経営・管理ビザと民泊新法/外国人投資家が知るべき基礎知識
経営管理ビザと民泊投資 | 外国人投資家が知るべき基礎知識
こんなお悩みありませんか?
- 外国人が日本で民泊事業を始めるための手続きが分からない
- 経営管理ビザの取得と民泊事業の関連性について知りたい
- 住宅宿泊事業の届出手続きの詳細を知りたい
- 民泊投資のメリット・デメリットを理解したい
- 外国人経営者特有の注意点や必要書類について知りたい
1. 住宅宿泊事業(民泊)の基本概要
住宅宿泊事業、いわゆる「民泊」とは、住宅の全部または一部を活用して宿泊サービスを提供する事業形態です。2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法(民泊新法)」によって法的に整備され、一般の方でも適切な届出を行うことで宿泊事業を営むことが可能になりました。
住宅宿泊事業の特徴
- 年間提供日数が180日以内に制限されている
- 届出制であり、許可制ではない
- 住宅の定義に合致する物件で実施する必要がある
- 自治体によっては条例で営業日や区域に制限がある場合がある
民泊サービスは、外国人観光客の増加やライフスタイルの多様化により、従来のホテルや旅館とは異なる宿泊体験を求める需要に応える形で拡大してきました。特に都市部や観光地では、魅力的な投資対象として注目を集めています。
2. 民泊投資のメリットとデメリット
【メリット】
2-1. 高い収益性
従来の賃貸経営と比較して、民泊は1泊あたりの料金設定を柔軟に行うことができるため、稼働率が高ければ大幅な収益増が期待できます。一般的な賃貸不動産の利回りが3~5%程度であるのに対し、民泊投資では適切な運営により10~15%の利回りも可能とされています。
2-2. 空き家・空室の有効活用
賃貸需要が低い地域でも、観光資源があれば民泊として活用することで収益化が可能です。空き家問題の解決にも貢献できるため、社会的意義も大きいと言えるでしょう。
2-3. 柔軟な価格設定
季節やイベント、需要に応じて宿泊料金を変動させることができるため、繁忙期には高い収益を得ることができます。長期賃貸のように固定された家賃収入ではなく、市場状況に合わせた最適化が可能です。
2-4. 外国人経営者の強み
外国人経営者は、自国からの旅行者に対して言語や文化の障壁なくサービスを提供できるという強みがあります。インバウンド需要を効果的に取り込むことができるでしょう。
【デメリット】
2-5. 法規制の複雑さ
住宅宿泊事業法、旅館業法、各自治体の条例など、複数の法規制が関わるため、手続きが煩雑です。特に外国人が事業を始める場合、各種届出や許可申請に特有の課題があります。
2-6. 運営管理の負担
チェックイン・チェックアウト対応、清掃、トラブル対応など、日常的な運営管理の負担が大きく、人件費やサービス委託費用が発生します。
2-7. 稼働率の変動リスク
季節や景気変動による稼働率の変動リスクがあり、安定した収入が保証されないことがあります。特にオフシーズンや災害、感染症流行時などには収益が激減する可能性があります。
3. 住宅宿泊事業の届出手続き
住宅宿泊事業を始めるには、住宅の所在地を管轄する都道府県知事等に届出を行う必要があります。手続きは原則として「民泊制度運営システム」を通じてオンラインで行いますが、書面での提出も可能です。
3-1. 届出に必要な書類
必要書類 | 備考 |
---|---|
住宅宿泊事業届出書 | 所定の様式に記入 |
定款または寄付行為(法人の場合) | 法人の事業目的に宿泊事業が含まれていることが必要 |
登記事項証明書(法人の場合) | 発行から3ヶ月以内のもの |
住民票(個人の場合) | 外国人の場合は在留カード等のコピーも必要 |
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書 | 外国人の場合は本国等の公的機関が発行する同等の証明書 |
欠格事由に該当しないことを誓約する書面 | 所定の様式に記入 |
住宅の登記事項証明書 | 発行から3ヶ月以内のもの |
住宅の図面 | 各階の間取り、居室の床面積などが分かるもの |
消防法令適合通知書等 | 一部の物件で必要 |
3-2. 外国人が届出を行う場合の特記事項
外国籍の方が住宅宿泊事業の届出を行う場合は、以下の点に注意が必要です
- 「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書」の代わりに、外国政府または外国における公証役場が発行した同等の証明書が必要
- 翻訳文を添付する必要がある(日本語以外の書類の場合)
- 在留資格が「経営・管理」等、事業経営が認められるものであることの証明
3-3. 届出後の義務
届出が受理された後は、以下の義務を遵守する必要があります
- 届出住宅に標識を掲示すること
- 宿泊者名簿の作成・保存
- 宿泊者に対する外国語での案内(設備の使用方法、緊急連絡先等)
- 近隣住民への配慮に関する説明
- 2ヶ月ごとの定期報告(宿泊日数・宿泊者数等)
- 苦情等への対応
特に外国語での案内は、届出住宅の設備の使用方法、移動のための交通手段、緊急時の連絡先や避難場所について、外国人宿泊者に分かりやすく説明することが求められています。
4. 経営管理ビザと民泊事業の関連性
外国人が日本で民泊事業を運営する場合、多くは「経営・管理」の在留資格(いわゆる経営管理ビザ)を取得して事業を行います。経営管理ビザと民泊事業には深い関連性があります。
4-1. 経営管理ビザの概要
経営管理ビザは、日本において事業の経営・管理を行う外国人に与えられる在留資格です。このビザを取得するためには、事業の具体性・実現可能性、安定性・継続性、経済効果などが審査されます。
経営管理ビザの主な要件
- 事業所(オフィス)の確保
- 事業計画の具体性・実現可能性
- 十分な資本金または投資額(一般的に500万円以上が目安)
- 日本人や永住者の雇用創出効果(または見込み)
- 申請者自身の事業経営能力・経験
4-2. 民泊事業で経営管理ビザを取得する場合の留意点
民泊事業を経営管理ビザの対象事業とする場合、以下の点に特に留意する必要があります
認められやすい形態
- 旅館業法に基づく簡易宿所としての運営
- 特区民泊制度を活用した運営
- 複数物件での事業展開
- 管理サービスも含めた総合的な事業
認められにくい形態
- 住宅宿泊事業法のみに基づく単独物件の運営
- 年間営業日数が極端に少ない事業計画
- 持続的な収益が見込めない計画
- 単なる投資目的と判断される場合
4-3. 審査のポイント
入管当局は、特に以下の点に注目して審査を行います
- 事業の継続性・安定性(年間の稼働率、収益計画など)
- 事業規模(複数物件、運営体制など)
- 申請者の能力・経験(宿泊業や不動産業の経験など)
- 日本経済への貢献度(日本人雇用、税金など)
- 事業所の実体(管理業務を行うオフィスの有無)
民泊事業単独では経営管理ビザの要件を満たすことが難しい場合があるため、清掃や管理代行、宿泊者向けツアー企画など、関連サービスを組み合わせた総合的な事業計画を立案することが重要です。
5. 外国人が民泊事業を成功させるためのポイント
5-1. 法的手続きの確実な実施
住宅宿泊事業届出、経営管理ビザ申請、税務手続きなど、必要な法的手続きを漏れなく確実に行うことが重要です。特に外国人特有の手続きについては、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
5-2. ターゲット市場の明確化
自国からの旅行者をメインターゲットにするのか、ビジネス利用者を狙うのかなど、明確なターゲット設定により、効果的なマーケティングや設備投資が可能になります。外国人経営者の強みを生かせるターゲット設定が重要です。
5-3. 差別化戦略
競争が激化する民泊市場では、独自の価値提供が重要です。母国語でのサポート、文化的な体験提供、特定のニーズに特化したサービスなど、外国人経営者ならではの差別化ポイントを確立しましょう。
5-4. 長期的な事業計画
180日の営業制限がある住宅宿泊事業法では、オフシーズンの収益確保が課題です。旅館業法による許可取得への移行計画や、複数物件展開による収益の安定化など、長期的な事業戦略が必要です。
ビザ更新を見据えた事業運営
経営管理ビザは更新時に事業の実績が審査されます。収益計画どおりに事業が進んでいるか、雇用創出などの貢献ができているかなど、更新審査を見据えた事業運営が必要です。実績が計画を下回る場合、更新が困難になることもあります。
6. 専門家サポートの重要性
外国人が日本で民泊事業を始める場合、特に以下の点で専門家のサポートが重要になります
入管業務専門家の役割
- 経営管理ビザ申請書類の作成支援
- 事業計画書の作成アドバイス
- ビザ更新に向けた事業実績の管理
- 在留資格に関する相談対応
民泊事業専門家の役割
- 住宅宿泊事業届出の手続き支援
- 関連法規の遵守についてのアドバイス
- 物件選定や設備導入のコンサルティング
- 運営管理体制の構築支援
両分野に精通した専門家によるワンストップサポートが受けられれば、手続きの効率化と事業成功の可能性を高めることができます。特に言語や文化の壁がある外国人にとって、専門家のサポートは貴重な経営資源となります。
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