去年は通ったが、今年は通らない。技人国ビザ審査厳格化の実態と対策
「去年は通った」が今年は通らない
技人国ビザ審査厳格化の実態と対策
技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザの審査が年々厳しくなっています。派遣労働の実態調査強化、単純労働との線引き明確化、経営管理ビザの大改正など、過去の許可事例が通用しなくなっています。不許可を避けるために今すぐ見直すべきポイントを解説。
📌 30秒でわかる結論
「去年と同じ書類」では不許可リスクが高い
最新の審査基準に合わせた書類作成が必須
特に派遣労働・単純労働との線引き・学歴と業務の関連性が厳格にチェックされています
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ビザ審査が厳格化している背景
「去年は同じ書類で許可が出たのに、今年は不許可になった」——このような声が、企業の人事担当者から多く聞かれるようになりました。ビザ審査は、法改正や運用指針の変更により、年々厳格化しています。
📋 審査厳格化の主な背景
①制度の悪用防止
名目上の職種で在留資格を取得し、実際には単純労働に従事するケースへの対策
②在留管理の適正化
不法就労、不法滞在の温床となる「偽装申請」の排除
③社会保障制度の適正運用
税金・社会保険料の滞納者への対応強化
④質の高い外国人材の誘致
真に専門性の高い人材を受け入れるための基準明確化
これらの背景から、出入国在留管理庁は審査基準を継続的に見直し、運用を厳格化しています。「去年の成功例」は、今年の基準では不十分である可能性が高いのです。
⚠️ 高市政権で外国人政策がさらに厳格化
2025年10月に発足した高市政権は、外国人政策の厳格化を明確に打ち出しています。2025年11月には関係閣僚会議を設置し、2026年1月を目途に基本方針をまとめる方針です。
「ルールを守らない外国人への厳格な対応」を進める方針であり、審査基準のさらなる厳格化が予想されます。
技人国ビザの審査強化ポイント
技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザは、在留外国人の中で3番目に多い在留資格です(2024年6月時点で約39万4千人)。しかし、近年は審査が厳格化しており、以下のポイントが特に重視されています。
①学歴と業務の関連性
大学・専門学校で学んだ専攻分野と、日本で従事する業務内容の関連性が厳格にチェックされます。「経済学部卒→ITエンジニア」のような関連性の薄いケースは不許可リスクが高い。
②業務内容の専門性
「誰でもできる仕事」ではなく、専門知識が必要な業務であることが求められます。マニュアルを見れば習得できる業務は「単純労働」と判断されます。
③派遣労働の実態
派遣先での具体的な職務内容が明確でない場合、不許可となるリスクが高い。派遣契約が短期間で頻繁に変わるケースも問題視されます。
④日本人と同等以上の報酬
同職種の日本人従業員と同等以上の給与設定が必要です。業界平均より著しく低い給与は不許可理由になります。
🚨 審査期間も長期化
2025年の技人国ビザ審査期間(全国平均)
・認定証明書交付申請:約2〜3ヶ月(最長で64.9日)
・更新申請:長期化傾向
・変更申請:2025年7月に64.2日まで長期化
審査が厳格化しているため、余裕を持ったスケジュールで申請することが重要です。
単純労働と判断される業務・されない業務
2024年2月、出入国在留管理庁は技人国ビザの「単純労働との線引き」を明確化する通知を発出しました。これにより、以下の業務は原則として許可されなくなっています。
❌ 単純労働と判断される業務
- 飲食店:ホール業務、調理補助、皿洗い、清掃
- 小売店:レジ業務、品出し、在庫管理の単純作業
- 製造業:ライン作業、梱包、検品の単純作業
- 建設業:現場作業、資材運搬、清掃
- その他:単純なデータ入力作業のみ
✅ 専門性が認められる業務
- 企画・立案:商品開発、マーケティング戦略の策定
- システム開発:プログラミング、データベース設計
- 翻訳・通訳:専門知識を要する文書の翻訳
- 管理業務:店舗運営の企画、スタッフ教育、売上分析
- 営業:専門知識を活かした提案営業
ポイント:「専門知識を活かしているか」がカギ
同じ「営業職」でも、単なるルート営業は不可ですが、専門知識を活かした提案営業(例:ITソリューションの提案、海外クライアントへの営業)であれば許可される可能性があります。
申請書類では、「どのような専門知識を、どのように業務に活かすのか」を具体的に説明することが重要です。
派遣労働への実態調査強化
2025年、出入国在留管理庁は技人国ビザで就労する外国人の派遣労働について実態把握を強化する方針を示しました。派遣形態での申請は、直接雇用に比べて審査が厳しくなっています。
⚠️ 派遣労働で審査が厳しくなるケース
❌ 派遣先での業務内容が不明瞭:派遣先企業での具体的な職務内容が説明できない
❌ 単純労働の疑い:派遣先で専門知識を活かせない業務に従事している
❌ 派遣契約の頻繁な変更:短期間で派遣先が変わり、職務内容が一貫しない
❌ 学歴・職歴との関連性欠如:派遣先業務が申請者の専門性と無関係
📋 派遣での申請を通すためのポイント
✅ 派遣先での業務内容を具体的に記載:「翻訳業務」ではなく「海外取引先との契約書翻訳、英語での電話対応、商談通訳」など
✅ 派遣契約書に業務内容を明記:曖昧な表現を避け、専門性が伝わる記載に
✅ 派遣先企業の説明資料を添付:派遣先でどのような専門業務に従事するかを説明
✅ 長期の派遣契約を確保:短期の派遣は「安定した雇用」と見なされにくい
経営管理ビザの2025年10月大改正
経営管理ビザは、2025年10月16日から要件が大幅に厳格化されました。この改正は、新規申請だけでなく、更新申請にも影響します。技人国から経営管理への変更を検討している方は要注意です。
🚨 経営管理ビザ2025年10月改正の主な変更点
①資本金要件
500万円 → 3000万円(一部例外あり)
②日本語能力
基準なし → N2相当以上が望ましい
③常勤雇用
不要 → 2名以上の常勤雇用(一部業種)
④事業計画の具体性
より詳細な事業計画書と収支予測が必要
📋 既存の経営管理ビザ保有者への影響
改正前に経営管理ビザを取得した方にも、更新時に新基準が適用される可能性があります。特に以下の点が審査で重視されます。
・事業の継続性:過去の売上実績、顧客基盤の有無
・財務健全性:連続赤字、債務超過の有無
・税金・社会保険料の納付状況:滞納がないこと
・事業の実態:オフィスの実在性、従業員の雇用実態
今すぐ見直すべき申請書類5つのポイント
審査厳格化に対応するため、申請書類を以下の5つのポイントで見直しましょう。
職務内容の具体性を徹底的に説明
「営業」「事務」といった曖昧な表現ではなく、具体的な業務内容を詳細に記載。「どのような専門知識を活用するか」を明確に。
学歴・職歴と業務の関連性を明示
申請者の学歴(専攻分野)と職務内容の関連性を、理由書で詳細に説明。関連性が薄い場合は、過去の職歴や資格で補完。
企業の財務健全性を立証
決算書が赤字の場合、改善計画書や資金繰り表を添付し、事業継続性と給与支払能力を立証。
給与水準の適正性を証明
「日本人と同等以上の報酬」を証明するため、同職種の日本人従業員の給与や業界平均給与と比較できる資料を添付。
納税・社会保険料の納付証明を完備
特に更新申請では、過去数年分の納税証明書と社会保険料の納付記録が重要。滞納がある場合は、事前に完納してから申請。
【改善例】職務内容の記載
「営業業務」
「海外クライアント向けのマーケティング戦略立案、英語での商談、契約書の翻訳・作成。大学で学んだ経営学・マーケティングの知識を活かし、海外市場の動向分析と販路開拓を担当。」
✅ 審査厳格化時代を乗り切るための3つの鉄則
①最新情報の継続的な確認:出入国在留管理庁の公式サイトで法改正・運用変更を定期的にチェック
②書類の具体性と説得力:曖昧な表現を排除し、具体的なデータと説明で審査官を納得させる
③専門家の活用:経験豊富な行政書士に相談し、最新の審査動向に基づいた申請を行う
料金・サポート内容
💰 ビザ申請の料金
✅ 当事務所のサポート内容
・最新の審査動向に基づいた申請書類作成
・学歴と業務の関連性を明確にする理由書作成
・職務内容の専門性を説明する業務内容説明書作成
・不許可時の理由分析・再申請サポート
・企業向け:外国人雇用のコンプライアンス体制構築支援
まとめ
📝 この記事のまとめ
- ビザ審査は年々厳格化:過去の許可事例が通用しなくなっている
- 技人国は「単純労働との線引き」が明確化:ホール業務、レジ業務、ライン作業は不可
- 派遣労働への実態調査が強化:派遣先での業務内容を具体的に説明する必要
- 経営管理ビザは2025年10月に大改正:資本金3000万円、常勤雇用2名が必要に
- 申請書類の見直しポイント:職務内容の具体性、学歴との関連性、給与水準、納税証明
⚠️ 「去年と同じ」では通用しない時代に
審査基準は常に変化しています。過去に許可を得た実績がある企業ほど、「去年と同じでいい」という油断が生じやすくなります。
毎回、最新の基準に照らして書類を見直すことが、確実な許可への唯一の道です。
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📋 この記事の情報について
本記事の情報は2025年12月時点の入管法令および実務運用に基づいています。審査基準、提出期限などは、法改正や入管の運用変更により変更される可能性があります。実際にビザ申請を行う際は、必ず最新の法令を確認し、専門家(申請取次行政書士など)にご相談の上、手続きを進めてください。

