その「雇用契約書」、本当に大丈夫?外国人特有の労働条件と入管法・労働法のダブルチェックポイント
その「雇用契約書」、本当に大丈夫?
入管法×労働法のダブルチェック
外国人雇用の契約書は、労働基準法だけでなく入管法の視点も必要です。在留資格と職務内容の一致、日本人同等以上の給与、契約期間と在留期間の関係など、5つのチェックポイントを解説。
✅ この記事の結論
外国人雇用契約書は
「労働法」と「入管法」のダブルチェックが必須
どちらか一方でも不備があると、労働紛争・在留資格不許可のリスク
外国人向けの雇用契約書、日本人と同じでいいの?
ビザ申請で、契約書のどの部分が入管に見られるの?
「母国への帰国費用は本人負担」って書いても大丈夫?
在留資格の活動範囲と職務内容がズレていないか不安…
📞 「うちの雇用契約書、法的に問題ない?」
入管法と労働法の両面から、契約書の適合性をチェックします。
なぜ「ダブルチェック」が必要なのか
外国人従業員も日本で働く以上、労働基準法をはじめとする労働関連法規の適用を受けます。しかし、外国人雇用の場合、それだけでは不十分です。
📋 外国人雇用における「ダブルチェック」とは
【労働法の視点】
労働基準法、労働契約法、最低賃金法などの遵守
【入管法の視点】
在留資格制度に基づく許可要件の充足
この二重の法的基準をクリアしなければ、適法な外国人雇用は実現できません。
労働条件の明示義務(労働基準法第15条)
2024年4月の法改正により、労働条件の明示事項が拡充されています。国籍を問わず、すべての労働者に書面での明示が必要です。
- 労働契約の期間に関する事項
- 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準
- 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
- 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇
- 賃金の決定、計算及び支払の方法、締切り及び支払の時期
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
✅ 2024年4月改正で追加された明示事項
・就業場所・業務の変更の範囲(将来の配置転換等の可能性)
・更新上限の有無と内容(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)
・無期転換申込機会及び無期転換後の労働条件
チェック①:在留資格と「職務内容」の一致
職務内容と在留資格の活動範囲は完全に一致していますか?
入管法では、外国人は許可された在留資格の範囲内でのみ就労が可能です。雇用契約書に記載する「職務内容」が、在留資格で許可されている活動内容と完全に一致していることが絶対条件です。
主要な就労系在留資格と対応する職務内容
技術・人文知識・国際業務
理学、工学、人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務
例:システムエンジニア、通訳・翻訳、海外営業、デザイナー
特定技能(1号・2号)
特定産業分野に属する相当程度の知識・経験を要する技能業務
例:介護、建設、外食業、宿泊、農業など
技能
産業上の特殊な分野に属する熟練した技能業務
例:外国料理の調理師、スポーツ指導者
🚨 絶対に避けるべき記載例
・「技術・人文知識・国際業務」の在留資格者に、工場での単純作業を主な職務として記載
・「特定技能(介護)」の在留資格者に、介護以外の業務を中心とした職務内容を記載
・在留資格と明らかに異なる業務を「その他業務」として曖昧に記載
✅ 適切な職務内容記載のポイント
・在留資格の許可要件と合致する具体的な業務内容を明記
・付随的業務がある場合は、主たる業務との関係性を明確に示す
・業務内容の変更可能性がある場合は、在留資格の範囲内であることを確認
チェック②:給与は日本人と同等以上
日本人が同様の業務に従事する場合と同等額以上の報酬ですか?
多くの就労系在留資格において、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」が在留資格許可の要件です。基本給だけでなく、各種手当、賞与等を含めた年収ベースで判断されます。
📋 給与記載のベストプラクティス
①基本給の明確な記載
月額基本給を具体的な金額で明示(例:月額基本給 250,000円)
②各種手当の詳細記載
住宅手当、通勤手当、職務手当等の支給条件と金額を明記
③賞与・昇給に関する規定
支給時期、支給基準、査定方法等を具体的に記載
④年収見込み額の提示
入管審査では年収ベースで判断されるため、年収見込み額を併記することを推奨
⚠️ 特に注意が必要なケース
・試用期間中の減額:極端な減額は在留資格審査で問題視される可能性
・成果報酬制度:最低保証額が日本人同等基準を下回る場合は要注意
・諸控除の過大設定:社宅費等の控除が過大で実質賃金が低下するケース
チェック③:契約期間と在留期間の関係
契約期間と在留期間の関係を理解していますか?
雇用契約の期間と在留資格の有効期間は必ずしも一致する必要はありませんが、相互に影響し合う関係にあります。有期雇用契約の場合、契約期間の長短や更新実績が在留期間更新審査で考慮されます。
| 契約形態 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 無期労働契約 | 在留期間更新時に安定した雇用関係を示せる | 試用期間の設定や解雇条項には特に注意が必要 |
| 有期労働契約 | 柔軟な人材活用が可能 | 短期間の契約は在留期間更新時に不利に働く可能性 |
✅ 契約期間設定の推奨事項
・初回は在留期間と同程度または短めの期間で設定し、更新により段階的に長期化を図る
・2024年4月改正により更新基準の明示が法的義務となったため、客観的な基準を設定
・企業として在留期間更新手続きへの協力体制を明記することで、外国人社員の安心感向上
チェック④:外国人特有の条項(帰国費用など)
外国人特有の事項について明確に規定していますか?
帰国費用、一時帰国の取扱い、契約書の言語など、日本人の雇用では一般的に想定されない事項についても検討し、必要に応じて明確に規定しておく必要があります。
帰国旅費の取扱い
⚠️ 特定技能外国人の場合は要注意
一般的には帰国旅費は労働者本人の負担が原則ですが、特定技能制度では受入れ機関(企業)が「帰国に要する旅費を負担すること」が支援計画の一環として義務付けられています(自己都合退職等の例外あり)。
📝 契約書記載例
【企業負担の場合】
「雇用契約期間満了時または会社都合による雇用契約終了時の帰国旅費については、会社が負担する。ただし、自己都合による中途退職の場合は、この限りではない。」
【本人負担の場合】
「帰国に要する旅費については、労働者本人の負担とする。」
契約書の言語と理解確保
雇用契約書を外国人の母国語で作成することは法的には必須ではありませんが、契約内容の十分な理解確保は重要です。日本語に加えて母国語の翻訳版を作成する、または重要事項について母国語での説明書を別途準備することを推奨します。
一時帰国の取扱い
✅ 記載すべき事項
・一時帰国時の休暇の取扱い(年次有給休暇、無給休暇等)
・長期一時帰国時の社会保険料等の取扱い
・一時帰国の事前申請手続き
・緊急時の一時帰国に関する特例規定
チェック⑤:労働時間・社会保険等の基本事項
労働時間・休日・社会保険等を正しく記載していますか?
外国人雇用においても、労働時間、休日、休暇、社会保険等の基本的な労働条件は、日本人従業員と全く同じ基準で適用されます。ただし、外国人特有の状況を考慮した配慮や明確な説明がより一層重要です。
📋 労働時間の基本
・1週間:40時間以内
・1日:8時間以内
・休憩:1日6時間超で45分以上、8時間超で1時間以上
・時間外労働:36協定の締結・届出が必要、月45時間・年360時間の上限
⚠️ 留学生アルバイトの労働時間制限
在留資格「留学」でのアルバイトは週28時間以内の制限があります。また、「家族滞在」の配偶者等が就労する場合も同様の制限があり、資格外活動許可が必要です。
社会保険の適用
✅ 外国人にも適用される社会保険
・健康保険・厚生年金保険:適用事業所で働く外国人も加入義務(脱退一時金制度あり)
・雇用保険:31日以上雇用見込み+週20時間以上で加入
・労災保険:在留資格に関係なく適用(不法就労者にも適用)
🚨 外国人雇用状況の届出義務
企業は外国人を雇い入れた場合及び離職した場合、ハローワークへの届出が義務付けられています(雇用対策法第28条)。届出を怠った場合、30万円以下の罰金が科されることがあります。
不適切な契約が招くリスク
外国人雇用における不適切な雇用契約書は、労働法違反と入管法違反という二重のリスクを企業にもたらします。
🚨 労働法違反のリスク
- 労働条件明示義務違反(30万円以下の罰金)
- 賃金不払い(30万円以下の罰金)
- 労働時間違反(6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)
- 是正勧告・指導票の交付
- 企業名公表による信用失墜
🛂 入管法違反のリスク
- 不法就労助長罪(5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金)
- 新規の在留資格申請の不許可
- 在留期間更新の不許可
- 在留資格取消し処分
- 今後の外国人雇用における審査厳格化
🚨 不法就労助長罪とは
入管法第73条の2
事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせること
刑事罰:5年以下の拘禁刑 or 500万円以下の罰金(またはその併科)
典型例:在留資格外の業務に従事させる、就労不可の在留資格者を雇用するなど
料金・サポート内容
💰 ビザ申請の料金
✅ サポート内容
・雇用契約書の入管法適合性チェック(在留資格申請の観点から精査)
・契約書の作成・改善提案(企業の実情に合わせた適法な契約書作成)
・在留資格申請手続きサポート(新規申請、更新、変更を一貫サポート)
・継続的なコンプライアンス支援(法改正対応、定期的な見直し)
まとめ
📝 この記事のまとめ
- ダブルチェック必須:労働法と入管法の両方の視点で契約書をチェック
- 職務内容の一致:在留資格で許可された活動範囲と完全に一致させる
- 給与は同等以上:日本人が同様の業務に従事する場合と同等額以上
- 契約期間と在留期間:相互に影響し合う関係を理解する
- 外国人特有の条項:帰国費用、一時帰国、言語対応を明確に
適法な雇用契約で、外国人社員と良好な関係を
外国人雇用における雇用契約書は、単なる労働条件の確認書ではありません。企業と外国人社員の信頼関係の基盤であり、コンプライアンスの証明でもあります。
適切な雇用契約書の作成と運用により、外国人社員と企業の双方がWin-Winの関係を築き、持続的な成長を実現することができます。
外国人雇用の第一歩
適法な雇用契約書から
「この契約書で入管審査は通る?」「労働法的に問題ない?」
入管法と労働法の両面から、契約書の適合性をチェックします。
平日9:00〜18:00 / 契約書チェックのご依頼も承ります
🚨 「外国人採用が決まったが、契約書の書き方がわからない」
入管審査で問題にならない契約書の作成をサポートします。
📋 この記事の情報について
本記事は2025年12月16日時点の法令・制度に基づいて作成されています。法令の改正や運用変更により内容が変更される場合がありますので、最新情報は関係官庁の公式ウェブサイト等でご確認ください。労働法規に関する最終的なアドバイスは社会保険労務士にご確認ください。
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