多様すぎて分かりにくい?在留資格「特定活動」ビザを徹底解説!

多様すぎて分かりにくい?在留資格「特定活動」ビザを徹底解説!主な種類と要件

この記事でわかること

  • 「特定活動」とは何か、その基本的な仕組み
  • 「告示特定活動」と「告示外特定活動」の違い
  • 最新の特定活動ビザ(デジタルノマド、スタートアップビザなど)の要件
  • 人道的配慮による告示外特定活動の可能性

「特定活動」ビザとは何か?

在留資格「特定活動」とは、法務大臣が個々の外国人について特別に指定する活動を行うための在留資格です。他の標準的な在留資格(就労ビザや留学ビザなど)に当てはまらない特定の目的で日本に滞在したい外国人のために設けられています。

この在留資格の最大の特徴は、非常に多様な活動が対象となっている点です。日本の出入国管理法令では、具体的な活動内容が「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と定められているだけで、その活動範囲は非常に広範囲に及びます。

そのため、特定活動ビザを持つ外国人が実際に日本で行える活動や就労の可否は、指定書と呼ばれる書類に記載された内容によって決まります。在留カードには「特定活動」と記載されていても、どのような特定活動なのかは指定書の内容を確認しなければ判断できません。

「特定活動」の基本的な仕組み

在留資格「特定活動」は大きく2つに分類されます。

1. 告示特定活動

法務大臣によってあらかじめ指定されている活動で、法務省の告示によって定められています。2025年5月現在、46種類以上の活動内容が告示されています。

2. 告示外特定活動

告示には定められていないものの、個別の事情に応じて法務大臣が特別に許可する活動です。人道的配慮や特別な事情がある場合に、例外的に認められることがあります。

重要ポイント

「特定活動」ビザを持つ外国人を雇用する場合は、在留カードだけでなく必ず指定書の内容を確認する必要があります。指定書に記載された活動内容以外の就労は認められず、違反した場合は不法就労となります。

主な「告示特定活動」の種類と要件

ここでは、代表的な「告示特定活動」について、その内容と要件を解説します。2025年5月時点の最新情報を反映しています。

1. 就職活動(特定活動46号ほか)

日本の大学・大学院・短期大学・高等専門学校を卒業した留学生が、卒業後も日本で就職活動を続けるための在留資格です。

対象者日本の大学等を卒業した元留学生
期間6ヶ月(1回のみ更新可能で最長1年間)
就労原則不可(資格外活動許可を得れば週28時間以内のアルバイトは可能)
要件
  • 大学等での専攻内容に関連する職業に就くことを希望していること
  • 卒業後も継続して就職活動を行う意思があることを示す資料の提出
  • 大学等からの推薦状

特定活動46号について

2019年5月に新設された「特定活動46号」は、日本の大学・大学院を卒業し、高い日本語能力(日本語能力試験N1または日本留学試験の日本語科目200点以上など)を持つ外国人が、これまで外国人の就労が難しかった業種(飲食業・製造業・小売業など)でも働けるようにした在留資格です。

特定活動46号のポイント

  • 日本の大学・大学院卒業が必須
  • 高い日本語能力(N1レベル)が必要
  • 在留期間は最長5年
  • 活動内容に制限が少なく、幅広い業種での就労が可能

2. インターンシップ(特定活動9号・12号)

外国の大学に在籍する学生が、学業の一環として日本企業でインターンシップを行うための在留資格です。

対象者外国の大学に在籍している学生
期間特定活動9号:1年未満(大学の修業年限の2分の1を超えない期間)
特定活動12号:3ヶ月以内の短期インターンシップ
就労インターンシップとしての活動のみ可能(報酬あり)
要件
  • 大学等からの推薦状
  • 受入れ企業との契約書
  • インターンシップ活動計画書

3. ワーキングホリデー(特定活動5号・5号の1・5号の2)

ワーキングホリデー協定を結んでいる国・地域の若者が、休暇を過ごしながら、その滞在費用を補うために就労することができる制度です。

対象者ワーキングホリデー協定締結国・地域の18~30歳(国により異なる)の若者
期間原則1年間(国により異なる)
就労可能(ただし、風俗営業関連は不可)
要件
  • 協定国・地域の有効なパスポート所持
  • 滞在資金の証明
  • 復路航空券または購入資金の証明
  • 健康診断書

4. デジタルノマド(特定活動53号)【2025年最新】

2024年3月から始まった日本版デジタルノマドビザは、外国企業に勤める高所得リモートワーカーが一定期間日本に滞在しながら仕事を続けることを可能にする制度です。

対象者査証免除国かつ租税条約締結国籍・地域(49か国)の外国人リモートワーカー
期間最長6ヶ月(更新不可、出国後6ヶ月経過すれば再申請可能)
就労日本国外の企業向けのリモートワークのみ可能(日本企業での就労や資格外活動は不可)
要件
  • リモートワーカーとしての個人年収が1,000万円以上
  • 日本国外の企業に勤めている、または外国にある者に対して情報通信技術を用いて役務提供・物品販売する活動を行っていること
  • 死亡・傷害・疾病に係る医療保険(治療費用補償額1,000万円以上)に加入していること

日本版デジタルノマドビザの特徴(2025年5月現在)

  • 在留カードは交付されない(「中長期在留者」に該当しないため)
  • 配偶者・子の帯同が可能(特定活動54号)
  • 日本国内ならどこでも自由に移住・滞在可能
  • みなし再入国許可制度が適用され、期間内の一時出国・再入国が可能
  • 滞在が183日以下のため、多くの場合、租税条約により所得税は免税

対象職業例

ITエンジニア、デジタルデザイナー、デジタルマーケター、プログラマー、ライター、オンライン秘書、オンライン語学講師、外国企業の事業経営を行う個人事業主など

5. 外国人起業家育成事業(スタートアップビザ/特定活動44号)【2025年最新】

2025年1月から全国展開された外国人起業家向けのビザ制度です。通常の「経営・管理」ビザで求められる要件の一部が最大2年間猶予されるため、外国人が日本で起業しやすくなっています。

対象者日本で起業を目指す外国人
期間最長2年間(それまでに「経営・管理」ビザの要件を満たす必要あり)
就労起業準備活動および関連する報酬を受ける活動が可能
要件
  • 起業準備活動計画(ビジネスプラン、事業内容、市場分析、収支計画など)の作成・提出
  • 地方自治体による確認・推薦
  • 滞在資金の証明
  • 起業に関連する学歴・職歴・資格等の証明

スタートアップビザのポイント(2025年5月現在)

  • 「経営・管理」ビザで通常必要な「独立した事業所の確保」と「500万円以上の投資または2人以上の常勤職員の雇用」の要件が最大2年間猶予される
  • 期間内(最大2年)に「経営・管理」ビザの要件を満たして切り替えることが前提
  • 地方自治体との定期的な面談などが必要
  • 業種は基本的に制限なし(ただし、社会的に問題となる業種は不可)

6. その他の主な特定活動

その他にも多くの「告示特定活動」があります。その一部を紹介します。

  • 特定活動40号・41号(観光・保養):一定以上の資産を持つ富裕層が観光・保養目的で最長1年間滞在するためのビザ
  • 特定活動1号・2号・2号の2(家事使用人):外交官や高度専門職外国人の個人的家事使用人
  • 特定活動6号・7号(アマチュアスポーツ選手):国際的な競技会に出場経験のあるアマチュアスポーツ選手とその家族
  • 特定活動25号・26号(医療滞在):日本の医療機関で治療を受ける外国人とその介助者
  • 特定活動36号(特定研究活動)・37号(特定情報処理活動):高度な専門知識を要する研究・情報処理業務に従事する外国人
  • 特定活動33号(高度専門職の配偶者の就労):「高度専門職」ビザで在留する外国人の配偶者の就労

「告示外特定活動」の可能性

「告示外特定活動」は、法務大臣の裁量により、人道的配慮や特別な事情に基づいて個別に認められる在留資格です。明確な基準はなく、ケースバイケースで判断されます。

1. 人道的配慮による特例(老親扶養ビザなど)

代表的な例として、「老親扶養ビザ」があります。これは日本に在留する外国人が高齢の親を呼び寄せて扶養するための特例的な許可です。

対象者日本に在留する外国人の高齢の親(原則70歳以上)
期間通常1年(更新可能)
就労原則不可
要件
  • 親が高齢(原則70歳以上)であり、病気や要介護状態であること
  • 親が本国で生活継続が困難であり、世話をする親族がいないこと
  • 日本に住む扶養者(子)の経済的基盤が非常に安定していること
  • 単なる同居希望ではなく、人道的理由が必要

重要ポイント:2025年5月現在

老親扶養ビザは法務大臣の裁量による極めて例外的な措置です。同じような状況でも許可・不許可が分かれることがあり、取得のハードルは非常に高いとされています。短期滞在ビザで親を日本に呼び寄せた後、在留資格変更申請を行う必要があります。

2. その他の告示外特定活動の例

  • 出国準備のための特定活動:在留資格の更新が認められなかった場合、通常は30日間の出国準備期間が与えられますが、現在の仕事の契約解消が困難な場合などは、2〜4ヶ月の期間が認められることがあります
  • 元日本人の子や孫の在留:日本国籍を離脱した元日本人や、その子孫で日本との密接な関係がある場合
  • 特定技能1号の家族帯同:原則として家族帯同が認められていない特定技能1号でも、特に人道的配慮が必要な場合は例外的に認められることがあります

まとめ:在留資格「特定活動」の理解と専門家相談の重要性

在留資格「特定活動」は、他の標準的な在留資格では対応できない多様なニーズに応える柔軟な仕組みです。特に近年、デジタルノマドビザやスタートアップビザなど新しいタイプの特定活動が増えており、外国人の日本での活動を広げています。

ただし、その多様性ゆえに非常に複雑で分かりにくい面もあります。「特定活動」の指定内容によって就労の可否も大きく異なるため、外国人を雇用する企業や受け入れる団体は、必ず指定書の内容を確認する必要があります。

また、「告示外特定活動」については明確な基準がなく、個別の事情や人道的配慮に基づいて判断されるため、専門家(行政書士等)のサポートを受けることが重要です。

専門家への相談が特に重要なケース

  • 自分の状況に合った特定活動の種類を知りたい場合
  • 告示外特定活動の可能性を探りたい場合
  • デジタルノマドビザやスタートアップビザの最新要件を確認したい場合
  • 特定活動ビザから他の在留資格への変更を検討している場合
  • 特定活動ビザを持つ外国人の雇用を検討している企業

在留資格「特定活動」に関するご質問やご相談は、専門知識を持つ行政書士しかま事務所までお気軽にご連絡ください。外国人の方の日本での活動や企業の外国人雇用をサポートいたします。

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