2024年問題を迎える建設業界の人材不足解決策:特定技能「建設」の導入方法

2024年問題が問題となっている建設業界ですが、今後も深刻になる人材不足の解決策として、外国人の雇用を考えている方も多いのではないでしょうか。本記事では、建設業界において外国人を雇用する際の方法やポイントについて解説します。


1. 特定技能「建設」とは?

2019年4月、新たな在留資格「特定技能」が創設されました。これにより、建設分野では多くの外国人材が働けるようになりました。特定技能は全部で12分野(2022年に14分野から再編)あり、外国人材が保持する技能レベルに応じて、特定技能1号と特定技能2号の二つに区分されます。建設業分野では先行して特定技能2号の試験も実施されています。また、2024年3月末には、特定技能1号に4分野が追加されることが決定しました。追加される4分野は「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」で、合計16分野となります。

1-1. 特定技能「建設」が創設された背景

建設業は、人手不足が深刻な業界です。2020年7月の調査によると、従業員が不足している業種の第1位は「建設」であり、正社員が不足している企業の割合は51.9%に上ります。また、高齢化も進んでおり、総務省「労働力調査」によると、65歳以上の建設業就業者の割合は、2009年の8.1%から2019年には16.4%に上昇しています。

これらの背景から、過酷な労働環境や若者の建設業離れを解決するために、有能な外国人材を受け入れる特定技能「建設」が創設されました。

2. 特定技能「建設」で外国人材が働くことのできる職種

特定技能「建設」では、以下の3区分で外国人材を採用することができます。

  1. 土木区分
    • 型枠施工、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、鉄筋施工、とび、海洋土木工、その他土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業。
  2. 建築区分
    • 型枠施工、左官、コンクリート圧送、屋根ふき、土木、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ、表装、とび、建築大工、建築板金、吹付ウレタン断熱、その他建築物の新築、増築、改築、修繕、模様替えに係る作業。
  3. ライフライン・設備区分
    • 電気通信、配管、建築板金、保温保冷、その他ライフライン・設備の整備、設置、変更、修理に係る作業。

3. 特定技能1号「建設」を取得するための要件

外国人材が特定技能1号「建設」を取得するには、以下の方法があります。

3-1. 特定技能評価試験と日本語試験に合格する

特定技能評価試験

  • 国土交通省の定める「建設分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。

日本語試験

  • 「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」に合格する必要があります。

3-2. 建設業分野の技能実習2号からの移行

  • 技能実習2号を良好に修了
  • 技能実習での職種/作業内容と特定技能1号の区分が一致

4. 特定技能2号「建設」を取得するための要件

12業種ある特定技能のうち、2号は介護分野以外の11分野が対象です。

4-1. 特定技能2号を取得するには

外国人材が特定技能2号を取得する方法は「1号からの移行」のみに限定されています。特定技能1号を取得し、建設分野特定技能2号評価試験または技能検定1級に合格して2号に移行します。

4-2. 特定技能1号と2号の違い

  • 在留期間: 1号は通算5年まで、2号は更新の制限なし。
  • 技能水準: 1号は相当程度の知識または経験、2号は熟練した技能。
  • 外国人支援: 1号は支援計画の策定実施が必須、2号は不要。
  • 家族の帯同: 1号は不可、2号は条件を満たせば可能。
  • 日本語能力試験: 1号は必要、2号は不要。

5. 特定技能「建設」技能評価試験とは

勉強

外国人材が特定技能1号「建設」を取得するには、「特定技能評価試験」と「日本語試験」の二つの試験に合格する必要があります。

5-1. 建設分野特定技能1号評価試験

  • 学科試験: 問題数30問、試験時間60分、出題形式は真偽法および2~4択式、合格基準は65%以上。
  • 実技試験: 職種毎に定められ、合格基準も職種毎に異なります。

5-2. 日本語試験に合格する

  • 日本語能力試験(JLPT): N4以上の合格が必要。
  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic): 日常会話レベルの日本語能力を測定します。

6. 特定技能「建設」の外国人材を採用するには

特定技能外国人を雇用する企業は「特定技能所属機関(受入機関)」と呼ばれます。建設業で特定技能外国人を受け入れるためには、以下の条件を満たす必要があります。

6-1. <建設業独自の基準> 国土交通省による建設特定技能受入計画認定を受ける

  • 同一技能の日本人と同等額以上の賃金を支払うこと
  • 特定技能外国人に対して月給制により報酬を支払うこと
  • 建設キャリアアップシステムに登録していること
  • 特定技能外国人の数が常勤職員の数を超えないこと

6-2. <全業種共通の基準>支援体制の義務を果たす

  • 業種別に設けられた協議会に加盟すること
  • 法令遵守、支援体制を有すること
  • 特定技能外国人に対して、住居契約の連帯保証人などの支援を提供すること

7. 特定技能「建設」外国人材受け入れ費用について

特定技能1号外国人を雇用するためには、以下の費用が発生します。

  • JAC年会費: 正会員は36万円、賛助会員は24万円
  • 受入負担金: 年額15~24万円(技能評価試験の受験有無により異なる)
  • 建設キャリアアップシステム登録料
  • 登録支援機関委託費用

8. まとめ

本記事では、建設業界における特定技能の受け入れ方法と特徴について詳しく解説しました。特定技能外国人の受け入れを検討する企業にとって、有益な情報を提供できたことを願っています。特定技能外国人の受け入れには複雑な手続きや要件が伴いますが、適正な運用を行うことで、企業と外国人労働者双方にとって良好な関係を築くことができます。最後までご覧いただきありがとうございました。

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