外国人採用で失敗しないための面接質問集50選【在留資格・状況別】

外国人採用で失敗しないための面接質問集50選【在留資格・状況別】| 行政書士しかま事務所

外国人採用で失敗しないための面接質問集50選
【在留資格・状況別】

ビザ申請成功を見据えた戦略的面接質問集

読了時間:約15分

この記事を読むとわかること

  • 外国人採用面接で、スキル以外に絶対に確認すべきこと
  • 候補者の状況別(新卒/転職/海外から)に使える具体的な質問50選
  • 各質問の裏にある「ビザ審査上のチェックポイント」
  • 面接で聞いてはいけない「NG質問」とコンプライアンス
  • 面接でのヒアリングを、ビザ申請成功に直結させる方法

その面接、ビザの"地雷"を踏んでいませんか?

「スキルは完璧。でも、この人の学歴でうちの仕事のビザは取れる…?」

「候補者は『ビザは大丈夫』と言うけど、何を根拠に信じればいい?」

「転職理由が気になるけど、どこまで突っ込んで聞いていいものか…」

「面接で、ビザ申請に不利になるような情報を引き出してしまったらどうしよう?」

「採用後にビザが不許可になるリスクを、面接の段階で予測できないか?」

1. はじめに:面接は「ビザ申請の第一歩」である

行政書士しかま事務所の鹿間です。これまで数多くの外国人採用とビザ申請をサポートしてまいりました。

外国人採用の成否は、採用後のビザ申請で決まります。そして、その申請の質は、採用面接でいかに正確な情報を収集し、リスクを評価できたかにかかっています。

面接での確認不足が、採用コストの無駄や内定取消しという最悪の事態を招きます。本記事は、そうした失敗を未然に防ぐための、ビザ審査の観点から設計された「面接質問集」です。

2. 【基礎確認編】まず全員に確認すべき必須質問

候補者の状況を問わず、基本情報として確認すべき質問です。これらの確認を怠ると、後のビザ申請で致命的な問題が発覚する可能性があります。

質問1:「現在の在留資格と在留期限を教えていただけますか?」
質問の意図: 基本的な在留状況の確認と、申請のタイムリミットを把握するため。在留期限が迫っている場合、急いで手続きを進める必要があります。
質問2:「在留カードに就労制限の記載はありますか?」
質問の意図: 現在の就労可能な範囲を確認し、採用予定の業務が法的に許可されているかを判断するため。
質問3:「パスポートの有効期限はいつまでですか?」
質問の意図: ビザ申請時にパスポートの有効期限が十分であることを確認するため。期限が近い場合、更新手続きが必要になります。
質問4:「これまでに日本でビザの申請をしたことはありますか?」
質問の意図: 過去の申請履歴を把握し、特に不許可歴がある場合は、その理由と対策を事前に検討するため。
質問5:「現在、日本での税金や社会保険の手続きは適切に行われていますか?」
質問の意図: 素行要件の確認。税金や社会保険料の未納は、ビザ申請において重大なマイナス要因となります。

3. 【状況別・実践編①】新卒留学生・卒業予定者への質問

技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国)への変更を想定した質問です。学歴と業務の関連性が最重要ポイントとなります。

学歴と業務の関連性を測る質問

質問6:「大学での専攻内容と、当社で希望する業務にどのような関連があるとお考えですか?」
質問の意図: 技人国ビザの最重要要件である「学歴と職務の関連性」を本人がどう認識し、説明できるかを確認。審査官への説明材料としても重要です。
質問7:「大学で履修した科目の中で、希望する業務に直接活かせるものはありますか?」
質問の意図: 具体的な履修科目と業務の関連性を明確にし、ビザ申請時の立証資料として活用するため。
質問8:「卒業論文や研究テーマについて詳しく教えてください。」
質問の意図: 学術的な専門性と業務の関連性を深く掘り下げ、より説得力のある申請書類を作成するため。

在学中の活動を確認する質問

質問9:「在学中のアルバイト(資格外活動)について、法律(週28時間など)は守っていましたか?」
質問の意図: 資格外活動違反は、素行要件でマイナス評価となり、ビザ不許可の大きな要因となるため、事前に確認が必要です。
質問10:「大学での出席率や成績はいかがでしたか?」
質問の意図: 学習に対する真摯な姿勢を確認し、留学の本来の目的を果たしていたかを評価するため。
質問11:「インターンシップや研修の経験はありますか?」
質問の意図: 実務経験と学習の関連性を確認し、業務遂行能力を評価するため。
質問12:「日本語能力試験(JLPT)のレベルはどの程度ですか?」
質問の意図: 業務遂行に必要な日本語能力を客観的に評価し、職場でのコミュニケーション能力を判断するため。

4. 【状況別・実践編②】国内での転職希望者への質問

技人国ビザでの転職を想定した質問です。前職での経験と新しい職務の関連性、転職理由の妥当性が重要な審査ポイントとなります。

職歴と業務の関連性を測る質問

質問13:「前職(現職)での具体的な業務内容を、プロジェクトや役割を含めて詳しく教えてください。」
質問の意図: 転職者の場合、前職までの「実務経験」と新しい職務内容の関連性も重要な審査ポイントとなるため、具体的な業務内容を把握する必要があります。
質問14:「これまでの職歴で身につけたスキルや知識を、当社でどのように活かせると考えますか?」
質問の意図: 経験と新しい業務の関連性を本人がどう認識しているかを確認し、ビザ申請時の説明根拠とするため。
質問15:「前職での役職や責任範囲について教えてください。」
質問の意図: 専門性の高い業務に従事していたことを立証し、単純労働でないことを明確にするため。

転職理由と在留状況を確認する質問

質問16:「転職を考えられた理由は何ですか?」
質問の意図: 短期間での転職は、安定性・継続性に疑義を持たれる可能性があるため、その合理的な理由を確認し、審査官への説明材料とするため。
質問17:「退職されている場合、離職期間はどのくらいですか?」
質問の意図: 長い離職期間は、在留資格の活動実態に疑義を持たれる可能性があるため、その期間と理由を確認する必要があります。
質問18:「これまでの転職回数と、それぞれの在職期間を教えてください。」
質問の意図: 頻繁な転職は、継続性・安定性に疑義を持たれる可能性があるため、その経緯と理由を確認するため。
質問19:「前職での年収と、希望する年収を教えてください。」
質問の意図: 日本人と同等以上の報酬要件を満たしているかを確認し、適切な給与水準を設定するため。
質問20:「前職での勤務時間や労働条件に問題はありませんでしたか?」
質問の意図: 労働法令違反などの問題がなかったかを確認し、素行要件に影響する要因を事前に把握するため。

5. 【状況別・実践編③】海外から招聘する候補者への質問

海外在住者を日本に招聘する場合の質問です。書類の準備可能性と過去の来日歴が重要な確認ポイントとなります。

学歴・職歴の証明可能性を測る質問

質問21:「卒業された大学の卒業証明書や成績証明書は、すぐに取得可能ですか?」
質問の意図: 海外の書類は取得に時間がかかるケースが多く、立証資料の準備可能性を事前に確認し、申請スケジュールを調整するため。
質問22:「これまでの職歴について、在職証明書や推薦状の取得は可能ですか?」
質問の意図: 実務経験を立証する書類の準備可能性を確認し、申請に必要な資料を事前に把握するため。
質問23:「母国での最終学歴の修了年月日と、取得した学位を正確に教えてください。」
質問の意図: 学歴要件を満たしているかを正確に確認し、申請書類の記載内容を準備するため。

過去の来日歴・申請歴を確認する質問

質問24:「これまでに日本に滞在した経験や、ビザを申請して不許可になった経験はありますか?」
質問の意図: 過去のオーバーステイや不許可歴は、今回の審査に大きく影響するため、事前に確認し、対策を検討する必要があります。
質問25:「日本以外の国で、ビザの申請や入国拒否の経験はありますか?」
質問の意図: 他国での入国拒否歴は、日本のビザ審査にも影響する可能性があるため、事前に確認が必要です。
質問26:「母国での犯罪歴や法的問題はありませんか?」
質問の意図: 素行要件の確認。犯罪歴がある場合は、その詳細を確認し、申請可能性を慎重に判断する必要があります。
質問27:「日本語能力はどの程度ですか?検定試験の受験経験はありますか?」
質問の意図: 業務遂行に必要な日本語能力を客観的に評価し、入国後の適応能力を判断するため。
質問28:「日本での就労について、家族の理解や同意は得られていますか?」
質問の意図: 長期の日本滞在に対する家族の理解があることを確認し、継続的な就労の可能性を評価するため。

6. 【状況別・実践編④】特定技能候補者への質問

特定技能ビザを想定した質問です。技能測定試験の合格状況と、過去の技能実習経験が重要な確認ポイントとなります。

技能・日本語レベルを確認する質問

質問29:「特定技能の技能測定試験と日本語試験は、いつ、どこで合格しましたか?」
質問の意図: 特定技能ビザの基本要件の確認。試験合格証明書の真正性と、対象職種との適合性を確認するため。
質問30:「技能測定試験の合格証明書は、現在お手元にありますか?」
質問の意図: 申請に必要な書類の準備状況を確認し、スムーズな申請手続きを進めるため。
質問31:「日本語能力試験(JLPT)N4レベル以上、または国際交流基金日本語基礎テストに合格していますか?」
質問の意図: 特定技能ビザの日本語要件を満たしているかを確認し、業務遂行に必要なコミュニケーション能力を評価するため。

過去の経歴を確認する質問

質問32:「技能実習生として来日した経験はありますか?その時の職種は何でしたか?」
質問の意図: 技能実習からの移行の場合、職種の関連性が問われるため、実習職種と特定技能職種の適合性を確認する必要があります。
質問33:「技能実習期間中に、法的な問題や実習実施機関との トラブルはありませんでしたか?」
質問の意図: 失踪歴や法令違反がないかを確認し、素行要件に影響する要因を事前に把握するため。
質問34:「母国での関連する職歴や技能についてお聞かせください。」
質問の意図: 特定技能で求められる技能レベルを満たしているかを確認し、業務遂行能力を評価するため。
質問35:「特定技能で働く期間について、どのような希望をお持ちですか?」
質問の意図: 長期的な就労意欲を確認し、企業の人材活用計画との整合性を評価するため。
質問36:「家族の同伴について、どのような希望がありますか?」
質問の意図: 特定技能1号では家族同伴が原則不可のため、この点についての理解と納得を確認するため。

7. 【要注意】コンプライアンス違反になるNG質問集

以下の質問は、職業安定法や男女雇用機会均等法等に違反する可能性があり、人権侵害となるため、絶対に行わないでください。

本籍・出身地に関するNG質問

NG質問37:「あなたの本籍地はどこですか?」
違反理由: 本籍を質問することは、就職差別につながるおそれがあり、公正な採用選考の基本に反します。
NG質問38:「ご両親の出身地はどこですか?」
違反理由: 家族の出身地を質問することは、本人に責任のない事項による判断となり、人権侵害にあたります。

思想・信条・宗教に関するNG質問

NG質問39:「どのような宗教を信仰していますか?」
違反理由: 宗教は憲法で保障されている信教の自由に属する事項であり、採用選考に持ち込むことは基本的人権の侵害となります。
NG質問40:「支持している政党はありますか?」
違反理由: 政治的思想は思想・信条の自由として憲法で保障されており、採用選考で質問することは不適切です。

家族・資産に関するNG質問

NG質問41:「ご両親の職業は何ですか?」
違反理由: 家族の職業は本人の責任でないことがらであり、これを採用基準とすることは不適切です。
NG質問42:「ご家族の収入はどれくらいですか?」
違反理由: 家庭の経済状況は本人の適性・能力と無関係であり、これを判断基準とすることは差別的取扱いとなります。

男女雇用機会均等法に抵触するNG質問

NG質問43:「結婚や出産の予定はありますか?」
違反理由: 性別を理由とした質問は、男女雇用機会均等法の趣旨に違反し、採用選考での差別につながります。
NG質問44:「女性は長く働き続けられない仕事ですが、大丈夫ですか?」
違反理由: 性別を前提とした質問は、男女雇用機会均等法違反であり、性別による差別的取扱いとなります。

外国人に対する不適切な質問

NG質問45:「○○国の方は~というイメージですが、あなたはどうですか?」
違反理由: 国籍による偏見や先入観に基づく質問は、国籍による差別的取扱いにあたり、職業安定法第3条違反となります。
NG質問46:「日本に帰化する予定はありますか?」
違反理由: 国籍に関する本人の自由な選択に関わる質問であり、採用選考には関係のない事項です。

適切な面接を行うためのポイント

  • 応募者の適性・能力のみを基準とした選考を行う
  • 本人に責任のない事項は質問しない
  • 業務遂行に必要な事項のみを確認する
  • 面接官の研修を定期的に実施する

8. まとめ:戦略的な面接が、採用の成功と失敗を分ける

外国人採用面接は、候補者の未来と、企業の未来が交差する重要な場面です。スキルや人柄を見極めると同時に、本記事で紹介したような「ビザ審査」の観点からの質問を行うことで、採用後のリスクを大幅に減らすことができます。

適切な面接質問により、以下の効果が期待できます:

  • ビザ申請の成功率向上:事前に課題を把握し、対策を講じることができる
  • 採用コストの削減:不許可リスクの高い候補者を事前に見極められる
  • コンプライアンス強化:法的リスクを回避し、公正な採用選考を実現
  • 長期的な人材確保:継続的に就労可能な優秀な人材を獲得

重要なのは「予防法務」の発想

問題が発生してから対処するのではなく、採用の初期段階からリスクを予測し、対策を講じることが、真の意味での戦略的採用です。

本記事でご紹介した50の質問を参考に、貴社の採用プロセスをより確実で効果的なものにしていただければと思います。

行政書士しかま事務所の「採用面接・ビザ適合性」診断サポート

行政書士しかま事務所では、企業の外国人採用において、採用面接の段階から関与する「ビザ適合性診断サービス」を提供しています。

具体的なサポート内容

面接質問設計支援

貴社の業種・職種に特化した「面接質問チェックリスト」を作成し、効果的な面接手法をご提案します。

ビザ取得可能性診断

候補者の経歴書類に基づき、オファー前の「ビザ取得可能性」を専門家が診断いたします。

内定通知書アドバイス

内定通知書に記載すべき「停止条件(ビザ取得を条件とする旨)」に関する法的アドバイスを行います。

採用担当者研修

外国人採用の法的知識と実務ノウハウを、貴社の採用担当者にレクチャーいたします。

お問い合わせ・ご相談

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電話:090-3426-1600(平日9:00〜18:00)

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本記事は2025年7月15日時点の情報に基づいて作成されています。法改正等により内容が変更される場合がありますので、最新情報は出入国在留管理庁のウェブサイト等でご確認ください。

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