【ワーホリからの日本就職】ビザの「切り替え」は原則NG!知っておくべき正しい手順と採用企業の注意点
【ワーホリからの日本就職】ビザの「切り替え」は原則NG!
知っておくべき正しい手順と採用企業の注意点
この記事を読むとわかること
- ワーホリから就労ビザへの「切り替え」が原則できない法的根拠
- 日本で就職を決めた後に取るべき「正しいビザ手続き」の全ステップ
- 「在留資格認定証明書(COE)」申請の具体的プロセス
- 例外的に変更可能な5か国とその条件
- 企業がワーホリ滞在者を採用する際の正しいスケジュール感と注意点
ワーホリからの日本就職、こんな「誤解」していませんか?
- 「ワーホリのビザが切れる直前に、日本国内で就労ビザに変更できるでしょ?」
- 「会社に内定をもらえば、そのまま働き続けられるんじゃないの?」
- 「一度帰国しないといけないなんて、知らなかった…」
- 「COE申請って、何?普通のビザ申請と違うの?」
- 「採用する企業として、何をどうサポートすればいい?」
目次
1. はじめに:ワーホリからの日本就職、その「ビザ切り替え」の大きな誤解
行政書士しかま事務所の鹿間です。
ワーキングホリデー制度を利用して日本に滞在されている外国人の方から、「日本で就職が決まったので、このままビザを切り替えたい」というご相談を非常に多くいただきます。しかし、「日本国内でワーキングホリデービザから就労ビザに切り替えができる」という認識は、多くの場合において重大な誤解なのです。
この誤解が招く結果は深刻です。採用計画の大幅な遅延、内定取り消し、さらには在留期限を超過してしまうリスクまで存在します。日本での素晴らしいキャリアチャンスを逃さないためにも、正しい手続きを理解することが不可欠です。
本記事では、ワーキングホリデーから就労ビザを取得するための正しい手順を、法的根拠とともに詳しく解説いたします。
2. 【最重要】なぜワーホリから就労ビザへの「国内変更」は原則NGなのか?
重要な法的事実
ワーキングホリデー(特定活動)から就労ビザへの在留資格変更許可申請は、原則として認められません。
ワーキングホリデー制度の本来の趣旨
ワーキングホリデー制度は、日本と各国との間で締結された二国間協定に基づく制度で、あくまで「休暇」が主目的です。滞在中の就労は、その休暇期間中の滞在費を補うための付随的な活動として位置づけられています。
「やむを得ない特別の事情」という高いハードル
在留資格変更許可申請が認められるためには、入管法上「やむを得ない特別の事情」が必要とされています。しかし、「日本で就職が決まった」という事情は、通常この「やむを得ない特別の事情」には該当しないというのが入国管理局の基本的な運用方針です。
協定に明記された制限
多くの国との協定では、「在留期間が終了した際に日本を出国する意図があること」が明確に条件として定められており、この協定上の制約が国内での在留資格変更を原則として認めない法的根拠となっています。
3. 【これが正規ルート】就職決定後に踏むべき3つのステップ
正規ルートの全体像
ワーキングホリデー滞在者が日本で正規に就職するための手続きは、上記の3ステップが基本となります。この手順を理解せずに進めると、深刻な問題が発生する可能性があります。
次のセクションから、各ステップの詳細を見ていきましょう。
4. ステップ1:内定と雇用契約、そして「在留資格認定証明書(COE)」交付申請
内定と雇用契約の締結
まず、ワーキングホリデー期間中に日本で就職先を決定し、正式な雇用契約を締結します。この段階で重要なのは、技術・人文知識・国際業務ビザの要件を満たす職務内容であることです。
COE申請の重要性
雇用契約締結後、企業が申請人に代わって「在留資格認定証明書(COE:Certificate of Eligibility)」の交付申請を行います。このCOEは、外国人が日本で行う活動が入管法上の在留資格に該当することを法務大臣が事前に認定する証明書です。
COE申請で審査されるポイント
- 学歴・職歴要件:大学卒業または関連分野での10年以上の実務経験
- 業務内容の適合性:専門的・技術的業務であること
- 学歴・職歴と業務の関連性:専攻分野と職務内容の一致
- 企業の安定性:継続的な事業運営能力
- 報酬の妥当性:日本人と同等以上の給与水準
審査期間の考慮
COEの審査期間は通常1~3か月程度ですが、案件によってはそれ以上かかる場合もあります。ワーキングホリデーの在留期限を考慮した計画的な申請が必要です。
5. ステップ2:本国へ帰国し、日本の在外公館でビザ(査証)を申請
帰国のタイミング
ワーキングホリデーの在留期限が切れる前に、必ず本国へ帰国する必要があります。在留期限を超過してしまうと、不法滞在となり、将来の日本入国に重大な支障をきたします。
査証(ビザ)申請の手続き
帰国後、日本の企業から送付されたCOEとその他の必要書類を持って、自国にある日本大使館・総領事館で就労ビザ(査証)の発給を申請します。
査証申請に必要な主な書類
- • 在留資格認定証明書(COE)
- • パスポート
- • 査証申請書
- • 写真
- • その他、大使館・総領事館が求める書類
査証発給までの期間
査証の発給には通常数日から1週間程度を要しますが、国や時期によって異なります。企業の入社予定日を考慮した余裕のあるスケジュールが重要です。
6. ステップ3:新しい就労ビザで日本へ再入国、就労開始
再入国と在留カードの交付
査証が発給されたパスポートを持って日本へ再入国します。空港での入国審査において、新しい在留資格「技術・人文知識・国際業務」の在留カードが交付されます。
正式な就労開始
新しい在留カードを受領した時点から、正式に就労ビザでの活動が可能となり、企業での勤務を開始できます。
重要な注意点
ワーキングホリデー期間中に行っていた活動と、新しい就労ビザで行う活動は明確に区別されます。新しい在留カードを受領するまでは、就労ビザでの本格的な業務に従事することはできません。
7. 【企業向け】採用計画で注意すべきこと:時間と手続きの理解
採用スケジュールの重要性
ワーキングホリデー滞在者を採用する企業が最も注意すべきは、内定から実際の入社まで数か月を要するということです。以下のタイムラインを考慮した計画が必要です
標準的なタイムライン
候補者への事前説明
採用過程において、この手続きの流れと必要な期間について候補者に正確に説明し、理解を得ることが極めて重要です。誤解があると後のトラブルにつながります。
企業の責任と役割
COE申請は企業が主体となって行う手続きです。必要書類の準備、申請書の作成、入国管理局との対応など、企業側の全面的な協力が不可欠です。
企業が注意すべきリスク
- • 手続きの理解不足による採用計画の破綻
- • 在留期限超過による候補者の不法滞在リスク
- • COE不許可による内定取り消しの可能性
- • 専門業務以外での採用によるビザ要件不適合
8. (補足)例外的に国内での変更が認められる可能性のあるケース
変更可能な5か国・地域
以下の5か国・地域出身のワーキングホリデー滞在者については、例外的に日本国内での在留資格変更が認められる場合があります
例外的扱いの背景
これらの国・地域との協定では、「在留期間終了時の出国意図」という条件が他国ほど厳格ではないため、個別の事情によって国内での在留資格変更が認められる場合があります。
重要な注意事項
- • あくまで「認められる場合がある」であり、保証されているわけではありません
- • 個別の審査となり、通常の就労ビザ要件を満たす必要があります
- • 申請前の事前相談や専門家への相談を強く推奨します
- • 不許可のリスクを考慮し、原則ルート(COE申請)も並行検討すべきです
実務上の運用
入国管理局によって運用が異なる場合があるため、該当する国籍の方でも、事前に管轄の入国管理局への相談や、専門家である行政書士への相談をお勧めします。
9. まとめ:正しい手続きの理解が、日本でのキャリアの第一歩
ワーキングホリデーから日本での正規就職は、決して不可能ではありません。しかし、その道筋は多くの方が想像している「国内でのビザ切り替え」ではなく、「一度帰国してCOEを取得する」というのが原則的なルートです。
成功のための3つのポイント
正確な手続きの理解
COE申請が正規ルートであることを理解し、適切なタイミングで申請を開始する
十分な時間的余裕
内定から入社まで数か月を要することを前提とした計画立案
企業と本人の連携
企業と申請人が協力し、専門家のサポートを得ながら進める
この正しいプロセスを理解し、計画的に準備を進めることで、ワーキングホリデーでの貴重な経験を、日本での長期的なキャリア構築につなげることができます。
不明な点や不安がある場合は、迷わず専門家にご相談ください。適切なサポートを受けることで、確実かつスムーズに手続きを進めることができます。
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