- 出入国在留管理局への申請提出
- 審査期間中の追加対応・補正対応
- 許可後の在留カード受取代行
初回相談無料 | 全国オンライン対応 | 最短即日ご対応
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特定技能1号の新規申請:50,000円(税別)
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まずは「該当するかどうか」だけでもご相談ください
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10. よくある質問(FAQ)
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・法務省・農林水産省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -農業分野の基準について-」(令和7年6月6日一部改正)
・農林水産省「農業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」

