【2024年改正】「技術・人文知識・国際業務」の申請明確化基準について

外国人が日本で専門的な知識や技術を活かして働くために必要な「技術・人文知識・国際業務」ビザ。2024年の改正によって、申請の明確化基準が定められ、より理解しやすくなりました。本記事では、このビザについて包括的に、わかりやすく説明します。

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1. 在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは?

「技術・人文知識・国際業務」は、外国人が日本で高度な専門知識や技術を活かして働くことを許可する在留資格です。これには以下の3つの業務分野が含まれます。

  • 技術分野:工学や情報技術など、科学技術の知識を必要とする業務。
  • 人文知識分野:経済、法律、社会科学などの知識を活かす業務。
  • 国際業務分野:外国語を用いた翻訳、通訳、国際取引など、国際的な背景を活かす業務。

これらの業務は、日本国内で外国人が自分の専門知識を活かして活躍できる分野であり、それぞれの分野に応じた基準を満たす必要があります。

2. 申請の条件と基準

在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得するためには、以下のような条件が必要です。

  • 学歴や専門知識:申請者は、申請する業務に関連する専門知識や学歴を持つ必要があります。例えば、情報技術の業務に従事する場合は、大学で情報工学を専攻していることが望ましいです。
  • 実務経験:特定の学歴がない場合でも、申請する業務に関連する3年以上(国際業務)の実務経験があれば申請が可能です。※技術・人文知識は10年以上の実務経験
  • 報酬基準:申請者の報酬が、日本人が同様の業務に従事する場合と同等以上であることが求められます。

3. 許可されるケースと不許可となるケース

「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得が許可される具体的な事例と、不許可となる事例について詳しく見ていきましょう。

許可事例

技術分野

  • 事例1本国で工学を専攻し大学を卒業。ゲームメーカーでオンラインゲームの開発およびサポート業務を経験。その後、日本のグループ企業で月額約25万円の報酬を受け、オンラインゲームのシステム設計、総合試験および検査業務に従事​​。
  • 事例2本国で電気通信工学を専攻し、電気通信設備工事業の子会社に勤務。その後、日本の親会社で月額約24万円の報酬を受け、コンピュータ・プログラマーとしてソフトウェアの開発、顧客との仕様調整業務に従事​​。

人文知識分野

  • 事例1本国で経営学を専攻し、海運会社で外航船の用船・運航業務に4年間従事。その後、日本の海運会社で月額約100万円の報酬を受け、外国船舶の用船・運航業務および社員の教育指導に従事​​。
  • 事例2本国で会計学を専攻し、日本のコンピュータ関連・情報処理会社で月額約25万円の報酬を受け、貿易に関する会計業務に従事​​。

国際業務分野

  • 事例1本国で国際関係学を専攻し、日本の自動車メーカーで月額約20万円の報酬を受け、マーケティング支援業務として市場調査、ユーザー調査、自動車の販売管理業務に従事​​。
  • 事例2本国の大学院で経営学を修了し、日本のIT関連企業で月額約45万円の報酬を受け、IT関連企業との業務取引におけるコンサルタント業務に従事​​。
  • 技術分野での採用:例えば、工学を専攻した外国人が日本の製造企業でエンジニアとして働くケース。この場合、学歴と業務内容が一致しており、適切な報酬が提供されるため、許可が下りやすいです。
  • 国際業務での活躍:外国語を活かして日本の貿易企業で翻訳・通訳業務を行うケースも、学歴と業務内容が一致しているため、許可が得やすいです。

不許可事例

  1. 事例1:教育学部を卒業した者が、弁当の製造・販売業務を行う企業で現場作業員として弁当加工工場での箱詰め作業に従事する申請。業務が人文科学の知識を必要としないため不許可​​。
  2. 事例2:工学部を卒業した者が、コンピュータ関連サービス企業でエンジニア業務に従事する申請。報酬が月額13万5千円と、日本人同業務従事者の報酬(月額18万円)より低いため不許可​​。
  3. 事例3:国際ビジネス学科卒業者が、運送会社で翻訳・通訳業務および労務管理に従事する申請。専攻科目と業務内容の関連性が認められず不許可​​
  • 関連性のない業務:例えば、経済学部を卒業した人が飲食店で調理業務に従事しようとするケース。この場合、学歴と業務内容に関連性がなく、不許可となります。
  • 報酬基準を満たさない場合:申請者の報酬が日本人の同等業務に対する平均水準を下回る場合、不許可となることが多いです。

4. 実務研修の取り扱い

実務研修は、外国人が日本で働き始める際に必要とされることが多いですが、この研修が在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当するかどうかが重要です。

  • 研修内容の基準:研修が申請者の将来の業務に直結し、日本人社員にも同様に提供されるものである場合、在留資格の条件として認められます。
  • 例外事項:ただし、単なる工場でのライン作業や接客業務など、専門知識を必要としない研修は該当しないため注意が必要です。

実務研修のポイント

実務研修の取扱

  • 該当する活動:申請者が行う活動が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当するかどうかを判断します。該当する活動には、学術的な素養を背景にした一定水準以上の業務や、外国語を活用した国際業務が含まれます。
  • 該当しない活動:飲食店での接客、小売店での販売、工場のライン業務など、単純労働とみなされる活動は該当しません。ただし、これらが一時的な実務研修として行われる場合は例外となることがあります。

研修計画

  • 短期間の研修:採用から1年間を超えて実務研修に従事する申請については、研修計画を提出し、その合理性を審査します。例えば、雇用契約が3年間で、2年間の実務研修を行う申請は認められません。
  • 合理的な研修期間:採用から1年間を超える実務研修が合理的である場合、企業は具体的な研修計画を提出し、審査を受ける必要があります。

在留期間中の活動

  • 在留期間の決定:実務研修期間が設けられている場合、実務研修修了後に「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動に移行していることを確認するため、原則として在留期間は1年が決定されます。
  • 更新時の審査:在留期間更新時に当初の予定を超えて実務研修に従事する場合、その事実を説明し、合理的な理由がない場合は在留期間の更新が認められないことがあります。

外国人が「技術・人文知識・国際業務」ビザで日本に滞在する場合、実務研修も重要な要素です。例えば、採用当初に飲食店での接客や小売店での販売業務が含まれていても、日本人社員にも同様に行われる研修であれば許容されます。ここで重要なのは、在留期間全体を通じて適切な業務に従事することです。

5. 法的根拠とその重要性

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請に関する法的根拠は、出入国管理及び難民認定法に基づいています。この法律により、上陸許可基準が明確に定められており、申請者はこれに従って要件を満たす必要があります。

具体的には、法務省が発行するガイドラインに基づき、申請者の学歴、業務内容、報酬などの基準が評価されます。法的な基準を理解することで、申請プロセスの透明性が高まり、不許可となるリスクを減らすことができます。

6. まとめ

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得は、日本で専門的な知識や技術を活かして働きたい外国人にとって非常に重要です。本記事では、申請の条件、許可・不許可の具体例、実務研修の取扱い、そして法的根拠について解説しました。申請の成功には、関連する学歴・経験を適切にアピールし、法的基準を満たすことが不可欠です。

これらの情報を踏まえ、適切な準備を行い、専門家のアドバイスを得ることで、在留資格の取得を目指しましょう。

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