2025年最新版スタートアップビザ|外国人起業家向け
行政書士しかま事務所
外国人の方の在留資格・ビザ申請をサポート
【2025年最新版】スタートアップビザ完全ガイド
日本政府が推進する外国人起業家向けの特例措置「スタートアップビザ」。2025年1月からは制度が一本化され全国展開されました。本記事では、制度の概要から申請方法、メリットまで詳しく解説します。
主な内容
- スタートアップビザとは?- 制度の概要と目的
- 2025年からの全国展開の仕組み
- 申請から取得までの流れと必要書類
- 在留資格「特定活動」から「経営・管理」への移行
- 申請における注意点と成功のポイント
スタートアップビザとは?
スタートアップビザ(正式名称:外国人起業活動促進事業)は、日本の産業の国際競争力を強化し、国際的な経済活動の拠点を形成することを目的とした制度です。この制度により、外国人起業家は通常の「経営・管理」ビザの要件(事業所の確保、500万円以上の投資または2人以上の常勤職員の雇用)を満たさなくても、最長2年間の在留が認められます。
この期間を活用して、会社設立、事業所確保、取引先開拓など、本格的な起業のための準備活動を行うことができます。日本政府が掲げる「スタートアップ育成5か年計画」においてユニコーン企業100社創出の目標達成に向けた重要な施策の一つとなっています。
2025年1月からの制度変更ポイント
これまで「国家戦略特区のスキーム」と「経済産業省のスキーム」の2つのスタートアップビザ制度が存在していましたが、2025年1月1日より制度が一本化され全国展開されました。また、「事業所の確保」と「事業の規模」の2つの要件を猶予する期間が最大2年間に延長されています。
スタートアップビザのメリット
在留資格の要件緩和
通常、外国人が日本で起業するためには、入国前に「事業所の確保」と「500万円以上の投資または2人以上の常勤雇用」を満たす必要がありますが、スタートアップビザではこれらの要件を最大2年間猶予します。
2年間の在留期間
2025年からの制度一本化により、最長2年間の在留が認められるようになりました。これにより、より計画的かつ安定した起業準備活動が可能になります。
支援団体によるサポート
認定を受けた自治体や支援団体から、起業準備に関するアドバイスや地域ビジネスネットワークの紹介、行政手続きのサポートなど多岐にわたる支援を受けることができます。
全国どこでも申請可能
2025年からは全国展開により、認定を受けた地方自治体であればどこでも申請が可能になりました。これまでは対象地域が限られていましたが、起業場所の選択肢が広がっています。
制度の実績
経済産業省および内閣府の調査によると、2024年5月末時点で累計716人以上に対してスタートアップビザが交付されており、そのうち少なくとも359人が事業経営者に付与される在留資格「経営・管理」への移行または更新を行い、日本での創業に成功しています。
特に、起業支援体制が整った自治体では成功率が高く、地域経済の活性化や国際的なビジネスハブの形成に貢献しています。外国籍起業家と日本企業との協業や投資の呼び込みにもつながっており、日本のスタートアップ・エコシステムの多様化に寄与しています。
申請の流れ
対象自治体の選定
まずは起業を希望する地域の自治体が「外国人起業活動促進事業」の認定を受けているかを確認します。経済産業省のウェブサイトで認定団体の一覧が公開されています。
起業準備活動計画の作成
ビジネスプラン、事業内容、市場分析、収支計画、日本での活動予定などを含む起業準備活動計画を作成します。計画書は英語でも提出可能な自治体が多いですが、自治体によって異なります。
自治体への申請
作成した起業準備活動計画を選定した自治体へ提出します。自治体はその計画が経済産業省告示で定める要件を満たすかを審査し、事業の起業及び経営に関する識見を有する者の意見を聴いた上で、適当と認められる場合に「起業準備活動計画確認証明書」を交付します。
在留資格の申請
自治体から交付された確認証明書を持って、出入国在留管理局に在留資格「特定活動」の申請を行います。海外にいる場合は在留資格認定証明書の交付申請、すでに日本に滞在している場合は在留資格変更許可申請となります。
起業準備活動の開始
在留資格が認められたら、日本で起業準備活動を開始できます。この期間中、通常は1ヶ月に1回程度、自治体による面談や進捗確認があります。起業準備期間内に会社設立、事務所確保、人材雇用または資本金確保など「経営・管理」ビザの要件を満たす必要があります。
必要書類
申請に必要な書類は自治体によって若干異なりますが、主に以下のものが求められます
自治体への申請時
- 起業準備活動計画確認申請書
- 起業準備活動計画書
- 履歴書
- パスポートの写し
- 滞在中の住居を明らかにする書類(予定でも可)
- 滞在費を明らかにする書類(銀行残高証明書など)
- 学歴・職歴を証明する書類(卒業証明書、在職証明書など)
- 起業に関連する資格や実績を示す書類(あれば)
出入国在留管理局への申請時
- 在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書
- 起業準備活動計画確認証明書(自治体発行のもの)
- 写真
- パスポート(すでに日本にいる場合)
- 在留カード(すでに日本にいる場合)
- 住居証明書類
- 滞在費を証明する書類
期間更新・「経営・管理」への移行
スタートアップビザで認められる在留期間(最長2年)の間に、起業準備活動を進め、以下の「経営・管理」ビザの要件を満たす必要があります
「経営・管理」ビザの主な要件
- 事業所の確保(独立した専用の事業所であること。コワーキングスペースは原則として認められません)
- 以下のいずれかを満たすこと
- 500万円以上の投資(資本金等)
- 2人以上の常勤職員(日本人または就労資格を持つ外国人)の雇用
- 事業の継続性・安定性(事業計画の実現可能性、収益性)
重要な制度改正情報(2023年4月)
スタートアップ(設立5年以内の国内非上場企業で、独自性のある技術やサービス、新しいビジネスモデルに基づき事業を成長させようとする企業)に限り、在留資格更新時の直近2期が債務超過であっても、一定の書類提出により事業の継続性について柔軟に判断されるようになりました。
提出書類の例
- 中小企業診断士や公認会計士などによる事業評価書
- 投資家やベンチャーキャピタルからの投融資を示す書類
- 製品・サービスの開発や顧客基盤の拡大などに取り組んでいることを示す書類
課題と注意点
申請時の注意点
- 事業計画の具体性と実現可能性:ビジネスモデルが明確で、収益見込みが現実的かつ具体的である必要があります。市場分析や差別化戦略も重要です。
- 資金計画:起業準備期間中の生活費と事業資金をどのように確保するかを示す必要があります。
- 日本語能力:日本での起業に必要な日本語能力があるか、または日本語を話せないことを補う体制(通訳の確保など)があるかを示すことも重要です。
- 自治体との定期面談:多くの自治体では1ヶ月に1回程度の面談があり、計画の進捗状況を報告する必要があります。
在留中の課題
- 銀行口座開設:「特定活動」の在留資格では、銀行口座開設が難しい場合があります。
- 住居の確保:外国人、特に日本語が話せない外国人に物件を貸す不動産会社は限られています。
- 資金の国際送金:資本金等の送金に時間がかかることがあります。
- 日本のビジネス習慣:商習慣や契約慣行の違いに適応する必要があります。
行政書士しかま事務所のサポート内容
外国人起業家の方が日本でスムーズに起業活動を始められるよう、当事務所では以下のサポートを提供しています
申請書類の作成・サポート
ビザ取得に必要な書類の作成から申請までをトータルでサポートします。専門的な観点から自治体や入管に提出する書類を精査し、申請の成功率を高めます。
多言語対応コンサルティング
英語・中国語での対応が可能です。日本語に不安のある外国人起業家の方にも、ビザ取得から会社設立までの法的手続きを分かりやすく説明します。
会社設立サポート
株式会社・合同会社の設立登記書類の作成から、定款認証、登記申請までをサポートします。起業活動計画の実施段階での法的手続きをスムーズに進めます。
関連機関との橋渡し
銀行口座開設、住居確保、税理士・会計士の紹介など、起業に必要な周辺サポートも提供します。地域の専門家ネットワークを活用した包括的な支援が可能です。
よくある質問
Q: スタートアップビザの申請は日本国外からでも可能ですか?
A: はい、可能です。国外から申請する場合は、選定した自治体に起業準備活動計画を提出し、確認証明書の交付を受けた後、在外日本公館で在留資格認定証明書交付申請を行います。認定証明書が交付されたら、それを持って査証(ビザ)を申請します。
Q: 「特定活動」から「経営・管理」へ移行するタイミングはいつですか?
A: 会社の設立登記が完了し、事業所を確保し、かつ2人以上の常勤職員の雇用または500万円以上の投資(資本金等)の要件を満たした時点で、「経営・管理」への在留資格変更許可申請が可能です。在留期間の満了を待つ必要はなく、要件を満たした時点で申請できます。
Q: 起業する業種に制限はありますか?
A: 基本的には自治体の産業政策に沿った業種であれば制限はありませんが、飲食業やサービス業など一部の業種では審査が厳しくなる可能性があります。また、社会的に問題となるような業種(風俗営業等)は認められません。自治体によって重点分野が異なる場合もあるため、事前に確認することをお勧めします。
Q: 日本語が話せなくても申請できますか?
A: 法律上は日本語能力は必須要件ではありませんが、日本での起業に必要なコミュニケーションをどう確保するかを事業計画に含める必要があります。通訳や翻訳サービスの利用計画、英語を話せる従業員の採用計画などを示すことで対応可能です。ただし、自治体によっては一定の日本語能力を求められる場合があります。
Q: スタートアップビザ期間中に家族を呼び寄せることはできますか?
A: 在留資格「特定活動」を持つ外国人起業家の配偶者および子供には「家族滞在」の在留資格が認められます。家族の呼び寄せには別途申請が必要です。
Q: 2023年4月の制度改正で何が変わりましたか?
A: スタートアップ(設立5年以内の国内非上場企業)に限り、在留資格「経営・管理」の更新時に、直近2期が債務超過であっても、中小企業診断士等の専門家による事業評価や投資家からの資金調達を示す書類などを提出することで、事業の継続性について柔軟に判断されるようになりました。これにより、成長過程にあるスタートアップの特性に配慮した制度運用がなされています。
まとめ
スタートアップビザは、外国人起業家にとって日本での起業の門戸を大きく開く制度です。2025年からの全国展開により、より多くの地域で申請可能になり、最大2年間の起業準備期間が認められるようになりました。
しかし、成功のためには緻密な事業計画立案、適切な資金計画、そして日本の法制度や商慣習への理解が欠かせません。当事務所では豊富な経験と専門知識を活かし、外国人起業家の方々の日本でのビジネス成功を包括的にサポートしています。
スタートアップビザの申請をお考えの方は、お気軽に行政書士しかま事務所までご相談ください。初回相談は無料で承っております。
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