外国人採用、求人票の「職務内容」の書き方がビザの成否を分ける!採用と在留資格申請を連携させる方法

外国人採用、求人票の「職務内容」の書き方がビザの成否を分ける!採用と在留資格申請を連携させる方法

外国人採用、求人票の「職務内容」の書き方がビザの成否を分ける!
採用と在留資格申請を連携させる方法

読了時間:約12分

この記事を読むとわかること

  • 求人票の「職務内容」がビザ申請書類の一部となり、審査に直接影響する理由
  • 技人国ビザが許可されやすい「職務内容」の具体的な書き方(Before & After形式で解説)
  • 採用ミスマッチとビザ不許可リスクを同時に回避する戦略的アプローチ
  • 採用活動の「上流工程」から専門家が関与することで得られる4つのメリット
  • 外国人採用を成功に導くための「予防法務」的な採用フローの構築方法

その求人票、ビザ申請で"命取り"になっていませんか?

「とにかく優秀な人材が欲しいから、職務内容は幅広く書いているけど、これで大丈夫?」

「求人票の職務内容と、ビザ申請時の説明が少し違っても問題ないよね?」

「『簡単な事務作業も含む』って正直に書くと、ビザに不利になるの?」

「優秀な人を採用してから、本人に合う仕事を割り振ろうと考えているけど...」

「募集段階から行政書士に相談するなんて、早すぎるんじゃない?」

これらの疑問を抱えたまま採用活動を進めると、後々大きなリスクが待っています。

1. はじめに:外国人採用の失敗は、「求人票」から始まっている

行政書士しかま事務所より

私たち行政書士しかま事務所は、外国人の在留資格申請を専門とし、特に「技術・人文知識・国際業務」ビザ(以下、技人国ビザ)の申請サポートにおいて豊富な経験を有しております。これまで数多くの企業様の外国人採用をサポートしてきた中で、一つの重要な事実に気づきました。

それは、外国人採用で「失敗」する企業の多くが、実は採用プロセスの最初の段階である「求人票作成」の時点で、既に間違いを犯しているということです。

多くの企業が外国人採用を「候補者探し→面接→内定→ビザ申請」という流れで考えがちですが、実はこのプロセスには大きな落とし穴があります。なぜなら、ビザ申請の成否を決める最も重要な要素の一つが、まさに「求人票に記載した職務内容」だからです。

よくある間違ったアプローチ

「内定・採用後に、その人のビザが取れる仕事内容を考える」

これでは手遅れです!

正しいアプローチ

「ビザが取れる仕事内容を定義し、それに合う人材を募集する」

これが成功への道筋です!

本記事では、ビザ申請の成否を左右する「求人票」の戦略的な書き方と、採用活動とビザ申請を最初から連携させる「予防法務」的アプローチについて、具体的な事例を交えながら詳しく解説いたします。

外国人材の力を最大限に活用し、企業の成長につなげていくために、まず「求人票」から見直してみませんか?

2. なぜ求人票がビザ申請の成否を分けるのか?入管の視点

技人国ビザの審査において、入国管理局(以下、入管)が最も重視するのは、申請者の「学歴・職歴」と「従事する業務内容」の間に十分な「関連性」と「専門性」があるかどうかです。この点は、入管法施行規則や審査基準において明確に規定されています。

入管が必ず確認する重要なポイント

  • 申請者の学歴・専攻分野と業務内容の関連性
  • 従事する業務に大学卒業レベルの専門知識が必要か
  • 単純労働ではない、専門的・技術的な業務内容か
  • 採用の経緯と業務内容の整合性

ここで重要なのは、入管は申請時に提出される雇用契約書や職務内容説明書だけでなく、採用の経緯を客観的に示す資料として、ハローワークの求人票や転職サイトの募集要項の提出を求めることがあるという点です。

求人票と申請内容の矛盾が招くリスク

求人票の記載と申請内容が矛盾している場合、以下のような深刻な問題が生じます:

  • 申請全体の信憑性が疑われる
  • 追加資料の提出や面談が求められる
  • 最悪の場合、不許可処分となる

つまり、求人票は単なる募集のためのツールではなく、企業が「どのような専門性を持つ人材を」「どのような専門的業務に従事させるために」募集したかを示す最初の公的な証拠となるのです。

重要な認識:求人票は、ビザ申請における重要な疎明資料の一つとして機能するため、その内容は後のビザ申請時の説明と完全に整合していなければなりません。

3. 【NG例から学ぶ】ビザが不許可になりやすい求人票の「職務内容」

実際の申請事例から、ビザが不許可になりやすい求人票の「職務内容」の特徴を見てみましょう。これらのNG例を理解することで、同じ失敗を避けることができます。

NG例1:職務内容が抽象的・広範すぎる

❌ 問題のある記載例

  • 「営業・企画業務全般」
  • 「総合職として様々な業務を担当」
  • 「幅広い業務に対応していただきます」
  • 「会社業務全般をお任せします」

なぜNGなのか?

  • 専門性が不明確で、どの程度の知識・技能が必要かが判断できない
  • 単純労働や補助的業務が含まれる可能性を排除できない
  • 申請者の学歴・専攻との関連性を説明することが困難

NG例2:単純労働や補助的業務が含まれていることを示唆

❌ 問題のある記載例

  • 「店舗での接客、清掃、事務作業も含む」
  • 「簡単なPC入力、電話応対」
  • 「データ入力、コピー、ファイリング等の事務補助」
  • 「製造現場での軽作業もお任せします」

なぜNGなのか?

  • 技人国ビザの活動範囲外の業務が主要であると判断されるリスク
  • 「簡単な」「軽作業」という表現は専門性の低さを示唆
  • 大学卒業レベルの知識が不要であることを企業自ら宣言している

NG例3:求める人材像が学歴・専門性と結びついていない

❌ 問題のある記載例

  • 「コミュニケーション能力が高く、やる気のある方なら学歴不問」
  • 「未経験者歓迎!親切に指導します」
  • 「明るく元気な方、経験・スキル不問」
  • 「人柄重視の採用です」

なぜNGなのか?

  • 技人国ビザの根幹である「専門知識・技術」の必要性を企業自ら否定
  • 「学歴不問」「経験不問」は専門性を要しない業務であることを示唆
  • 申請時に「専門的な業務」であることを主張する根拠を失う

重要なポイント:これらのNG例に共通するのは、「専門性の欠如」と「学歴・職歴との関連性の不明確さ」です。求人票の段階でこれらの要素が欠けていると、後でどんなに申請書類を工夫しても、ビザ取得は極めて困難になります。

4. 【OK例で実践】技人国ビザ取得を見据えた「職務内容」の戦略的書き方

それでは、前章のNG例を踏まえて、技人国ビザの取得可能性を高める「職務内容」の戦略的な書き方を、Before & After形式で具体的に解説いたします。

改善例1:海外営業職の場合

BEFORE(問題のある記載)

職務内容:

海外営業担当:海外顧客への対応、事務作業など

応募資格:

やる気のある方、経験不問

AFTER(改善後の記載)

職務内容:

海外営業マネージャー(製造業・産業機械部門)

当社の産業用自動化機器に関する技術的知識を基にした、東南アジア市場における新規法人顧客開拓、及び既存顧客への技術サポート業務

  • 東南アジア地域における産業機械市場の調査・分析
  • 新規顧客への技術提案・プレゼンテーション(英語使用)
  • 英文技術仕様書・契約書の作成・管理
  • 既存顧客からの技術的問い合わせ対応

応募資格:

大学で機械工学、経営学、国際関係学のいずれかを専攻した方。英語でのコミュニケーション能力必須。

改善のポイント解説

  • 専門性の明確化:「産業用自動化機器」「技術提案」など具体的な専門分野を明示
  • 学歴との関連付け:機械工学、経営学、国際関係学との関連性を明確に提示
  • 具体的業務の列挙:市場分析、技術提案、英文書類作成など専門性の高い業務を具体的に記載
  • 国際業務要素:英語使用、海外市場対応など国際的な専門性を強調

改善例2:IT系職種の場合

BEFORE(問題のある記載)

職務内容:

システム開発、PC操作、データ入力等

応募資格:

PC操作ができる方、未経験可

AFTER(改善後の記載)

職務内容:

Webアプリケーション開発エンジニア

企業向けSaaS型業務管理システムの設計・開発・運用業務

  • 要件分析に基づくシステム設計・アーキテクチャ構築
  • Java/Python等を使用したサーバーサイド開発
  • データベース設計・最適化(MySQL、PostgreSQL)
  • クライアント企業への技術的課題解決提案
  • 開発チームのコードレビュー・技術指導

応募資格:

大学で情報工学、コンピュータサイエンス、数学等を専攻し、プログラミング言語(Java/Python等)の実務経験を有する方。

戦略的な職務内容記載の5つのコツ

1

専門分野を具体的に明示する

「営業」ではなく「産業機械の技術営業」、「事務」ではなく「国際貿易事務」など、専門分野を明確に

2

学歴要件を関連専攻で限定する

「大学卒業」ではなく「工学部機械工学科卒業」など、業務との関連性を明確に示す

3

業務内容を階層化して記述する

大項目→中項目→具体的業務の順に整理し、専門性のレベルを段階的に示す

4

使用ツール・言語を明記する

「英語使用」「Java/Python」「CAD操作」など、具体的なスキル要件を記載

5

「判断」「企画」「指導」要素を含める

単純作業ではなく、判断力や企画力を要する業務であることを示す

常に自問自答:「この業務は、大学卒業レベルの専門知識が本当に必要か?」この質問に明確に「YES」と答えられる内容でなければ、技人国ビザの取得は困難です。

5. 採用活動とビザ申請を連携させる「予防法務」的採用フロー

外国人採用を成功させるためには、採用プロセスの最初からビザ取得を見据えた戦略的なアプローチが必要です。ここでは、採用活動とビザ申請を完全に連携させた「予防法務」的な採用フローをご紹介します。

理想的な外国人採用フロー

1

【計画段階】職務内容の戦略的設計

採用したいポジションの職務内容を「技人国ビザの要件」に照らして設計・定義する

専門家の関与ポイント1

職務内容のビザ適合性診断、業務設計のコンサルティング

2

【募集段階】戦略的求人票の作成・公開

Step1で設計した職務内容に基づき、ビザ取得を見据えた求人票を作成・公開する

  • 専門性を明確に示した職務内容
  • 学歴・専攻との関連性を意識した応募要件
  • 後のビザ申請と整合する一貫した内容
3

【選考段階】ビザ適合性を重視したスクリーニング

候補者の学歴・職歴が、求人票に記載した専門業務と関連性があるかを慎重に評価する

  • 学歴証明書の専攻分野と業務内容の関連性チェック
  • 職歴における専門性の積み重ねの確認
  • ビザ取得に必要な要件の事前確認
4

【最終確認】ビザ・デューデリジェンス

内定を出す前に、最終候補者のビザ取得可能性について専門家による最終チェックを実施

専門家の関与ポイント2

候補者の経歴とビザ要件の適合性最終診断、リスク評価

5

【内定・申請】一貫性のある申請書類作成

ビザ取得の確度が高いことを確認した上で内定を出し、採用プロセスで一貫した内容の申請書類を作成・提出

専門家の関与ポイント3

求人票と整合した申請書類作成、入管対応サポート

従来の採用手法との比較

従来の採用手法(問題あり)

とりあえず求人票を作成
良い人材を見つけたら採用
採用後にビザが取れる仕事を考える
ビザ申請で矛盾が発覚

結果:不許可リスク大

予防法務的採用手法(推奨)

ビザ要件を満たす職務内容を設計
戦略的な求人票を作成
ビザ適合性を重視して選考
一貫性のある申請書類作成

結果:高い許可率を実現

予防法務のメリット:問題が発生してから対処するのではなく、問題が発生しないような仕組みを最初から構築することで、採用コストとリスクを大幅に削減できます。

6. 募集段階から専門家(行政書士)が関与する4つのメリット

多くの企業では「ビザ申請時に行政書士に依頼すれば十分」と考えがちですが、募集段階から専門家が関与することで得られるメリットは計り知れません。ここでは、その具体的な4つのメリットをご紹介します。

1

採用ミスマッチの完全防止

最も深刻な問題である「ビザが取得できない人材に内定を出してしまう」という事態を根本から防ぐことができます。

具体的な防止効果

  • 学歴と業務内容の関連性を事前にチェック
  • 候補者の在留資格変更可能性を募集段階で評価
  • 内定取消しに伴う法的リスクを完全回避
2

採用プロセス全体の効率化

ビザ申請段階での手戻りや計画変更がなくなり、採用から入社までの期間を大幅に短縮できます。

効率化の具体例

従来の方法

  • • 採用決定:1ヶ月
  • • ビザ申請準備:2ヶ月
  • • 申請・審査:3ヶ月
  • 合計:6ヶ月

予防法務的方法

  • • 採用決定:1ヶ月
  • • ビザ申請準備:2週間
  • • 申請・審査:2ヶ月
  • 合計:3.5ヶ月
3

採用コスト・リスクの大幅削減

採用活動のやり直しや内定取消しに伴うコストとリスクを事前に回避し、ROIを最大化できます。

削減できるコスト・リスク

採用活動コスト

求人広告費、面接コスト、人事担当者の工数など

法的リスク

内定取消しに伴う損害賠償、企業イメージ悪化など

機会損失

人材不足による事業機会の逸失、競合他社への遅れなど

4

企業ブランド・魅力度の向上

適法かつ計画的な採用プロセスは、応募する外国人材からの信頼を高め、優秀な人材を引きつけます。

具体的な魅力向上効果

  • 「ビザサポートがしっかりしている会社」として評価される
  • 外国人材のネットワークでの口コミ効果
  • 採用ブランディングの差別化要素として活用可能
  • 既存の外国人社員の定着率向上

専門家への早期投資の投資対効果(ROI)

従来の事後対応コスト

  • • 採用やり直し:50-100万円
  • • 内定取消し関連費用:30-50万円
  • • 機会損失:測定困難
  • • 信頼失墜:長期的影響大

予防法務の投資額

  • • 採用コンサル:10-20万円
  • • ビザ適合性診断:5-10万円
  • • 申請サポート:15-25万円
  • 総額:30-55万円

予防法務により、50%以上のコスト削減と100%のリスク回避を実現

7. まとめ:ビザ戦略は「オファー前」ではなく「募集前」から

本記事を通じて、外国人採用の成功は、いかに採用活動の「上流工程」、すなわち求人票の作成段階からビザ取得を意識した戦略を立てられるかにかかっているということをご理解いただけたでしょうか。

重要なパラダイムシフト

従来の考え方

「誰でもいいから採用して、
後から仕事を考える」

新しい考え方

「この専門的な仕事ができる
ビザの取れる人を採用する」

本記事の核心メッセージ

  • 求人票はビザ申請の重要な証拠書類として機能するため、戦略的に作成する必要がある
  • 職務内容の専門性と学歴との関連性を明確に示すことが、ビザ許可の鍵となる
  • 採用活動とビザ申請の連携により、リスクを最小化し、成功確率を最大化できる
  • 予防法務的アプローチは、長期的に見て大幅なコスト削減とリスク回避を実現する

最後の警告

外国人採用において「とりあえず採用してから考える」というアプローチは、もはや通用しません。入管の審査は年々厳格化しており、一貫性のない申請は容赦なく不許可となります。

採用の失敗は、単なる時間とコストの損失だけでなく、企業の信頼とブランドイメージに深刻な影響を与えることを忘れてはいけません。

今すぐ行動を

専門家を早期に活用することは、コストではなく、未来のリスクを回避するための賢明な投資です。外国人材の力を最大限に活用し、企業の持続的成長を実現するために、まずは現在の採用プロセスを見直してみませんか?

優秀なグローバル人材との出会いを、確実な成功につなげていきましょう。

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単なるビザ申請代行を超えた、
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サポート内容

  • 募集ポジションの「技人国ビザ適合性診断」
  • ビザ申請を見据えた戦略的「求人票」作成アドバイス
  • 採用候補者の「ビザ経歴チェック」実施
  • 採用決定後のスムーズなビザ申請サポート

選ばれる理由

  • 技人国ビザ専門の豊富な実績
  • 採用プロセスから関与する独自アプローチ
  • 最新の法令・運用基準に基づく的確なアドバイス
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私たちからのメッセージ

「採用の失敗は、コストと時間、そして信頼を失います。募集段階からのビザ戦略で、確実なグローバル人材獲得を実現しませんか?まずは貴社の採用計画をお聞かせください。」

― 行政書士しかま事務所一同

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本記事の情報は2025年6月22日時点の入管法及び関連法規、審査運用に基づいて作成されています。法令の改正や運用変更により内容が変更される場合がありますので、実際の申請の際は最新の情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。また、個別の案件については具体的な事情により判断が異なる場合がありますので、必ず専門家による個別相談を受けることをお勧めいたします。

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