2025年版 特定技能制度改正まとめ|企業が押さえるべき実務ポイント
特定技能制度最新動向2025
企業の外国人採用を加速させる制度改正と実務ポイント
このコンテンツでは、2025年4月1日から施行された特定技能制度の最新情報や実務ポイントを解説します。企業の外国人採用担当者様に役立つ情報が満載です。
目次
特定技能制度の概要と最新動向
特定技能制度は深刻な人手不足に対応するため、2019年4月に創設された外国人材受入れの制度です。2025年4月には制度運用に関する大きな改正が行われ、申請手続きの簡素化や届出頻度の緩和、書類提出の省略条件の見直しなど、企業にとって利便性が向上しました。
特定技能外国人の最新受入れ状況
2024年12月末時点の特定技能在留外国人数は約28.5万人に達し、前年同期比で約7.6万人増加しました。
受入れ人数の多い分野TOP5
- 飲食料品製造業:約7.4万人
- 工業製品製造業:約4.5万人
- 介護:約4.4万人
- 建設業:約3.8万人
- 農業:約2.9万人
国別では、ベトナム(約13.3万人)が最も多く、全体の約47%を占めています。
2025年4月施行の主な改正ポイント
届出制度の変更
四半期ごとの定期届出を年1回に変更し、企業の事務負担を大幅に軽減。様式も統合され、「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」に一本化。
オンライン化の促進
在留諸申請のオンライン申請・電子届出の活用で書類提出を大幅に省略可能に。企業はシステム対応で手続きを効率化できます。
面談規定の柔軟化
定期面談(3ヶ月に1回以上)はオンラインでも可能に。ただし年1回以上の対面面談が推奨されます。
共生社会への連携強化
地方自治体が実施する共生社会実現施策への協力が義務化。活動拠点・住居地の市区町村と連携した取組みが求められます。
16分野に拡大した特定技能(新4分野の詳細)
2024年に特定技能制度の対象分野が従来の12分野から16分野へと拡大しました。人手不足が深刻な4つの新分野が追加され、より多くの業種で特定技能外国人の採用が可能になっています。
新たに追加された4分野の概要
自動車運送業
- トラック、バス、タクシーの3区分
- バス・タクシーはN3以上の日本語能力が必須
- 自動車運転免許取得が必要(第1種または第2種)
- 5年間の受入れ見込み:24,500人
特徴:ドライバー不足に対応。バスやタクシーは乗客との会話があるためN3レベルの日本語能力が求められます。
鉄道
- 軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員
- 運輸係員はN3以上の日本語能力が必須
- 5年間の受入れ見込み:3,800人
特徴:車両整備の試験は2025年3月から実施予定。安全性が重視される業界のため、技能試験が厳格です。
林業
- 育林、素材生産、製炭業務など
- 試験は2025年3月予定
- 5年間の受入れ見込み:1,000人
特徴:山間部の過疎地域での労働力確保が主な目的。季節性の強い業務特性に合わせた運用が予定されています。
木材産業
- 製材業、合板製造業、木材チップ製造業など
- 2024年12月から試験開始(初回20人全員合格)
- 5年間の受入れ見込み:1,000人
特徴:国外試験も順次準備中。日本の木材自給率向上や地域産業活性化にも貢献することが期待されています。
全16分野における特定技能1号・2号の対応状況
分野 | 特定技能1号 | 特定技能2号 | 在留者数(2024年6月末) |
---|---|---|---|
介護 | 36,719人 | ||
ビルクリーニング | 4,635人 | ||
工業製品製造業 | 44,067人 | ||
建設業 | 31,919人 | ||
飲食料品製造業 | 70,213人 | ||
外食業 | 20,317人 | ||
自動車運送業 | 試験実施中 | ||
鉄道 | 試験準備中 | ||
林業 | 試験準備中 | ||
木材産業 | 試験開始済 |
※青色の行は2024年に新しく追加された4分野です。残りの農業、漁業、宿泊、自動車整備、造船・舶用工業、航空の6分野も特定技能1号で受入れ可能です。
申請手続きの簡素化と書類提出の変更点
2025年4月の制度改正では、企業の事務負担を大幅に軽減する簡素化が図られました。提出書類の省略や届出頻度の緩和など、重要な変更点を解説します。
申請手続き簡素化の主なポイント
- すでに特定技能外国人を受け入れている企業は、在留期間更新申請時に「受入れ機関の適格性」に関する書類提出が原則不要に
- 定期届出が四半期ごとから年1回に変更され、企業の負担を大幅に軽減
- オンライン申請と電子届出の活用で、さらなる書類省略が可能に
書類提出省略の条件
オンライン申請・電子届出を行い、以下の条件を満たす企業は、適格性に関する書類の提出を省略できます
「一定の事業規模のある機関」の条件(いずれか1つに該当)
- 日本の証券取引所に上場している企業
- 保険業を営む相互会社
- イノベーション創出企業(高度専門職省令対象企業)
- 一定の条件を満たす企業等(資本金・売上高などの条件あり)
- 前年分の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
- 特定技能所属機関として3年間の継続した受入れ実績があり、過去3年間に債務超過となっていない法人
重要: 2025年の改正では、オンライン申請と電子届出の両方を行うことが、書類省略の必須要件となりました。窓口申請では書類省略は認められないため、オンライン対応を進めることをお勧めします。
届出制度の変更点
定期届出の変更
- 四半期ごと → 年1回に変更
- 提出時期:翌年4月1日~5月31日
- 「受入れ・活動状況」と「支援実施状況」の届出書が統合
- 対象年の4月1日~翌年3月31日までの状況を届出
随時届出の変更
- 「受入れ困難」届出の対象を拡大(1か月以上就労開始しない場合なども含む)
- 「基準不適合」届出の対象を明確化(税金滞納、不当解雇、関係法令違反等)
- 「支援実施困難」に関する届出の新設
- 「特異事案報告」の新設(登録支援機関向け)
定期面談の柔軟化
- 3か月に1回以上の面談頻度は維持
- オンライン面談が正式に可能に(外国人の同意・録画保存が必要)
- 面談記録は面談終了日から1年以上保存が必要
- 初回面談や担当者変更時は対面が推奨
- 年1回以上の対面面談が望ましい
企業が押さえるべき実務ポイント
特定技能外国人の受入れにあたり、2025年の制度改正で新たに加わった要件や変更点など、企業が実務上で押さえておくべきポイントを解説します。
共生社会施策との連携義務
2025年の制度改正により、地方自治体が実施する「共生社会の実現」に関する施策への協力が義務となりました。
具体的に求められる対応
- 特定技能外国人が活動・居住する市区町村に「協力確認書」を提出
- 支援計画には地方自治体の「共生社会のための施策」を確認・反映
- 申請書の所属機関等作成用3に「地域の共生施策に関する連携」項目が追加
- 自治体から協力要請があった場合は応じる必要がある
地域との共生は今後ますます重要になります。自治体が実施している日本語教室、生活オリエンテーション、交流イベントなどへの参加を積極的に検討しましょう。
不正行為の範囲拡大
不正行為の類型に以下が追加されました
- 外国人の意思表示を妨げる行為
- 必要な記録を作成しない行為
- 支援委託の再委託行為
- 基準不適合の事実隠蔽
これらに該当する不正行為があった場合、特定技能外国人の受入れが5年間できなくなる可能性があります。
発生頻度の高いトラブル対応
- 外国人の行方不明(14日以内に届出が必要)
- 活動開始の遅延(1か月以上の場合届出必要)
- 自己都合退職(本人からの申出は届出不要、実際に離職した場合は必要)
- 社会保険料等の滞納(「基準不適合」として届出が必要)
特に行方不明や活動困難に関しては、早期の対応と適切な届出が重要です。証拠書類の保管も忘れずに。
対応が必要な主な提出書類
場面 | 必要な書類 | 提出時期 |
---|---|---|
初めて特定技能外国人を受け入れる | 在留資格認定証明書交付申請書、特定技能所属機関概要書など | 採用予定の3〜4ヶ月前 |
在留期間更新 | 在留期間更新許可申請書(所属機関関連書類は原則不要) | 期間満了の3ヶ月前から |
定期届出 | 受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書 | 翌年4/1〜5/31 |
受入れ困難発生時 | 受入れ困難に係る届出(参考様式第3-4号) | 事由発生から14日以内 |
基準不適合発生時 | 基準不適合に係る届出(参考様式第3-5号) | 発生から14日以内 |
特定技能1号と2号の違いと移行要件
特定技能には「1号」と「2号」の2種類があり、在留期間や家族帯同、業務内容に違いがあります。2号は高度な専門性が求められ、多くの分野で2号試験が本格的に始まっています。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
在留期間 | 通算5年まで | 更新回数制限なし(無期限更新可能) |
家族帯同 | 原則不可 | 配偶者・子の帯同可能 |
対象分野 | 16分野すべて | 介護を除く15分野 |
技能水準 | 相当程度の知識・経験が必要 | 熟練した技能が必要(監督・指導経験等) |
支援計画 | 必要 | 不要 |
試験要件 | 技能試験+日本語試験 | 2号試験(より高度な内容) |
特定技能2号への移行要件
特定技能2号への移行には、以下の要件を満たす必要があります
- 2号技能試験の合格
各分野で実施される2号試験に合格する必要があります。
- 実務経験(多くの分野で必要)
多くの分野では「複数の従業員を指導しながら業務に従事した2年以上の実務経験」が求められます。
- 日本語能力(一部分野で必要)
外食業や漁業などでは日本語能力試験N3以上が別途必要となる場合があります。
- 雇用契約・待遇
日本人と同等以上の報酬を確保する必要があります。
※分野によって細かい要件が異なるため、詳細は出入国在留管理庁の公式情報や専門家への相談をお勧めします。
企業のメリット
特定技能2号は、長期的な人材確保と育成に大きなメリットがあります
- 長期的な雇用が可能(更新回数制限なし)
- 家族帯同により定着率が向上
- 熟練した技能による生産性向上
- 支援計画が不要で管理コスト軽減
- 将来的な管理職候補としての育成も可能
行政書士しかま事務所の特定技能サポート
特定技能制度は2025年の改正で申請手続きが簡素化された一方、共生社会との連携や各種届出義務など、企業が対応すべき事項も増えています。適切な対応でスムーズな特定技能外国人の採用・受入れを実現しましょう。
行政書士しかま事務所では、特定技能制度に関する豊富な知識と実績を持つ専門家が、企業様の外国人採用をトータルサポートします。初めての特定技能外国人採用でも安心してお任せいただけます。
サポート内容
- 特定技能に関する無料相談
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 在留期間更新許可申請
- 各種届出の作成・提出代行
- 共生社会施策連携の支援
- 特定技能2号への移行相談
選ばれる理由
特定技能・技人国ビザに特化
専門分野に特化することで、最新情報を常に把握し的確なアドバイスを提供します。
個別対応とワンストップサービス
企業様の状況に合わせた個別対応。申請から採用後の各種届出までワンストップでサポートします。
2025年改正に完全対応
制度改正の内容を熟知し、オンライン申請対応や書類省略の条件を満たすための具体的なアドバイスを提供します。
返金保証制度あり
当事務所の責に帰す場合、申請不許可となった場合の返金保証制度を設けています。安心してご依頼いただけます。
お客様の声
「特定技能制度の複雑な手続きを丁寧に説明していただき、不安なく申請を進められました。2025年の制度改正にも素早く対応いただき感謝しています。」
製造業 A社様
「初めての特定技能外国人採用でしたが、必要書類の準備から申請まで的確なサポートをいただき、スムーズに採用できました。定期面談についてもアドバイスをいただき助かっています。」
介護施設 B社様
行政書士しかま事務所の特定技能サポート
特定技能制度に関するあらゆるご相談に対応します
申請書類の作成代行
在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請など
各種届出の代行
定期届出、随時届出の作成・提出代行
制度に関する相談
2025年の制度改正に関する質問や対応方法の相談
初回相談は無料です。お気軽にご連絡ください。
お気軽にお問い合わせください。090-3426-1600営業時間 9:00 - 18:00 [ 土日・祝日除く ]
メールでのお問い合わせはこちら オンライン相談も承っております