特定活動55号とは?外国人ドライバー採用の新制度を徹底解説
特定活動55号とは?
外国人ドライバー採用の新制度を徹底解説
海外で運転免許を持つ人材が、日本で「外免切替」により免許を取得し、特定技能1号ドライバーとして活躍するまでの道筋を、運用要領に基づき正確に解説します。
特定活動55号とは?制度の目的
特定活動55号(特定自動車運送業準備)は、自動車運送業分野で「特定技能1号」として働くことを目指す外国人が、日本国内で運転免許を取得し、必要な研修を受けるための在留資格です。
なぜこの制度が必要なのか?
特定技能1号(自動車運送業)で働くためには、日本の運転免許が必須です。しかし、海外在住の外国人が日本の免許を取得するには、まず日本に滞在する必要があります。
この課題を解決するために新設されたのが「特定活動55号」です。海外で運転免許を持つ外国人材が、日本で「外免切替」等により免許を取得する期間、合法的に滞在できるようになりました。
対象となる外国人像「外免切替」スキーム
特定活動55号は、海外で運転免許と運転経験を持つ外国人が主な対象です。日本で一から教習所に通うケースもありますが、制度設計上は「外免切替」(外国免許から日本免許への切替)が中心となっています。
外免切替とは?
外国で取得した運転免許証を、日本の運転免許証に切り替える制度です。知識確認と技能確認に合格すれば、日本の免許が交付されます。
📝 外免切替の主な要件
- 有効な外国運転免許証を所持していること
- 外国免許取得後、当該国に通算3か月以上滞在していたこと
- 知識確認(筆記)・技能確認(実技)に合格すること
- 日本語による免許証の翻訳文(JAF等が作成)を提出
第二種免許(タクシー・バス)の受験資格
タクシーやバスのドライバーになるには第二種免許が必要です。受験資格は以下の通りです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 21歳以上 |
| 免許経歴 | 大型・中型・準中型・普通免許等を通算3年以上保有 (海外での運転経歴を含む) |
| 特例 | 特別な教習を修了すれば、19歳以上・免許1年以上で受験可能 |
つまり、こういう人材が対象
母国で運転免許を取得し、3か月以上の滞在実績がある外国人。タクシー・バスの場合は、21歳以上で運転歴3年以上の経験者が主な対象となります。
在留期間と許可される活動
トラック
6か月
更新不可
タクシー
1年
更新不可
バス
1年
更新不可
重要:特定技能1号の在留期間に含まれない
特定活動55号での滞在期間は、特定技能1号の通算5年間にカウントされません。つまり、準備期間を経た後でも、特定技能1号として最大5年間働くことができます。
許可される活動内容
運用要領に基づき、特定活動55号で認められる活動は以下に限定されています。
| 活動内容 | 詳細 |
|---|---|
| 運転免許取得手続 | 外免切替、自動車教習所への通所を含む |
| 新任運転者研修 | タクシー・バスのみ必須(効果測定の基準あり) |
| 関連業務 | 車両の清掃等(運転業務は不可) |
運転業務は不可
特定活動55号の期間中は、実際の運転業務(旅客・貨物の輸送)には従事できません。運転業務は、特定技能1号に移行してからとなります。
外国人本人の要件
| 要件項目 | トラック | タクシー・バス |
|---|---|---|
| 年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
| 技能試験 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)合格 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー/バス)合格 |
| 日本語能力 | N4以上 または国際交流基金日本語基礎テスト | N3以上 |
| 運転免許 | 申請時点では不要(在留中に取得) | |
| 健康状態 | 良好であること | |
💡 技能実習2号修了者の特例(トラック)
修了した職種・作業にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は、日本語試験が免除されます。(タクシー・バスは免除対象外)
受入れ企業(所属機関)の要件
特定活動55号で外国人を受け入れる企業は、特定技能1号と同等の厳格な要件を満たす必要があります。
事業許可要件
- 自動車運送事業(道路運送法)の許可を有していること
- 日本標準産業分類の「道路旅客運送業」または「道路貨物運送業」に該当
安全認証要件
| 業種 | 必要な認証 |
|---|---|
| トラック運送業 | Gマーク(安全性優良事業所)の認定 |
| タクシー・バス運送業 | 運転者職場環境良好度認証制度の認証 |
その他の要件
- 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員であること
- 協議会・国土交通省への必要な協力を行うこと
- タクシー・バスの場合、新任運転者研修を実施できる体制があること
- 登録支援機関に委託する場合、同様の要件を満たす機関であること
特定技能1号への移行フロー
タクシー・バスドライバーの場合(最大1年)
特定活動55号で入国・在留開始
技能試験・日本語試験に合格済みの状態で入国
外免切替で日本の運転免許を取得
運転免許センターで知識確認・技能確認を受験
第二種免許を取得
普通免許等を取得後、第二種免許試験に合格
新任運転者研修を修了
業界団体の効果測定基準に達する必要あり
特定技能1号へ在留資格変更
在留期間が残っていても速やかに申請が必要
ドライバーとして就労開始
特定技能1号として最大5年間就労可能
申請手続きの注意点
オンライン申請ができない
特定活動55号は、現時点でオンライン申請に対応していません。所属機関の所在地を管轄する入管窓口に直接出向いて申請する必要があります。
2回の在留資格申請が必要
自動車運送業で外国人ドライバーを採用する場合、通常2回のビザ申請が発生します。
| 回数 | 申請種類 | 目的 |
|---|---|---|
| 1回目 | 特定活動55号 認定証明書交付申請 or 変更申請 | 免許取得・研修のための在留 |
| 2回目 | 特定技能1号 在留資格変更許可申請 | ドライバーとして就労開始 |
運転免許取得費用の負担について
⚠️ 運用要領に基づく留意事項
- 免許取得費用は所属機関が負担することが望ましい
- 本人負担とする場合は、十分に理解できる言語で説明し、事前に了承を得ること
- 「一定期間勤務で返済免除」等の契約は基準に抵触するおそれあり
- 賃金に含めて補填する方法は基準に抵触しない
当事務所にお任せください
特定活動55号は2024年12月に始まったばかりの新しい制度です。前例が少なく、オンライン申請にも対応していないため、書類準備と申請手続きの負担が非常に大きくなっています。
行政書士しかま事務所の特徴
特定活動55号(認定・変更)
¥50,000(税抜)
※オンライン申請非対応のため、入管への申請取次をご希望の場合は
交通費の実費負担をお願いしております。
外国人ドライバーの採用をご検討中ですか?
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まずはお気軽にご相談ください。
・法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -自動車運送業分野の基準について-」(令和7年7月15日一部改正)
・出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」

