【2025年最新】民泊(住宅宿泊事業)の始め方:届出・手続きガイド

【2025年5月最新】民泊(住宅宿泊事業)の始め方:届出・手続き完全ガイド | 行政書士しかま事務所

1. 住宅宿泊事業(民泊)とは

住宅宿泊事業(民泊)とは、住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)に基づき、一般の住宅を活用して旅行者などに有償で宿泊サービスを提供する事業です。2018年6月に施行された本法律により、一定の条件を満たせば、旅館業法の許可を取得せずとも、届出だけで民泊サービスを提供することが可能になりました。

民泊の3つの形態

  1. 住宅宿泊事業法に基づく民泊:年間提供日数が180日以内で、都道府県知事等への届出が必要
  2. 特区民泊:国家戦略特区内で実施する民泊で、2泊3日以上の滞在が条件
  3. 旅館業法に基づく簡易宿所:旅館業の許可を取得して行う宿泊事業

本記事では、主に住宅宿泊事業法に基づく民泊(180日ルール適用)の始め方に焦点を当てて解説します。

2. 2025年5月時点での最新動向

建築基準法改正の影響(2025年4月施行)

2025年4月に施行された建築基準法改正により、既存住宅を宿泊施設として無許可・違法に利用するケースに対する規制が強化されました。主な変更点は以下の通りです

  • 違法民泊の摘発強化と立ち入り検査の頻度拡大
  • 違反した場合の罰則強化(罰金額の引き上げ、営業停止命令の迅速化)
  • 延床面積200㎡以下の空き家活用に関する規制緩和措置の導入

民泊制度運営システムの機能拡充

2025年1月から民泊制度運営システムが機能拡充され、よりスムーズなオンライン申請が可能になりました。主な改善点

  • 申請書類のデジタル提出の完全対応
  • マイナンバーカードを用いた電子署名対応の強化
  • 定期報告のオンライン提出の簡略化

インバウンド回復に伴う規制緩和の動き

2025年の大阪万博開催に伴い、インバウンド需要の回復に対応するため、一部自治体では以下のような規制緩和の動きが見られます

  • 観光需要の高いエリアでの営業制限の緩和
  • 空き家再生型民泊の推進施策
  • 季節限定での営業日数制限の見直し

注意点

規制緩和の動きがある一方で、違法民泊への取締りは厳格化しています。法令を遵守した適正な民泊運営が、これまで以上に重要となっています。

3. 民泊開業の基本要件

対象となる「住宅」の定義

住宅宿泊事業法における「住宅」とは、以下の要件を満たす建物またはその一部を指します

  • 台所、浴室、便所、洗面設備の4つの生活設備が備わっていること
  • 人の生活の本拠として使用されてきた家屋であること(純然たる事業用建物は対象外)
  • 現に人の居住に供されている家屋、または入居者の募集が行われている家屋であること
必須設備具体的要件
キッチン調理に必要な設備(コンロ等)が備わっていること
浴室身体を洗浄できる設備(シャワーのみでも可)
トイレ水洗・汲み取り式を問わず、排泄のための設備
洗面設備手や顔を洗うための設備(浴室内の洗面台でも可)

営業日数の制限

住宅宿泊事業では、人を宿泊させる日数が年間で180日(正確には180泊)を超えないことが条件となります。この日数は、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間で計算されます。

日数カウントのポイント

  • 実際に宿泊者が滞在した日数ではなく、宿泊サービスを提供した日数でカウント
  • 同じ日に複数の部屋で宿泊させても、1日としてカウント
  • 定期的に実績報告が必要(2か月ごと)

欠格事由

以下に該当する方は、住宅宿泊事業を営むことができません

  • 成年被後見人または被保佐人
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 住宅宿泊事業法、旅館業法などの規定により罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

4. 安全措置と設備基準

安全確保のための措置

住宅宿泊事業法では、宿泊者の安全を確保するために以下の設備・措置が求められます

火災に対する安全措置

  • 消火器の設置:非常時に使用できる場所に配置
  • 火災報知設備:自動火災報知機や住宅用火災警報器等の設置
  • 非常用照明設備:停電時等に避難経路を照らす設備(家主不在型で宿泊室の床面積合計が50㎡超の場合必須)
  • 防火区画:隣接する2以上の宿泊室の床面積合計が100㎡を超える場合、100㎡以内ごとに準耐火構造の壁で区画

2025年の消防設備基準の変更点

2025年1月の住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)改正により、小規模な民泊施設(延べ面積が200㎡以下)における消防設備の要件が一部緩和されました。ただし、自治体によって追加要件がある場合があるため、必ず所轄の消防署に確認してください。

その他の安全措置

  • 避難経路の表示:各居室に避難経路図を掲示
  • 災害時の連絡先表示:緊急時の連絡先や対応方法を明示
  • 外国語対応:最低限、英語での案内表示を行うこと
  • 定期的な設備点検:安全機能が正常に作動するか定期的な確認

衛生管理基準

宿泊者が快適に過ごせるよう、以下の衛生管理基準を満たす必要があります

  • 寝具類の清潔保持と定期的な洗濯・乾燥
  • 客室の清掃と換気の実施
  • 浴室・トイレ等の衛生的な管理
  • 害虫・ねずみ等の駆除
  • 飲用水の安全確保(水質検査等)

重要

安全措置や衛生管理の不備は、業務改善命令や業務停止命令の対象となります。特に2025年4月以降は、違反に対する罰則が強化されていますので、十分に注意が必要です。

5. 自治体条例による規制

住宅宿泊事業法では、各自治体が独自の条例(上乗せ条例)を定めることを認めており、多くの自治体では住宅宿泊事業の実施できる区域や期間に制限を設けています。特に人口密集地域では、住環境の保全のため、厳しい規制が設けられている場合があります。

主な規制の種類

  • 区域規制:住居専用地域などでの民泊営業を禁止
  • 期間規制:平日のみ営業可能、週末・休日は営業不可など
  • 学校周辺規制:学校から一定距離内での営業制限
  • マンション規制:集合住宅での営業に関する追加条件

2025年時点での規制緩和の動き

2025年に向けて、一部の自治体では規制緩和の動きが見られます

  • 観光需要の高いエリアでの区域規制の一部解除
  • 地方創生のための空き家活用型民泊の推進
  • イベント期間限定での営業制限の緩和(大阪万博対応など)

東京23区の条例例

東京23区では、区ごとに異なる規制があります。例えば

  • 新宿区:住居専用地域での営業に制限あり
  • 中央区:月曜から金曜の正午までの営業制限
  • 世田谷区:教育施設の周辺100m以内での営業禁止

※条例は随時改正される可能性があるため、必ず最新情報を各区のホームページ等で確認してください。

注意点

届出前に必ず物件所在地の自治体に条例の有無と内容を確認してください。条例違反の場合、罰則の対象となるだけでなく、住民とのトラブルにもつながりかねません。

6. 届出手続きの流れ

住宅宿泊事業を始めるには、都道府県知事(または保健所設置市・特別区の長)に対して、事前に届出を行う必要があります。具体的な手続きの流れは以下の通りです。

事前準備と確認事項

  • 物件が住宅宿泊事業に適しているか確認(用途地域、建物構造等)
  • 自治体の条例で制限がないか確認
  • マンション・アパートの場合は管理規約等で禁止されていないか確認
  • 賃貸物件の場合は、家主の許可を得る
  • 近隣住民への事前説明と理解を得る

必要書類の準備

届出には以下の書類が必要です

  1. 住宅宿泊事業届出書(国土交通省・厚生労働省の定める様式)
  2. 届出者の住民票(個人の場合)または登記事項証明書(法人の場合)
  3. 物件の登記事項証明書
  4. 賃貸借契約書の写し(賃貸物件の場合)
  5. 管理組合の同意書(マンションの場合)
  6. 消防法令適合通知書または検査済証(所轄消防署で取得)
  7. 住宅の図面(間取り図、設備配置図等)
  8. 標識の掲示場所と内容が分かる書類または写真
  9. 欠格事由に該当しない旨の誓約書
  10. 住宅宿泊管理業者との委託契約書(家主不在型の場合)

※自治体によって追加の書類が求められる場合があります。

届出の提出

届出は以下のいずれかの方法で行います

  1. 民泊制度運営システム(電子申請):オンラインで申請する方法(推奨)
  2. 窓口提出:物件所在地を管轄する都道府県または保健所設置市・特別区の担当窓口に直接提出
  3. 郵送:担当窓口宛に書類を郵送

2025年現在、オンライン申請が最も効率的で推奨されています。

審査と届出番号の発行

提出された届出は、自治体によって内容の審査が行われます。不備がなければ、届出番号が発行され、民泊制度ポータルサイトで公表されます。届出が受理されるまでの期間は自治体によって異なりますが、一般的に1〜3週間程度かかります。

営業開始準備

届出番号取得後、以下の準備を行います

  • 届出済標識の掲示(物件の門扉や玄関など見やすい場所に掲示)
  • 宿泊者名簿の準備
  • 近隣住民への事業開始の通知
  • 予約サイトへの登録(Airbnb、Booking.comなど)

注意事項

届出は必ず営業開始前に行い、受理されてから事業を開始してください。無届での営業は、懲役刑または100万円以下の罰金の対象となります。

7. 民泊制度運営システムの活用方法

民泊制度運営システムは、国土交通省・観光庁が運営する民泊事業者向けのオンラインプラットフォームです。2025年現在、機能が拡充され、届出から運営までをよりスムーズに行えるようになっています。

システムの主な機能

  • 住宅宿泊事業の届出申請
  • 定期報告(2か月ごとの宿泊日数報告)
  • 変更届の提出
  • 廃業届の提出
  • 書類のダウンロード

利用開始の手順

  1. 民泊制度ポータルサイト(minpaku.mlit.go.jp)にアクセス
  2. 「民泊制度運営システム」を選択
  3. アカウント登録(メールアドレス、パスワード設定)
  4. 利用者情報の入力
  5. 電子署名の設定(マイナンバーカード等による本人確認)

2025年の主な改善点

  • スマートフォン対応の強化(モバイルでの申請・報告が容易に)
  • 多言語対応の拡充(英語・中国語・韓国語に対応)
  • 書類の簡素化と自動チェック機能の実装
  • 定期報告のリマインダー機能

活用のポイント

民泊制度運営システムを利用すると、窓口での手続きが不要になり、24時間いつでも申請が可能です。また、申請状況や過去の報告内容もシステム上で確認できるため、書類管理が容易になります。

8. 住宅宿泊管理業者について

家主不在型の民泊を運営する場合、住宅宿泊管理業者への管理委託が法律で義務付けられています。住宅宿泊管理業者は国土交通大臣の登録を受けた事業者で、住宅の管理や宿泊者対応を代行します。

住宅宿泊管理業者の役割

  • 宿泊者の本人確認と宿泊者名簿の作成・保管
  • 宿泊者への対応(鍵の受け渡し、問い合わせ対応等)
  • 近隣住民からの苦情対応
  • 住宅の維持管理(清掃、設備点検等)
  • 非常時の対応

管理業者選定のポイント

2025年5月現在、多数の住宅宿泊管理業者が登録されています。以下のポイントを考慮して選定してください

  • 対応エリア(物件所在地をカバーしているか)
  • 管理料金体系(固定費か売上連動か)
  • 提供サービスの範囲(清掃、リネン交換、予約管理等)
  • 24時間対応の可否
  • 多言語対応の有無
  • 実績と評判

管理委託料の相場

2025年5月現在の管理委託料の相場は、売上の15〜30%程度、または固定費として月額2〜5万円程度となっています。サービス内容によって料金は大きく異なりますので、複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。

注意点

家主不在型で住宅宿泊管理業者への委託を行わない場合、無届営業と同様の罰則対象となります。また、管理業者と契約する際は、業務内容や費用について明確に契約書に記載することが重要です。

9. 民泊事業成功のためのポイント

2025年の民泊市場は競争が激化していますが、以下のポイントを押さえることで差別化を図ることができます。

物件選定と内装のポイント

  • アクセスの良さ(駅・観光地からの距離)
  • 周辺環境(コンビニ、飲食店の有無)
  • 物件の特徴を活かした内装(和室、眺望など)
  • 快適な設備(高速Wi-Fi、充電設備、調理器具など)
  • 清潔感の維持

集客・運営のポイント

  • 複数の予約サイトへの登録(Airbnb, Booking.com, 楽天トラベルなど)
  • 魅力的な写真と説明文の投稿
  • 適切な価格設定(需要に応じた変動料金制の導入)
  • 口コミ管理(ゲストからの評価向上策)
  • 地域の観光情報・グルメ情報の提供
  • ホスピタリティの向上(ウェルカムドリンク、アメニティの充実など)

2025年の新たなトレンド

  • ワーケーション対応:リモートワークに適した環境整備(作業スペース、安定したWi-Fi)
  • サステナブルな運営:環境に配慮した設備や消耗品の使用
  • 地域体験の提供:地元の体験プログラムとの連携
  • テクノロジー活用:スマートロック、IoT家電、自動チェックインシステムの導入
  • 長期滞在需要への対応:週単位・月単位の割引プランの提供

2025年の収益性

2025年5月時点では、立地条件の良い物件であれば、年間180日の営業制限があっても、通常の賃貸運用より高い収益を得られる可能性があります。特に大阪万博期間中は需要増加が見込まれています。ただし、初期投資(内装、設備、許認可費用等)と運営コスト(清掃費、管理費、予約サイト手数料等)を考慮した収支計画が重要です。

10. 専門家への相談のメリット

民泊事業を始める際、行政書士などの専門家に相談することで、以下のようなメリットがあります。

行政書士に依頼するメリット

  • 最新の法令・条例に基づいた正確なアドバイス
  • 申請書類の作成と必要書類の収集サポート
  • 行政機関との交渉・調整
  • 不備や不足書類による申請遅延の防止
  • 消防署など関係機関との事前相談代行
  • 事業計画や収支計画の策定アドバイス

行政書士しかま事務所のサポート内容

当事務所では、民泊事業者様に対して以下のようなサポートを提供しています

  • 住宅宿泊事業届出の代行(書類作成から提出まで)
  • 自治体条例の調査・確認
  • 消防法適合のための事前相談
  • 管理業者選定のアドバイス
  • 営業開始後の定期報告サポート
  • 変更届・廃業届の手続き代行

民泊事業に関するご相談は、初回30分無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。

まとめ

2025年5月現在、民泊事業は法的枠組みが整備され、より安定した運営が可能になっています。特に大阪万博の開催に伴い、インバウンド需要の増加が期待される中、適切に法律を理解し、手続きを進めることが重要です。

住宅宿泊事業法に基づく民泊の届出手続きは決して簡単ではありませんが、本記事でご紹介したポイントを押さえ、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、スムーズに事業を開始することができます。

民泊事業に関するご相談やお悩みがございましたら、行政書士しかま事務所までお気軽にお問い合わせください。皆様の民泊事業の成功をサポートいたします。

※本記事は2025年5月時点の情報に基づいて作成されています。法令や制度は変更される可能性がありますので、最新情報は必ず公的機関のホームページ等でご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な事案については必ず専門家にご相談ください。

お気軽にお問い合わせください。090-3426-1600営業時間 9:00 - 18:00 [ 土日・祝日除く ]

メールでのお問い合わせはこちら オンライン相談も承っております