【顧問先限定公開レベル?】技人国ビザ審査における「事業の安定性・継続性」の具体的な判断基準とは
【顧問先限定公開レベル?】技人国ビザ審査における
「事業の安定性・継続性」の具体的な判断基準とは
この記事を読むとわかること
- 技人国ビザ審査で企業の「安定性・継続性」がなぜ最重要視されるのか
- 入管がチェックする決算書の"本当の"ポイント(赤字・債務超過でも諦めない方法)
- 設立間もない会社・小規模企業がビザ審査をクリアする秘訣
- 「事業計画書」が外国人採用の成否を分ける理由と書き方のコツ
- 審査官が抱く懸念を先読みし、的確に説明・立証するための専門的ノウハウ
技人国ビザ、こんな「会社側の不安」ありませんか?
「うちの会社、設立したばかりだけど外国人社員のビザは取れる?」
「決算が赤字だけど、技人国ビザはもう無理なの?」
「小規模な会社だと、事業の安定性をどうやって証明すればいい?」
「事業計画書って、どこまで具体的に書けば入管は納得するの?」
「入管は会社の何を一番見ているんだろう...?」
1. はじめに:「外国人材の能力」だけでは技人国ビザは取れない!
こんにちは。行政書士しかま事務所の鹿間英樹です。日々、多くの企業様から「優秀な外国人材を採用したいが、技人国ビザの審査が通るか不安」というご相談をいただいております。
多くの企業経営者や人事担当者の方が、外国人本人の学歴や職歴、専門性にばかり注目されがちですが、実際の技人国ビザ審査では、雇用主である企業の「事業の安定性・継続性」が極めて厳しく評価されるという現実があります。
重要な事実
どんなに優秀な外国人材でも、受入れ企業の経営状況や事業の継続性に問題があると判断されれば、ビザの許可は得られません。特に中小企業やスタートアップにとっては、この「企業評価」が最大のハードルとなっています。
本記事では、通常は表に出にくい「顧問先限定公開レベル」の情報も交えながら、入管審査官が企業の何を、どのように見ているのか、そして企業としてどう対策すべきかを、実務経験に基づいて専門的に解説いたします。
2. なぜ?入管が企業の「事業の安定性・継続性」を厳しく審査する理由
出入国在留管理庁(入管)が企業の事業安定性を重視する理由は、外国人が日本で安定的・継続的に就労し、在留資格で定められた活動を行うための基盤が、受入れ企業の健全な経営状態にあるという考え方に基づいています。
入管が懸念するリスク要因
経済的リスク
- • 給与未払いの発生
- • 突然の解雇・雇用不安
- • 社会保険料負担の回避
法的リスク
- • 不法就労への転落
- • 在留資格外活動の発生
- • 労働基準法違反
入管審査官は「本当にその専門業務が継続的に存在するのか」「外国人に適正な処遇を支払い続けられるのか」という観点から、企業の財務状況、事業内容、将来性を総合的に判断しています。
3. 【判断基準1】決算書から読み解く!入管の着眼点と対策
提出する決算書類
企業カテゴリー3・4の場合、直近年度の貸借対照表、損益計算書等の決算文書の提出が必要です。新規事業の場合は事業計画書が代替書類となります。
入管の主なチェックポイント
売上高・利益の推移
安定性、成長性を評価。大幅な変動がある場合はその理由と合理性が問われます。
債務超過の有無
極めてネガティブな要素。ただし、原因と具体的な改善計画、増資予定などを合理的に説明できれば、直ちに不許可となるわけではありません。
財務指標
流動比率、自己資本比率など、短期的な支払い能力と財務体質の健全性を評価。
給与支払い実績
役員報酬・給与手当の支払い実績から、申請外国人の給与支払い能力を判断。
事業内容との整合性
決算内容が、申請外国人が従事する予定の事業と関連しているかを確認。
赤字決算・債務超過の場合の具体的な対策・説明ポイント
4. 【判断基準2】設立間もない・小規模企業の「将来性」の示し方
設立1期目の決算が出ていない、または事業実績が乏しい企業の場合、過去の決算書での評価が困難なため、将来性と実現可能性を具体的に示すことが極めて重要になります。
重視される「事業計画書」
新設企業や小規模企業にとって、事業計画書は「安定性・継続性」をアピールする最重要書類となります。以下の要素を詳細かつ実現可能な形で示すことが不可欠です。
事業の具体性
- • 今後の事業展開計画
- • 収益見込みと根拠
- • 資金計画の詳細
- • 人員計画と役割分担
信頼性の担保
- • 代表者・役員の実績
- • 同種事業での成功体験
- • 業界での人脈・知見
- • 技術的優位性
その他の補足資料
取引関係の証明
主要取引先との契約書、取引見込みを示す資料、発注書、基本合意書など
許認可の取得状況
許認可が必要な事業であれば、その取得状況や申請進捗を明示
事業実態の証明
オフィス賃貸借契約書、設備投資の証明、従業員の雇用実績など
注意:ペーパーカンパニーではないことの証明
小規模であっても、実態のないペーパーカンパニーでないこと、事業を行う明確な意思と準備があることを具体的な資料で示す必要があります。単なる登記だけでは不十分で、実際の事業活動の痕跡を残すことが重要です。
5. 【判断基準3】「事業計画書」が語るべきストーリーと説得力
決算状況が芳しくない企業や新設企業にとって、事業計画書は「安定性・継続性」をアピールする最大のチャンスです。単なる努力目標ではなく、入管審査官を納得させるための戦略的な文書として作成する必要があります。
入管審査官を納得させるためのポイント
1. 事業内容の具体性と新規性
• 市場分析:ターゲット市場の規模、成長性、競合状況の客観的分析
• 差別化要因:既存サービスとの違い、技術的優位性、独自性
• 需要の根拠:市場調査結果、顧客ヒアリング、業界動向データ
2. ターゲット顧客とマーケティング戦略
• 顧客セグメント:具体的な顧客像、ニーズ、購買行動の分析
• 販売チャネル:営業戦略、販売ルート、パートナーシップ
• プロモーション:広告宣伝、PR戦略、認知度向上施策
3. 収支計画の現実性
• 売上予測:根拠のある数値目標、段階的な成長シナリオ
• 経費予測:人件費、家賃、マーケティング費用等の詳細積算
• 利益確保:黒字化時期の明確化、キャッシュフロー計画
4. 資金調達計画
• 必要資金:設備投資、運転資金、予備資金の算定
• 調達手段:自己資金、融資、投資、補助金等の具体的計画
• 返済計画:借入金がある場合の返済スケジュール
5. 外国人材の必要性(最重要)
• なぜ外国人材が必要か:言語能力、技術力、文化的背景の活用方法
• 具体的な業務内容:担当する専門業務の詳細、責任範囲
• 事業への貢献:外国人材により期待される成果、売上向上効果
• 成長ストーリー:外国人材と共に成長する企業像の描写
専門家サポートの価値
行政書士は、入管審査を意識した説得力のある事業計画書の作成をサポートできます。単なる事業計画書ではなく、「ビザ取得のための事業計画書」として、審査官の視点を踏まえた戦略的な文書作成が可能です。
6. 【判断基準4】雇用契約と「本当にその仕事があるのか」という実態
技人国ビザの審査では、雇用契約書の内容が法的要件を満たしているかだけでなく、企業の事業規模や業務内容から見て、その専門的ポジションが本当に必要で、継続的に業務が発生するのかという「実態面」も厳しく審査されます。
雇用契約書のチェックポイント
職務内容の適合性
- • 技人国の専門的業務に該当するか
- • 学歴・職歴との関連性
- • 具体的な業務内容の明記
報酬の適正性
- • 日本人と同等以上の報酬
- • 地域・業界水準との比較
- • 支払い能力の裏付け
「業務の実態」に関する審査ポイント
審査官が疑問を抱くケース
• 事業規模と職種のミスマッチ:従業員5名の小規模企業で専任の翻訳者を雇用する理由
• 業務量の妥当性:本当にフルタイムで専門業務があるのか
• 継続性の疑問:一時的なプロジェクトのための採用ではないか
• 代替可能性:既存の日本人社員や外部委託では対応できないのか
採用理由書で説明すべき事項
7. "安定性・継続性"に懸念がある場合の戦略的アプローチ
赤字決算、債務超過、設立間もない企業など、事業の安定性・継続性に懸念がある場合でも、適切な戦略と準備により、技人国ビザの許可を得ることは可能です。重要なのは、問題を隠すのではなく、積極的に説明し、改善策を示すことです。
積極的な情報開示と説明責任
透明性のある説明戦略
客観的資料による補強
専門家の意見書
- • 税理士による財務分析
- • 公認会計士の意見書
- • 経営コンサルタントの改善提案
外部支援の証明
- • 金融機関からの融資見込証明
- • 親会社からの支援確約書
- • 投資家からの出資意向書
段階的な申請戦略
現実的なアプローチ
財務状況に懸念がある場合、最初から5年や3年の長期在留期間を求めるのではなく、まずは1年間の許可を得て実績を積むという戦略が有効です。
• 短期実績の積み上げ:1年間で事業改善、売上向上を実現
• 信頼関係の構築:入管との継続的なコミュニケーション
• 段階的な期間延長:実績に基づく更新時の期間延長申請
重要な心構え
困難な状況であっても、諦める前に専門家(行政書士)に相談し、あらゆる可能性を検討することが重要です。適切な戦略と準備により、一見不可能に思える状況でも突破口を見つけることができる場合があります。
8. まとめ:企業の「健全性」アピールが外国人採用成功の鍵
技人国ビザ審査における「事業の安定性・継続性」は、外国人本人の能力と同等、あるいはそれ以上に重視される極めて重要な審査項目です。どんなに優秀な外国人材でも、受入れ企業の健全性に疑問があれば、ビザの許可は得られません。
企業が示すべき要素
財務の健全性
決算書、事業計画書を通じた企業の安定性証明
将来性
成長戦略と外国人材活用の明確なビジョン
必要性
外国人材を雇用する合理的かつ継続的な理由
成功のための重要ポイント
特に財務状況に不安のある企業、設立間もない企業、小規模企業の場合、専門家と連携した戦略的な申請準備が成功の鍵となります。適切なアプローチにより、一見困難に思える状況でも、技人国ビザの許可を得ることは十分可能です。
行政書士しかま事務所の企業向けビザコンサルティング
技人国ビザ申請における企業の「事業の安定性・継続性」の立証サポートに豊富な経験と専門知識を有しております
対象企業
- • 決算状況に不安のある企業
- • 設立間もない企業
- • 小規模企業・スタートアップ
- • 初回のビザ申請企業
サポート内容
- • 事業計画書の作成支援
- • 理由書・説明書の戦略的作成
- • 補足資料の選定・提案
- • 申請戦略の策定
こんなご相談をお待ちしています
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