外国人コック(調理師)を呼びたい!在留資格「技能」ビザ徹底解説

外国人コック(調理師)を呼びたい!在留資格「技能」ビザ徹底解説

外国人コック(調理師)を呼びたい!
在留資格「技能」ビザ徹底解説

在留資格「技能」による外国人調理師の招聘・雇用:要件と申請手続き(最新版2025年度)

行政書士しかま事務所

外国人ビザ・在留資格専門

本記事では、日本の飲食業界で高まる調理人材不足を背景に、外国人コック(調理師)を雇用するための在留資格「技能」について詳しく解説します。特に、申請要件や必要書類、申請手続きのポイントを専門家の視点からお伝えします。

この記事でわかること

  • 外国人調理師を雇用するための「技能」ビザの詳細と要件
  • 雇用側(レストラン・ホテル等)に求められる条件
  • 外国人調理師に必要な実務経験や資格
  • 申請手続きの流れと必要書類
  • 申請時の注意点と不許可を避けるためのポイント

在留資格「技能」とは

在留資格「技能」は、外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人など、産業上の特殊な分野について専門的な技能を有する外国人が日本で就労するために必要な在留資格です。なかでも、外国料理の調理師(コック)としての申請は非常に多く、飲食業界における重要な人材確保の手段となっています。

この在留資格は、単なる労働力としてではなく、「専門的な技能・技術を持つ人材」を対象としているため、申請要件は厳格で、審査も慎重に行われます。特に調理師の場合、母国での十分な実務経験が求められることが特徴です。

在留資格「技能」で招聘できる外国料理の例

日本では一般的に以下のような外国料理のコックを「技能」ビザで招聘することができます

  • 中華料理
  • フランス料理
  • イタリア料理
  • タイ料理
  • インド料理
  • 韓国料理

注意点として、「日本料理」の調理師については、原則として「技能」ではなく「特定技能」「技人国」などの在留資格が適用される場合があります。また、単なる食材の下処理や補助的な調理作業のみを行う場合は、「技能」ビザの対象外となることが多いです。

外国人調理師に求められる要件

在留資格「技能」で外国人調理師を招聘するためには、その外国人が以下の要件を満たしている必要があります。

1. 実務経験年数

重要ポイント

外国人調理師は母国等において10年以上の実務経験を有していることが原則です。この経験年数は出入国在留管理局が厳格に審査する重要な要素となります。

実務経験については、必ずしも同一の店舗である必要はありませんが、一貫して同じ料理(例:タイ料理、中華料理など)の調理に従事していることが求められます。また、この経験を証明するための書類(経歴証明書、在職証明書など)が必要となります。

なお、調理師としての学校教育を受けている場合は、その期間を実務経験に含めることができる場合があります。ただし、学校教育だけでは不十分で、実際の調理現場での経験が重視されます。

2. 調理師としての技能水準

単に年数だけでなく、調理師としての技能水準が日本人と同等以上であることが求められます。具体的には、以下のような能力が評価されます:

  • 専門的な調理技術を有していること
  • メニュー開発能力があること
  • その国の伝統的な調理法に精通していること
  • 調理に関する専門的な知識(食材、調味料、調理器具等)を持っていること

3. 報酬要件

外国人調理師に支払われる報酬は、「日本人が同様の職務で受ける報酬と同等額以上」であることが求められます。具体的な金額は地域や店舗の規模によって異なりますが、一般的には月額20〜25万円以上が目安となります。

報酬に関する注意点

報酬が低すぎる場合、実態として「単純労働者」として雇用する意図があると判断され、不許可となるリスクが高まります。また、在留期間更新の際には、実際に申告した報酬通りに支払われているかどうかが確認されます。

受入れ機関(店舗・ホテル等)に求められる要件

外国人調理師を雇用する側の企業や店舗にも、いくつかの重要な要件があります。

1. 経営の安定性

招聘企業には経営の安定性が求められます。具体的には以下のような点が審査されます

  • 一定期間(通常は1年以上)の営業実績があること
  • 黒字経営であること、または安定した経営基盤があること
  • 税金の滞納がないこと
  • 社会保険に適切に加入していること

新規開業のレストランでは、外国人調理師の招聘が難しい場合があります。経営者に十分な資金力があることや、経営計画の妥当性などが重視されます。

2. 店舗の専門性・本格性

招聘しようとする外国料理を専門とする本格的な店舗であることが必要です。例えば

  • メニューの大部分がその国の料理で構成されていること
  • 店舗のコンセプトやデザインがその国の文化を反映していること
  • その国の伝統的な調理法や食材を使用していること

注意点

多国籍料理を提供する店舗や、日本風にアレンジした「和風○○料理」を主に提供する店舗では、外国人調理師の招聘が難しい場合があります。専門性・本格性の立証が特に重要となります。

3. 適切な労働環境

外国人調理師のための適切な労働環境を整備する必要があります

  • 労働基準法を遵守した労働条件(労働時間、休日、残業代など)
  • 適切な社会保険(健康保険、厚生年金など)への加入
  • 労災保険への加入
  • 住居の確保や生活支援体制

在留資格「技能」の申請手続き

外国人調理師を雇用するための申請手続きは、大きく分けて以下の2つのケースがあります。

ケース1: 新規に外国から招聘する場合

この場合は「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請から始まります。

  1. 受入れ企業が地方出入国在留管理局にCOE交付申請
  2. 審査(通常1〜3ヶ月)
  3. COE交付
  4. 外国人調理師が母国の日本大使館/領事館でビザ申請
  5. ビザ発給
  6. 来日・在留カード取得

ケース2: 既に日本にいる外国人の在留資格変更

既に留学や家族滞在などの在留資格で日本に滞在している外国人の場合

  1. 受入れ企業と外国人が在留資格変更許可申請の準備
  2. 外国人本人が地方出入国在留管理局に申請
  3. 審査(通常2週間〜2ヶ月)
  4. 許可・不許可の通知
  5. 許可の場合は新しい在留カード交付

必要書類

在留資格「技能」の申請には、一般的に以下の書類が必要です(ケースによって多少異なります)

提出書類備考
在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書出入国在留管理局指定の様式
外国人調理師の経歴書・職務経歴証明書10年以上の実務経験を証明する書類(前職の在職証明書等も含む)
外国人調理師の調理師免許・資格証明調理師免許を持っている場合(必須ではない)
雇用契約書職務内容、勤務時間、報酬額等が明記されたもの
受入れ企業の登記簿謄本発行後3ヶ月以内のもの
受入れ企業の決算書・営業報告書直近1〜3年分
受入れ企業の事業税・住民税納税証明書税金の滞納がないことを証明
店舗の写真内装・外装、調理場、メニュー等
店舗案内・パンフレットウェブサイトのプリントアウトなども可
店舗のメニューその国の本格的な料理を提供していることを示すもの
従業員名簿日本人従業員と外国人従業員の比率がわかるもの
パスポート・在留カードのコピー在留資格変更の場合
写真(4cm×3cm)3ヶ月以内に撮影されたもの

書類作成のポイント

特に重要なのが経歴証明書と職務経歴書です。10年以上の実務経験を適切に証明するために以下の点に注意しましょう

  • 具体的な勤務期間(年月日)を明記
  • 職場名・住所・連絡先を記載
  • 担当していた調理の種類や職務内容を詳細に記述
  • 可能であれば、前職の上司や経営者による署名入りの証明書を用意
  • 証明書類は原則として原本が必要(コピー不可の場合が多い)
  • 外国語の書類には日本語訳を添付

在留期間と更新

在留資格「技能」の在留期間は、原則として次のいずれかとなります

  • 5年
  • 3年
  • 1年
  • 3ヶ月

初回の申請では通常1年または3年が付与されることが多く、更新時の実績や状況に応じて在留期間が決定されます。在留期間の更新申請は、期間満了日の3ヶ月前から可能です。

更新時には、以下の点が重点的に審査されます

  • 申請時に提示した職務内容・報酬額通りに雇用されているか
  • 専門的な調理業務に従事しているか(単純作業のみではないか)
  • 税金や社会保険料の納付状況
  • 受入れ企業の経営状況

申請時の注意点と不許可となりやすいケース

在留資格「技能」の申請においては、以下のようなケースで不許可となるリスクが高まります

不許可リスクが高いケース

  • 実務経験が不足している場合 - 10年未満の実務経験しかない場合や、経験年数の立証が不十分な場合
  • 店舗の専門性・本格性が低い場合 - 多国籍料理店や、アレンジした料理が中心の店舗
  • 報酬額が低すぎる場合 - 同等の日本人調理師よりも明らかに低い報酬設定
  • 受入れ企業の経営基盤が不安定な場合 - 開業間もない、赤字経営が続いている等
  • 単純労働者としての雇用実態が疑われる場合 - 食材の下処理や補助作業のみを行う予定がある場合
  • 提出書類に不備・矛盾がある場合 - 経歴に空白期間がある、証明書類の信頼性に問題がある等

専門家に相談するメリット

在留資格「技能」の申請は、特に調理師の場合、審査が厳格で書類も複雑です。以下のような場合には、行政書士などの専門家への相談がおすすめです

  • 初めて外国人調理師を招聘する場合
  • 過去に不許可になった経験がある場合
  • 招聘予定の外国人の経歴に空白期間や特殊な事情がある場合
  • 開業間もない店舗で申請する場合
  • 書類作成や申請手続きの負担を軽減したい場合

専門家に依頼することで、申請書類の適切な作成、不足書類の指摘、申請戦略の提案など、許可率を高めるためのサポートを受けることができます。

行政書士しかま事務所のサポート

当事務所では、外国人調理師の招聘・雇用に関する在留資格「技能」の申請を専門的にサポートしています。

  • 申請前の無料相談で実現可能性を評価
  • 必要書類の作成・収集のアドバイス
  • 経歴証明書など重要書類の作成支援
  • 出入国在留管理局への申請手続き代行
  • 不許可リスクを低減するための戦略提案

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まとめ:外国人調理師招聘のポイント

在留資格「技能」による外国人調理師の招聘・雇用を成功させるためのポイントをまとめます

  1. 十分な実務経験の確認と証明 - 10年以上の経験を適切に証明できる書類の準備
  2. 受入れ店舗の専門性・本格性のアピール - 本格的な外国料理店であることの立証
  3. 適切な報酬設定 - 日本人と同等以上の報酬額の提示
  4. 安定した経営基盤の証明 - 財務状況や事業の継続性の立証
  5. 申請書類の正確な作成 - 書類の不備や矛盾を避ける
  6. 専門家への相談 - 複雑な申請手続きを円滑に進めるための専門家の活用

外国人調理師の招聘は、日本の飲食業界の国際化や人材不足解消のための重要な選択肢です。適切な準備と手続きを行うことで、優秀な外国人調理師との長期的な雇用関係を築くことができます。

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