ネパール人材の有料職業紹介事業|「取扱地域変更届」
ネパール人材の有料職業紹介事業
「取扱地域変更届」完全マニュアル
労働局許可を確実に取得する実務戦略
この記事で解決できること
1 法的根拠と制度概要
基本的な法的枠組み
職業安定法第32条の7(変更の届出)
「有料職業紹介事業者は、第三十条第二項各号に掲げる事項(厚生労働省令で定めるものを除く。)に変更があったときは、遅滞なく、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。」
実務上の意味:国外にわたる職業紹介を新たに開始する場合、または対象国を追加する場合、変更から遅滞なく(実務上10日以内)に届出が必要です。
職業安定法第32条の12第1項(取扱職種の範囲等の届出等)
「有料の職業紹介事業を行おうとする者又は有料職業紹介事業者は、取扱職種の範囲等を定めたときは、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。」
実務上の意味:国外(ネパール)を取扱地域に追加することは「取扱職種の範囲等」の変更に該当し、この条文に基づく届出が必要です。
なぜこの届出が必要なのか?
法的義務
無届で国外人材紹介を行うと職業安定法違反となり、最大30万円以下の罰金が科される可能性があります。
就労ビザへの影響
特定技能等の就労ビザ申請時、人材サービス総合サイトで取扱地域が「国内」のままだと許可されません。
事業の透明性
適切な届出により、法令遵守企業として労働局からの信頼を得ることができます。
リスク回避
事前の適切な届出により、将来的な監査や調査に対して万全の準備ができます。
2 必要書類の完全リスト
提出様式
様式第6号
「職業紹介事業取扱職種範囲等届出書」
・第1面・第2面の両方必要
・原本1部、写し2部(計3部)
通達様式第10号
「取次機関に関する申告書」
・取次機関を利用する場合のみ
・原本1部、写し2部(計3部)
添付書類(職業紹介事業の業務運営要領 第5章による)
①相手先国に関する書類
ネパールの関係法令とその日本語訳
「相手先国において職業紹介の実施が認められている根拠となる規定に係る部分のみ添付」
具体例:ネパール「Foreign Employment Act 2064 (2007)」の第11条(ライセンス要件)、第15条(事前承認)等の該当部分
事業活動が認められていることの証明書類
取次機関を利用しない場合のみ必要
具体例:海外労働法に精通した弁護士による証明書(ネパールでの職業紹介活動が適法である旨)
②取次機関に関する書類(取次機関を利用する場合)
業務分担について記載した契約書とその日本語訳
「申請者と取次機関とのそれぞれの役割範囲を記載した書類」
必須記載事項:業務分担、契約期間、職業紹介手数料、求職者の財産管理、違約金に関する条項
取次機関の活動が認められていることの証明書類とその日本語訳
「相手先国で許可等を受けている場合にあってはその許可証等の写し」
具体例:DoFE(海外雇用局)発行の送出機関ライセンス、有効期限・登録番号を確認
3 ネパール関係法令の収集方法
対象となる法令
Foreign Employment Act 2064 (2007)
主要な該当条文
- • 第11条:ライセンス申請要件
- • 第15条:事前承認手続き
- • 第25条:雇用契約要件
- • 第26条:保険加入義務
翻訳すべき範囲
- • 条文タイトル(英語)
- • 条文本文(英語→日本語)
- • 関連する定義条項
- • 法令名と施行年月日
具体的な入手方法
公式サイト
ネパール政府の法令データベースから英語版をダウンロード
取次機関経由
提携予定の送出機関から関係法令のコピーを取得
専門家依頼
海外労働法に精通した弁護士・行政書士に依頼
翻訳の品質基準
労働局が求める翻訳品質
必須要件
- • 条文番号の正確な対応
- • 法律用語の統一性
- • 原文との整合性確保
- • 翻訳者の資格明記
推奨事項
- • 公認翻訳者による翻訳
- • 法務翻訳の専門性
- • 原文添付による対照確認
- • 翻訳証明書の添付
4 取次機関許可証の確認ポイント
DoFE(海外雇用局)ライセンスの見極め方
正規ライセンスの特徴
ライセンス番号
DoFE発行の正式な登録番号が記載
有効期限
明確な有効期限と更新状況
保証金証明
2019年改正後の保証金基準をクリア
対象国明記
日本向け送出が許可されている証明
注意すべき点
技能実習との混同
技能実習送出機関認定証とは別物
有効期限切れ
期限切れライセンスは無効
偽造・改ざん
DoFEデータベースでの照合確認
ライセンス確認の実務手順
書類取得
取次機関からライセンスの写しを取得
内容確認
ライセンス番号、有効期限等を詳細チェック
真正性確認
DoFE公式サイトでの照合確認
翻訳・添付
正確な日本語訳を作成・添付
5 業務分担契約書の作成実務
業務運営要領が求める契約書要件
「申請者と取次機関とのそれぞれの役割範囲を記載した書類であって、申請者と取次機関の業務分担による総体としての職業紹介について法に適合するものであるものとする。」
重要ポイント:単なる一般的な業務提携契約ではなく、職業安定法に準拠した「職業紹介業務の分担」を明確にする必要があります。
必須記載事項
業務分担に関すること
- • 求人受付・求職者募集の担当分担
- • 面接・選考プロセスの責任分担
- • 労働条件明示の責任者
- • 苦情処理・アフターフォローの分担
- • 関係書類の保管責任
契約期間に関すること
- • 契約開始日・終了日の明記
- • 自動更新条項
- • 契約解除条件
- • 終了時の引継ぎ事項
職業紹介手数料に関すること
- • 求人者・求職者からの手数料分担
- • 手数料の上限額(法定上限遵守)
- • 支払方法・支払時期
- • 返金条件・責任分担
求職者の財産管理に関すること
- • 保証金徴収の禁止条項
- • 預り金・預託品の取扱い
- • 金銭管理の責任分担
- • 不当な金銭移転の防止策
禁止事項の明記(業務運営要領準拠)
取次機関が行ってはならないこと
求職者からの保証金徴収
求職者の金銭その他財産の管理
契約不履行についての違約金設定
渡航費用等の金銭貸付
双方の遵守事項
職業安定法の完全遵守
求職者の人権保護
適正な労働条件の確保
定期的な業務報告・連絡
6 様式記載例と注意点
様式第6号「職業紹介事業取扱職種範囲等届出書」記載例
主要記載項目
事業主情報
- • 許可番号:既存の許可番号を正確に記載
- • 事業主名:法人格を含む正式名称
- • 代表者名:登記簿謄本と完全一致
- • 事業所所在地:許可証記載の住所
変更内容
- • 取扱地域:「ネパール」を明記
- • 取扱職種:対象職種を具体的に記載
- • 変更年月日:実際に業務開始する日
- • 変更理由:事業拡大等の具体的理由
通達様式第10号「取次機関に関する申告書」記載例
取次機関情報の正確な記載
基本情報
- • 取次機関名:ライセンス記載の正式名称
- • 所在地:ネパール現地の登録住所
- • 代表者名:ライセンス記載の代表者
- • 連絡先:電話・メール等の連絡手段
許可関係
- • ライセンス番号:DoFE発行番号
- • 有効期限:ライセンスの期限日
- • 許可権限:日本向け送出の可否
- • 業務範囲:取扱可能な職種・人数
記載時の重要注意点
正確性の確保
- • 既存許可証との整合性確認
- • 登記簿謄本との照合
- • 取次機関ライセンスとの一致
- • 日付・期限の正確な記載
添付書類との対応
- • 契約書記載内容との整合
- • 翻訳書類との対照確認
- • 法令引用の正確性
- • 職種分類の統一
提出前のチェック
- • 記載漏れ・誤記の確認
- • 押印・署名の確認
- • 部数・体裁の確認
- • 期限内提出の確保
7 労働局審査の攻略法
労働局が重視する審査ポイント
法令適合性
-
職業安定法遵守
業務運営要領への完全準拠
-
相手国法令の確認
ネパール法での適法性証明
-
禁止事項の徹底
保証金・違約金等の完全排除
実務体制の確実性
-
取次機関の信頼性
正規ライセンス・実績の確認
-
業務分担の明確性
責任の所在・範囲の明確化
-
継続性の保証
長期的な事業継続可能性
審査を通すための戦略的アプローチ
事前相談
提出前に労働局担当者と綿密な事前相談を実施
完璧な準備
添付書類の完備・翻訳品質の確保・整合性の確認
信頼構築
過去の実績・コンプライアンス体制をアピール
リスク対策
想定される質問・懸念点への事前準備と回答用意
申請から許可までのタイムライン
事前相談
1-2週間
書類準備
2-4週間
申請提出
即日
形式審査
1-2週間
実質審査
2-4週間
受理通知
即日
8 行政書士しかま事務所のサポート内容
許可を取る「戦略家」として、貴社の海外人材事業を成功に導きます
審査官の視点を徹底的に分析し、許可というゴールから逆算した最適戦略を構築する、貴社だけの『法務パートナー』となります。
事前診断・戦略設計
- 許可要件適合性の徹底診断
- 取次機関選定・評価支援
- 申請戦略の立案・スケジューリング
- リスク要因の事前洗出・対策
書類作成・収集代行
- ネパール関係法令の収集・翻訳
- 取次機関ライセンスの真正性確認
- 業務分担契約書の完全作成
- 様式記載・添付書類一式の準備
申請代行・フォロー
- 労働局との事前相談・調整
- 申請書類提出・進捗管理
- 審査対応・補正書類作成
- 受理後のアフターフォロー
特に海外人材事業で重視していること
国際法務の専門性
職業安定法と入管法、両方の視点からコンプライアンス体制を構築。 ネパール法制度の深い理解に基づく実務サポート。
リスク管理の徹底
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