専門学校卒でも技人国ビザは取れる!ただし要注意。「関連性」と「専門性」をどうアピールするかが鍵

専門学校卒でも技人国ビザは取れる!ただし要注意。「関連性」と「専門性」をどうアピールするかが鍵

専門学校卒でも技人国ビザは取れる!
「関連性」と「専門性」をどう立証するか?

読了時間:約12分

日本の専門学校(専門課程)を卒業した外国人留学生が技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザを取得するための「専門性」と「関連性」の具体的な立証方法、審査ポイント、注意点を行政書士が詳しく解説します。

この記事を読むとわかること

  • 専門学校卒で技人国ビザを取得するための「専門士」「高度専門士」の重要性
  • 大学卒とは異なる、専門学校卒の「関連性」審査の厳しさとは?
  • どんな仕事なら専門学校で学んだ専門性が活かせると判断されるか
  • 「関連性」「専門性」をアピールする理由書・採用理由書の書き方
  • 専門学校卒の技人国ビザ申請で失敗しないための重要チェックポイント

専門学校卒の技人国ビザ、こんなことで悩んでいませんか?

「専門学校で学んだけど、本当に技人国ビザは取れるの?」
「自分の専門分野と、この仕事内容は『関連性あり』と認められる?」
「『専門性』って具体的にどうやって証明すればいいの?」
「大学卒の人より不利だって聞いたけど、本当?」
「不許可になったらどうしよう…絶対に失敗したくない!」

1 はじめに:「専門学校卒でも技人国!」の真実と注意点

こんにちは。行政書士しかま事務所https://gyousei-shikama-office.com/)の鹿間英樹です。

日本の専門学校で専門技術・知識を習得した留学生の皆さんが、卒業後に技人国ビザを取得して日本で活躍したいという強い願いを持たれることは、とても素晴らしいことです。その熱意と努力に心から敬意を表します。

まず良いニュースから

「専門学校卒でも技人国ビザは取れる!」これは紛れもない事実です。実際に多くの専門学校卒業生が技人国ビザを取得し、日本で専門性を活かして活躍されています。

しかし、ここで重要なのは、大学卒業生の場合とは異なる、専門学校卒業生特有の審査ポイントと注意点が存在することです。特に「専門課程で学んだ内容と職務内容の関連性」および「業務の専門性」をいかに効果的にアピールするかが、ビザ取得成功の鍵となります。

本記事では、これらの重要なポイントを徹底解説し、皆さんの技人国ビザ取得を成功に導くための具体的な戦略をお伝えします。

2 大前提:「専門士」「高度専門士」の称号がスタートライン

技人国ビザの学歴要件として、専門学校卒業生の場合は、修了した課程が文部科学大臣認定の専門課程であり、「専門士」または「高度専門士」の称号が付与されることが原則的な出発点です。

専門士・高度専門士とは

専門士

  • 修業年限2年以上
  • 課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上
  • 試験等により成績評価を行い、その評価に基づいて課程修了の認定を行っている

高度専門士

  • 修業年限4年以上
  • 課程の修了に必要な総授業時数が3,400時間以上
  • 体系的に教育課程が編成されている
  • 試験等により成績評価を行い、その評価に基づいて課程修了の認定を行っている

重要チェックポイント

自身の卒業課程がこれに該当するか、卒業(見込)証明書等で必ず確認してください。これらの称号が、一定水準以上の専門教育を受けたことの公的な証明となり、技人国ビザ申請の土台となります。

なお、外国人留学生キャリア形成促進プログラムとして認定を受けた学科を修了した者については、認定学科修了証明書の提出により、関連性の審査において一定の配慮がなされる場合があります。

3 なぜ厳しい?専門学校卒の「関連性」審査のポイント

大学卒業(特に4年制大学)の場合と比較して、専門学校卒業生の「学んだ専門性と職務内容の関連性」が、より直接的かつ具体的に審査される傾向にあります。その理由を理解することが重要です。

審査が厳しくなる理由

専門学校教育の特性

専門学校教育は、特定の職業や実務に必要な知識・技術の習得を主目的としているため、その専門性がより直接的に活かされることが期待されます。

大学卒業者との違い

2024年3月の大学卒業者に対する学歴要件の運用柔軟化(広範な知識・能力の評価)が、専門学校卒業生にそのまま同様に適用されるわけではありません。

入管の審査視点

入管は「本当に専門学校で学んだ専門性を活かせる職務なのか」「単に人手不足を補うための採用ではないか」という点を慎重に見極めようとします。

ここがポイント!

専門学校卒業生は、大学卒業生以上に「学んだ専門性と職務内容の直接的な関係性」を明確に証明する必要があります。抽象的な説明では審査を通過できません。

しかし、これは決して「専門学校卒は不利」ということではありません。適切な準備と戦略により、専門性を効果的にアピールすることで、確実にビザ取得は可能です。

4 「専門性」が鍵!認められやすい職務内容とは?(具体例)

専門学校の専門課程で習得した知識・技術が、直接的に活かされる具体的な職務内容である必要があります。ここでは、実際の許可事例と不許可事例を踏まえ、認められやすい職種を詳しく解説します。

認められやすい職種の具体例

IT・プログラミング系

専門課程

IT系専門学校(プログラミング、Webデザイン等)

職務内容

プログラマー、Webデザイナー、システムエンジニア、社内システム構築

許可理由プログラミング等の履修内容が業務に直結

デザイン・クリエイティブ系

専門課程

マンガ・アニメーション科、デザイン科

職務内容

ゲーム開発、キャラクターデザイン、絵コンテ制作、グラフィックデザイナー

許可理由:創作的業務で専攻知識を活用

工学・技術系

専門課程

電気工学科、建築室内設計科、自動車整備科

職務内容

施工図作成、現場監督、建築積算、整備主任者

許可理由:専門知識を要する設計・監督業務

国際・観光・ホスピタリティ系

専門課程

国際コミュニケーション学科、観光・レジャーサービス学科

職務内容

外国人スタッフ管理、ホテルフロント(通訳含む)、顧客満足度分析

許可理由:異文化コミュニケーション知識を活用

美容・ファッション系

専門課程

美容科、デザイン科(服飾)

職務内容

商品企画開発、ビューティーアドバイザー、パタンナー、ファッションコーディネーター

許可理由:美容・デザイン知識を活かした企画・開発業務

認められにくい職種の例

関連性が薄い職種

専門学校で学んだ内容と直接的な関連性が薄い一般事務、販売職(語学力を活かすだけでは不十分)

単純労働・補助作業

職務内容が実質的に単純労働や補助的作業が中心の場合(例:背景美術の色付けのみ、製造ラインでの組立作業)

技能ビザ対象業務

飲食店での調理業務、美容師・ネイリスト(これらは「技能」ビザの範疇)

重要なのは、専門学校で学んだ具体的な科目・実習内容職務で求められる具体的なスキル・知識の間に、明確で直接的な関連性があることを示すことです。

5 最強のアピール術!「関連性」と「専門性」を証明する書類作成

ここが技人国ビザ取得の最重要ポイントです。どんなに適した職種に就いても、その関連性と専門性を入管に理解してもらえなければ許可は得られません。効果的な書類作成のポイントを詳しく解説します。

① 申請人本人作成の「理由書」または「自己申述書」

記載すべき内容

  • 履修内容の具体的記述:主要科目、実習内容、制作物、取得資格等を詳細に記載
  • 直接的な関連性:習得内容が「どの具体的な業務」に「どのように活かせるか」を論理的に説明
  • 熱意とビジョン:なぜその企業で、その仕事がしたいのかという動機

記載例(IT系)

「専門学校では、Java、Python、HTML/CSS、JavaScript等のプログラミング言語を2年間にわたり習得し、Webアプリケーション開発の実習において実際にECサイトを構築しました。貴社での業務では、これらの技術を活用して...」

② 受入れ企業作成の「採用理由書」【特に重要】

記載すべき内容

  • 採用の必要性:なぜ専門学校卒の「この外国人」を採用する必要があるのか
  • 専門性の活用:どの専門知識・技術が、どの具体的業務に不可欠なのか
  • 期待値と計画:現時点での専門性と将来の成長計画

避けるべき表現

  • × 「人手不足のため」
  • × 「日本語ができるから」
  • × 「真面目そうだから」

③ 詳細な「職務内容説明書」(企業作成)

記載すべき内容

  • 業務の具体的リスト:担当予定業務を詳細に列挙
  • 専門性の根拠:各業務が専門知識・技術をどう活用するかを明記
  • 使用ツール・技術:具体的なソフトウェア、技術、専門用語も記載

記載例(デザイン系)

「1. Adobe Illustrator、Photoshopを使用したグラフィックデザイン制作
2. 色彩理論とデザイン原則に基づくブランドイメージ設計
3. DTP技術を活用した印刷物のレイアウト設計...」

④ その他の重要な補足資料

必須書類

  • 成績証明書
  • 卒業(見込)証明書
  • 専門士/高度専門士称号証明書

効果的な補足資料

  • カリキュラム・シラバス
  • 制作物・ポートフォリオ
  • 取得資格証明書
  • インターンシップ証明書

書類作成の秘訣

具体性が何より重要です。「プログラミングを学んだ」ではなく「Java、Python、HTML/CSS、JavaScript を使用したWebアプリケーション開発実習で、ECサイトを構築」というように、具体的な技術名、制作物、実践内容を記載してください。

また、申請人と企業側の記述内容に一貫性を持たせ、相互に補完し合う内容にすることが成功の鍵です。

6 専門学校卒が陥りがちなNGケースと回避策

実際の不許可事例を参考に、専門学校卒業生が特に注意すべきポイントと、その回避策を具体的に解説します。

NGケース1:専門性と職務内容のミスマッチ

不許可事例

声優学科卒業生が、ホテルの通訳・翻訳業務に就こうとした案件

不許可理由:声優学科の専攻内容と通訳・翻訳業務の関連性が認められなかったため

回避策

  • 専攻分野に直結する職種を選ぶ
  • 関連性が薄い場合は実務経験での補完を検討
  • 企業と十分に相談して適切な職務設計を行う

NGケース2:研修名目での長期間非専門業務従事

不許可事例

ホテルサービス科卒業生が、フロント業務予定で採用されたが、最初2年間は研修名目でレストラン配膳・客室清掃に専従する計画

不許可理由:在留期間の大半が非専門業務となるため

回避策

  • 研修期間は3-6ヶ月程度に限定
  • 研修中も専門業務との関連性を保つ
  • 具体的な専門業務への移行計画を明示

NGケース3:業務量・専門性の不足

不許可事例

通訳・翻訳専門学校卒業生が、ビル清掃会社で留学生アルバイトへの通訳及びマニュアル翻訳業務

不許可理由:通訳の必要性が低く、翻訳業務も常勤に値する業務量ではないため

回避策

  • 十分な業務量を確保する
  • 専門性を要する業務の割合を高める
  • 業務の必要性を客観的に説明

NGケース4:在学中の素行不良

不許可事例

出席率70%の専門学校生が、病欠と説明していた期間に資格外活動(アルバイト)に従事していたことが発覚

不許可理由:素行不良と判断されたため

回避策

  • 出席率90%以上を維持
  • 資格外活動許可の遵守
  • 成績優秀を心がける

NGケース5:報酬額の問題

不許可事例

日中通訳翻訳学科卒業生が月17万円で契約書翻訳・商談通訳業務。同じ業務の日本人新卒は月20万円

不許可理由:日本人と同等額以上の報酬とは認められなかったため

回避策

  • 同等業務の日本人と同水準以上の報酬設定
  • 専門職としての適正な給与水準の確保
  • 昇給計画の明示

失敗回避のための重要チェックリスト

申請前チェック

  • ✅ 専攻と職務の直接的関連性はあるか
  • ✅ 十分な業務量・専門性があるか
  • ✅ 適正な報酬水準か
  • ✅ 出席率・成績は良好か

書類作成チェック

  • ✅ 具体的で詳細な記述か
  • ✅ 申請人と企業の記述は一貫しているか
  • ✅ 研修期間は適切か
  • ✅ 補足資料は充実しているか

7 まとめ:正しい理解と準備で、専門学校からのキャリアを切り拓く

ここまで、専門学校卒業生が技人国ビザを取得するための重要なポイントを詳しく解説してきました。最後に、成功のための要点をまとめます。

技人国ビザ取得成功のための5つの鍵

1

専門士・高度専門士の称号確保

文部科学大臣認定の専門課程修了が大前提。必ず証明書で確認を。

2

直接的で具体的な関連性の立証

専攻科目と職務内容の関連性を、抽象的ではなく具体的に説明する。

3

十分な専門性を要する業務設計

単純作業や補助業務ではなく、専門知識・技術を活用する主体的業務。

4

説得力のある書類作成

理由書、採用理由書、職務内容説明書の一貫性と具体性を重視。

5

企業との綿密な連携

採用企業がビザ要件を正しく理解し、適切な書類準備に協力してもらう。

専門学校卒業生の皆さんへのメッセージ

専門学校で培った専門性は、確実にあなたの武器となります。大学卒業生と比較して審査が厳しいのは事実ですが、それは「不可能」を意味するものではありません。

重要なのは、正しい知識と適切な準備です。専門性と職務内容の関連性を客観的な資料と説得力のある説明で入管に理解してもらえれば、必ず道は開けます。

皆さんが日本で専門性を活かし、素晴らしいキャリアを築けることを心から願っています。

不安な場合は専門家への相談を

技人国ビザの審査は複雑で、個別の状況により戦略が大きく異なります。「自分のケースは大丈夫だろうか?」「書類の書き方がわからない」「企業にどう協力してもらえばいいか」など、少しでも不安がある場合は、早めに専門家(行政書士)に相談することをお勧めします。

8 行政書士しかま事務所の専門学校卒ビザサポート

行政書士しかま事務所は、専門学校卒業生の技人国ビザ申請、特に「専門性と職務内容の関連性」の立証サポートに豊富な経験と最新の運用知識を有しています。

専門学校卒業生向けサポート

  • 「自分の専門課程でこの仕事は大丈夫?」という関連性の判断
  • 効果的な理由書・自己申述書の作成指導
  • 専門性を最大限アピールする戦略立案
  • 書類作成から申請手続きまでの一貫サポート

採用企業向けサポート

  • 説得力のある採用理由書作成支援
  • 職務内容設計と説明書作成アドバイス
  • 研修計画の適切な設定方法指導
  • ビザ要件を満たす雇用条件の設計支援

当事務所の強み

最新情報に基づく戦略

2025年最新の審査基準と運用実態を把握

個別対応の充実

一人ひとりの状況に合わせたオーダーメイドサポート

豊富な許可実績

専門学校卒業生の技人国ビザ取得実績多数

情報の時点:2025年5月30日現在

免責事項:本記事の内容は2025年5月30日時点の法令・運用情報に基づいており、実際の申請に際しては個別の状況により結果が異なる場合があります。正確な情報確認と適切な申請手続きについては、専門家にご相談されることをお勧めします。本記事の情報を利用したことによる一切の損害について、当事務所では責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

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