2024年6月15日義務化:特定技能と食品産業特定技能協議会の新たな展開
深刻化する人手不足に直面する日本の食品産業。その解決策の一つとして、政府は新たな在留資格「特定技能」を導入しました。
「特定技能」とは、一定の専門性・技能を持つ外国人が日本で働くことを可能にする在留資格です。飲食料品製造業や外食業といった食品産業でも、この制度を活用し、外国人材の受け入れが進められています。
しかし、新たな制度の導入には、円滑な運用や課題解決に向けた取り組みが不可欠です。そこで設立されたのが、食品産業特定技能協議会です。
食品産業特定技能協議会の役割と活動
食品産業特定技能協議会は、飲食料品製造業や外食業における特定技能制度の適切な運用を図ることを目的とした組織です。企業や団体、政府機関などが連携し、外国人材の受け入れをスムーズに進め、業界全体の発展を目指しています。
主な活動内容は次の通りです。
制度の周知と啓発
特定技能制度の仕組みやメリット、優良事例などを広く周知し、企業や団体が制度を正しく理解し、活用できるよう支援します。また、法令遵守の啓発を行い、適正な受け入れを促進します。
情報収集と分析
経済情勢や就業構造の変化、地域別の人手不足状況など、特定技能制度の運用に関連する情報を収集・分析し、関係者と共有します。これにより、制度の改善や課題解決に役立つ情報を提供します。
集中回避策の検討
特定の地域や企業に外国人が集中することを防ぐため、受け入れ状況を把握し、必要な対応策を検討・調整します。
外国人労働者の保護
特定技能外国人の人権を保護し、安心して働ける環境を整備します。また、所属機関の倒産時などには転職支援を行います。
協議会への加入義務化
2023年6月15日より、飲食料品製造業分野および外食業分野において特定技能外国人を雇用する場合、食品産業特定技能協議会への加入が義務化されました。
協議会への加入は、出入国在留管理庁への在留資格申請の前に行う必要があり、審査には通常1~2か月程度かかります。
加入手続きの流れ
- WEB申請
加入申請フォームより必要事項を入力し、WEBで申請します。 - 書類送付
事務局からのメールを受け取り、誓約書や営業許可証、登録支援機関登録(変更)通知書等の提出書類をPDF化して返信します。 - 審査
通常1~2ヶ月程度で審査が行われ、承認後に加入証がメールで送付されます。
必要書類
- 特定技能外国人の受入れに関する誓約書(飲食料品製造業分野は分野参考様式第13-1号、外食業分野は分野参考様式第14-1号)
- 営業許可証の写し(外食業分野で受け入れる場合)
- 登録支援機関登録(更新)通知書の写し
- その他、審査の過程で追加書類の提出が求められることがあります
協議会組織と運営
協議会は、運営委員会を中核に、飲食料品製造業部会、外食業部会、水産加工分科会などで構成されています。
運営委員会は協議会の活動を統括し、重要事項を決定します。各部会・分科会は、それぞれの分野における課題や情報を共有し、具体的な対応策を検討します。
会員は、特定技能所属機関(受入れ機関)、登録支援機関、業界団体、学識経験者、関係省庁など、多岐にわたります。
今後の展望
食品産業特定技能協議会は、特定技能制度の円滑な運用を通じて、食品産業における人手不足の解消に貢献することが期待されています。また、外国人材の受け入れと育成を通じて、食品産業の活性化にもつながることが期待されます。
食品産業特定技能協議会は、日本の食を支える重要な役割を担っています。外国人材の活用と育成を通じて、日本の食品産業の未来を築いていくことが期待されます。