業界特化!卸売・小売業のための持続化補助金攻略法
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はじめに
変化の激しい現代において、中小企業にとって持続的な成長を実現することは大きな課題です。販路開拓は売上拡大に不可欠な取り組みですが、限られた予算やリソースの中で効果的な方法を実行するのは容易ではありません。
そこで本記事では、小規模事業者持続化補助金(以下、「持続化補助金」)を活用して販路開拓に成功した9の実例を分析し、マーケティングの視点から成功の秘訣と補助金の戦略的な活用方法を徹底解説します。
持続化補助金とは?
概要
持続化補助金は、小規模事業者が持続的な経営を実現するために、経営計画に基づいた販路開拓や業務効率化等に取り組む際に、その費用の一部を補助する制度です。
対象となる事業者
- 従業員数が20人以下
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
- 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
補助金の額
補助金の使い道
- 販路開拓:専用WEBページ作成、チラシ・パンフレット作成、展示会出展等
- 業務効率化:IT導入、設備投資、コンサルティング費用等
「卸・小売業」の実例から学ぶ戦略的活用
事例まとめ
事例 | タイトル | 施策 | 結果 |
---|---|---|---|
① | 改装とHP・メニューリニューアルを同時に行い売り上げ増に成功 | チラシを制作・配布 | 家電・PC相談件数が6倍に増加 |
② | 「オフィス作り」に特化したWebの構築とセミナーの定期開催 | オフィス作り相談窓口を設置、ホームページを立ち上げ、オフィス作りセミナーを開催 | オフィス関連工事の売上高が前年比148%増加 |
③ | リフォーム情報をHPで発信することにより、顧客の取り組みに成功 | ホームページをリニューアル、ミニコミ誌を配布、感謝祭を開催、ショールームで料理教室や省エネサポートセミナーを開催 | 新規顧客が50件増加、設備工事の詳細を画像と文書でわかりやすく説明 |
④ | インターネット広告を実施し地域外の顧客を獲得 | インターネット広告を導入 | 流入率が前年比150%達成、新規顧客50件獲得 |
⑤ | ニットウエアによる福祉市場への販路開拓 | カスタマイズ可能なニット製品を開発、パンフレットを作成 | 新規取引店舗4店舗獲得、売上高が前年比33%増加 |
⑥ | 海外新規顧客獲得のための海外展示会出展と自社ギャラリーの改装 | 海外展示会に出展、ギャラリースペースを改装 | 約140万円の売上、万年筆サミット開催 |
⑦ | あなたに寄り添うメガネ屋さん | チラシを作成、フリーペーパーに掲載、既存顧客にダイレクトメールを発送 | 新規顧客が前年比50人以上獲得、売上高が前年比10%増加 |
⑧ | 買い物不便地域への生鮮品販売を実施 | 地元産の新鮮な農産物を届ける宅配サービスを開始 | 高齢者から好評、新聞定期購読者数の増加も期待 |
⑨ | 桐製積み木の製造・販売・広報活動の強化 | 製作機械と治具を導入、移動販売用テントとパンフレットを作成 | 生産効率が飛躍的に向上、売上高が約3%増加 |
各事例紹介
①改装とHP・メニューリニューアルを同時に行い売り上げ増に成功
高齢化とデジタル化が同時に進行する現代社会において、家電製品やパソコンの操作に頭を悩ます人々が後を絶ちません。特に、IoT化による製品の複雑化はシニア層に大きな壁となっています。一方で、インターネットの情報だけに頼る若者たちも、実物を確認してから購入したいというニーズがあります。
このような背景のもと、「家電・PC何でも相談所」が誕生しました。地域の家電販売店が中心となり、専門スタッフがPCやスマホの設定、家電の操作方法など、さまざまな疑問に一つ一つ丁寧に答える場を提供します。
事業の立ち上げ初期、認知度の低さが課題でしたが、小規模事業者持続化補助金の活用によりチラシを制作、これを新聞に折り込み、地域へポスティングし、大幅な認知度アップに成功しました。結果として、わずか3ヶ月で家電・パソコンの相談件数は6倍に増加し、新規顧客獲得にも大きな成果を上げ、特に若者層からの問い合わせが顕著に増えました。
今後は、この成功を基に、定期的なチラシ配布やDMの発送を通じて、新旧顧客との関係をさらに深めていく計画です。この「家電・PC何でも相談所」は、その親切丁寧な対応、幅広い知識と経験、そして購入前の実物確認ができる安心感を提供することで、地域に密着したサービスとして、高齢者から若者まで、幅広い世代に愛される存在になりました。
この事例は、地域社会における小規模事業の可能性と、持続化補助金を活用した革新的なアプローチがいかに地域コミュニティを豊かにするかを示しています。これからも「家電・PC何でも相談所」は、あらゆる世代の信頼できるパートナーとして、その活動を続けていくでしょう。
②「オフィス作り」に特化したWebの構築とセミナーの定期開催
オフィスの移転やリニューアルを手掛ける事業者が、小規模事業者持続化補助金を活用して、業界に新たな一石を投じる取り組みを実施しました。この事業者は、オフィス作りに特化した相談窓口を設置し、その存在を広く知らせるために専用のホームページを立ち上げたのです。さらに、オフィス作りセミナーを開催し、潜在顧客の集客を図りました。
この取り組みは、事業開始からわずか6ヶ月で顕著な成果を上げました。新規に開発した販売・集客用ホームページを通じて、これまで接点のなかった民間企業からの注文を獲得。結果として、オフィス関連工事の売上高は前年比148%と大幅に増加しました。新規の顧客を3社獲得することができたのです。
事業者は、この成功について「経営計画の策定により、事業具体化のための課題が明確になった」と述べています。また、商工会議所からの“専門家派遣制度”に関するアドバイスが成功の要因だったとも指摘しています。
この事例からは、小規模事業者持続化補助金を活用し、明確な戦略と計画に基づいて事業を推進することの重要性が浮き彫りになります。今回の成功を踏まえ、事業者は新たな商品・サービスの開発にも着手する予定です。この事業者の挑戦は、同業他社にとっても大きな刺激となり、オフィスリニューアル市場における新たな可能性を示す一例と言えるでしょう。
③リフォーム情報をHPで発信することにより、顧客の取り組みに成功
省エネと住宅の快適性への関心が高まる現代社会において、ある小規模事業者が革新的なアプローチで地域のニーズに応えています。スマートフォンやタブレットに最適化されたホームページを通じて、水廻りのリフォームを中心に無償診断サービスや省エネサポートを提供し、より快適な暮らしを地域住民に提案しています。
この事業者は、人口減少と高齢化が進む地元木曽町において、「お客様ともっと身近に…」をテーマに掲げ、ミニコミ誌の配布や感謝祭の開催を通じて、コミュニケーションの場を創出。ショールームでの料理教室や省エネサポートセミナーを開催することで、お客様に製品を直接見て、触って、体感してもらうことに成功しました。
その結果、新規顧客が50件増加し、特に「とくとく祭り」では、成約につながる効果が顕著に表れました。さらに、設備工事の詳細を画像と文書でわかりやすく説明することで、お客様からの信頼を獲得。これにより、業界内の価格競争を超えた事業継続が可能となりました。
事業者は、タブレット端末を用いた画像による説明が、顧客からの問い合わせに対する有効なツールとなり、サービス向上に寄与していると実感。また、「とくとく祭り」の成功を踏まえ、商談や相談の機会を増やすことで、さらなる新規顧客獲得とコミュニケーションの深化が期待されています。
この事例は、小規模事業者が地域の特性とニーズを踏まえ、持続化補助金を活用して新たな価値を提供し、地域住民との絆を深めることがいかに重要かを示しています。技術の進化を取り入れながら、地元に根差したサービス提供に努めるこの事業者の取り組みは、他の小規模事業者にとっても大きな示唆を与えるものです。
④インターネット広告を実施し地域外の顧客を獲得
あるフラワーギフト専門店が、インターネットショッピングモール大手の楽天株式会社と手を組み、補助金を活用してインターネット広告を導入することで、新規顧客獲得とリピーター増加を目指した事業を展開しました。特に、「今すぐに贈りたい方向け」の提案を行い、業績向上を図りました。
この戦略は見事成功を収め、インターネット広告を通じて多くの人々の目に留まることで、広い世代に向けた新規開拓を実現しました。その結果、経営の持続的な発展に大きく貢献し、流入率は昨年を上回る成果を達成しました。特に、40代から50代の年齢層では、平均顧客割合が2015年の52%から2016年には55.3%まで飛躍。これは、広告を通じた企業の信頼性が、購入決定に影響を与えたと考えられます。
事業者は、この補助事業を通じて得た新規顧客やリピーター客に対し、今後もスピード感と丁寧さを追求し、心に残るフラワーギフト作りを続ける意向です。また、花の利用率が低迷している現状を鑑み、花の生産地である長野県から新鮮なお花を全国の多くの人々へ届けることで、花業界全体の活性化に貢献したいとしています。
この事例からは、インターネット広告の有効利用がいかに事業の成長に寄与するかが見て取れます。また、補助金を活用することで、限られた予算内で最大限の効果を追求し、持続可能な経営基盤を築くことが可能になることも示されました。このフラワーギフト専門店の挑戦は、他の小規模事業者にとっても大いに参考になる事例と言えるでしょう。
⑤ニットウエアによる福祉市場への販路開拓
福祉市場に特化し、細分化されたニーズに応えるため、ある企業がカスタマイズ可能なニット製品の開発に乗り出しました。この新たな試みは、多様な糸の購入と自社のニット機械を用いて独自の編み地開発と製品試作によって実現しました。また、この新商品を広く周知するために、パンフレットの作成と配布を行いました。
この革新的な取り組みにより、感度の高い年配顧客層を含む、これまでにない市場への販売機会を創出することに成功しました。パンフレット配布による周知活動も、想定以上の反響を呼び、事業開始から約半年間で新規の取引店舗を4店舗獲得。結果として、売上高は前年比33%の増加を達成しました。
事業者は、「セミオーダーに特化したニット製品の開発を進めることができた」と自負し、東京商工会議所からの経営計画に関するアドバイスが事業推進に大きく寄与したと語っています。今後も、この事業の成果を踏まえ、事業のさらなるブラッシュアップと新製品開発に着手する予定です。
この事例は、福祉市場におけるニーズの多様化に対応し、カスタマイズ可能な製品開発によって新たな顧客層を開拓することの重要性を示しています。また、事業計画の策定と実行の過程で、外部からの専門的なアドバイスを活用することの価値も強調しています。この企業の挑戦は、同様の市場で事業を展開する他の小規模事業者にとっても、大きな示唆を与えるものと言えるでしょう
⑥海外新規顧客獲得のための海外展示会出展と自社ギャラリーの改装
ある小規模事業者が、新規顧客獲得のために大胆な戦略を実行しました。その一環として「サンフランシスコ インターナショナルペンショー」への出展を果たし、さらには来店促進のためにギャラリースペースの改装も行いました。
この取り組みの成果は目覚ましく、海外展示会の後にはインターネットを通じて14件の申し込みがあり、これらは全て販売につながり、平均100,000円での販売が実現しました。この結果、約1,400,000円の売上げを記録しました。また、ギャラリースペースの改装は、早稲田大学文房具クラブを含む10名の学生に向けた「万年筆サミット」という講義を実施する機会をもたらしました。
事業者は、創業塾やセミナーへの参加を通じて経営計画書の作成が「非常に勉強になった」と語っています。経営における販路開拓や売上目標の設定に大きな意義を見出し、新規顧客の獲得とギャラリー(商談スペース)の改装を通じて、さらなる経営意欲の向上を感じています。
この事例からは、小規模事業者でも積極的な海外展示会への参加や施設の改善により、大きな成果を挙げることが可能であることが示されています。また、経営計画の策定や教育プログラムへの参加が、事業の成功に不可欠な要素であることも強調されています。この成功事例は、他の小規模事業者にとっても、新たな挑戦をする上で大いに参考になることでしょう。
⑦あなたに寄り添うメガネ屋さん
ある眼鏡販売業者が、検眼車を利用した出張販売と修理サービスを市内の過疎地区に向けて広めるため、積極的なPR活動を展開しました。この取り組みには、チラシ作成やフリーペーパーへの掲載、そして既存顧客へのダイレクトメール発送が含まれています。
この戦略のおかげで、過疎地区に暮らす高齢者を含む市内外の顧客への販売機会が大きく増加。事業開始から1年半で新規顧客が前年比で50人以上獲得され、売上高は前年比で10%増加するという成果を挙げました。
事業者は、経営計画の策定を通じて、自社の強みを活かした事業展開を具体化し、優先順位を明確にすることができたと語っています。また、商工会議所からの販路拡大に関するアドバイスが成功の要因だったとも述べています。これを基に、今後も新たな販路拡大の取り組みに着手する予定です。
経営指導員は、他店にはない独自の武器である検眼車の有効活用を軸に、PRのターゲット選定や必要としている顧客層の分析を行い、経営革新計画を策定したことが補助金申請の成功につながったと指摘しています。今後も事業者の意向に寄り添いつつ、支援を続ける意向を示しています。
この事例からは、地域特有の課題に対して独自の資源を活用し、具体的な経営戦略を立てることの重要性が浮き彫りになります。また、外部からの専門的なアドバイスを取り入れることが、事業成功の大きな助けになることも示されています。この眼鏡販売業者の挑戦は、他の小規模事業者にとっても大いに参考になるでしょう。
⑧買い物不便地域への生鮮品販売を実施
サービスのPRとして76,000枚のチラシを新聞に折り込み、買い物不便地域への配達用に軽自動車も購入しました。チラシでは、生産者の顔写真を掲載し、地産地消の重要性を訴えることで、この宅配サービスが地域に根差したものであることを強調しました。
買い物が困難な地域への支援として、ある事業者が補助金を活用し、地元産の新鮮な農産物を届ける宅配サービスを開始しました。このサービスは、新鮮な朝採れ野菜を中心に、地域の高齢者など買い物に不便を感じている層に向けて提供されています。
この宅配サービスは、特に高齢者の顧客から大変好評を得ており、生産者と消費者の間でコミュニケーションが生まれ、地域社会の絆を強化しています。さらに、宅配サービスを通じて、他のサービスへの関心も高まり、新聞の定期購読者数の増加も期待されています。
事業者は、この宅配サービスが顧客に安心して楽しく充実した生活を送るためのサービスを提供することにより、経営方針を一歩前進させることができたと感じています。今後も顧客のニーズに応え、サービスの質の向上に努めることで、地域社会への貢献を目指していきたいと考えています。
この事業者の取り組みは、地域における買い物不便地域への積極的な支援と、地産地消の推進を通じて、地域経済の活性化に貢献しています。また、顧客との直接的なコミュニケーションを大切にすることで、信頼関係を築き、サービスの質を高めている点は、他の事業者にとっても参考になる事例でしょう。
⑨桐製積み木の製造・販売・広報活動の強化
ある創造的な事業者が、オリジナルの桐製積み木「タカヤス つみき フォーベビー」の製造と移動販売の強化によって、市場に新たな風を吹き込みました。生産効率の向上を目指し、製作機械と治具の導入を決定。さらに、商品イメージに統一されたデザインの移動販売用テントの製作と、PR用パンフレットの作成によって広報活動を強化しました。
この取り組みにより、ピースの面取り作業時間が大幅に短縮され、生産効率が飛躍的に向上しました。また、統一されたデザインの移動販売用テントとパンフレットは、商品イメージを高める演出効果を発揮し、売上増加に大きく貢献。具体的には約3%の売上増加を達成しました。
事業者は、このオリジナル桐製積み木が「いばらきデザインセレクション」で選定される栄誉を受けたことを誇りに思っています。この受賞は、製品の質の高さとデザインの優れた統一感が認められた結果であり、事業者のイメージアップに大きく寄与しました。
今回の事業の成果を踏まえ、事業者は新たな商品開発への意欲を新たにしています。生産の効率化と販売戦略の強化を通じて見えてきた成功は、今後の事業展開においても重要な指針となりそうです。
この事例は、小規模事業者がイノベーションを起こし、市場に新しい価値を提供することの可能性を示しています。特に、製品の品質向上とブランドイメージの構築において、緻密な計画と戦略的な実行がいかに重要かを教えてくれます。
中小企業庁「ミラサポplus」をもとに行政書士しかま事務所作成
持続化補助金の成功への導入戦略
持続化補助金の成功には、以下の要素が重要です。
- ニーズの特定と解決: 市場や顧客のニーズを正確に把握し、それに応えるサービスや製品を提供すること。
- 効果的なPR戦略: 目的とする顧客層に適したメディアを選定し、ブランドメッセージを効果的に伝えること。
- 生産効率の向上: 新技術や機械の導入により、コスト削減と品質向上を実現すること。
- 顧客との関係構築: 顧客との直接的なコミュニケーションを通じて、信頼関係を築き、長期的なロイヤルティを育成すること。
これらの戦略を総合的に実施し、持続可能な事業運営を目指すことが、補助金の成功に繋がります。事業者は、自社の強みを活かしつつ、市場の変化に柔軟に対応することで、競争優位性を確保し、事業の持続的な成長を実現できるでしょう。
まとめ
持続化補助金は、中小企業にとって販路開拓を成功させるための強力な支援策です。9の実例を分析し、マーケティング視点から成功の秘訣と戦略的な活用方法を解説しました。
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