【稼げても違法?】外国人 Uber Eats・ライブ配信副業の落とし穴|技人国・留学ビザの境界線
【稼げても違法?】外国人 Uber Eats・ライブ配信副業の落とし穴|技人国・留学ビザの境界線
この記事を読むとわかること
- Uber Eatsやライブ配信等の副業が、あなたのビザで「就労」と見なされる基準
- 「資格外活動許可」でどこまでの副業が許されるのか
- 入管が「不法就労」と判断する際の隠れたポイント(口座、継続性など)
- バレたらどうなる?在留資格への影響と法的リスク
- 副業を始める前に必ず確認すべきこと
こんな副業、本当に大丈夫?
- 「留学ビザでUber Eatsやってる友達いるけど、私も平気?」
- 「技人国ビザだけど、趣味のゲーム実況で収益が出たらまずい?」
- 「個人のネットショップで少し売れたくらいなら、申告しなくてもバレない?」
- 「ライブ配信の『投げ銭』って、報酬だから就労になるの?」
- 「収益の振込先を海外口座にすれば問題ないって本当?」
これらの疑問、全て重大な在留資格違反につながる可能性があります。本記事で詳しく解説いたします。
目次
1. はじめに:「手軽な副業」に潜むビザの罠
こんにちは。行政書士しかま事務所の鹿間英樹です。当事務所では、外国人の在留資格に関する複雑な問題について、専門的なアドバイスとサポートを提供しております(https://gyousei-shikama-office.com/)。
近年、スマートフォン一つで始められるUber Eats配達、YouTube動画投稿、TikTokライブ配信、そして個人ECサイト運営など、外国人の方でも手軽に始められる副業が急速に普及しています。特に技術・人文知識・国際業務(以下「技人国」)や留学の在留資格をお持ちの方から、「これらの活動は自分のビザで問題ないのか?」というご相談を数多くいただいております。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。これらの「手軽に始められる副業」が、果たして自身の持つ在留資格で許可されている「就労活動」の範囲内なのか、安易に判断してしまうと、「不法就労」として在留資格を失う深刻なリスクが潜んでいるのです。
本記事では、これらの新しい形の副業と在留資格の関係について、入管がどのような点を重視して判断しているのか、そして外国人の方と雇用する企業の双方が知っておくべき注意点を、行政書士としての専門的な視点から詳しく解説いたします。
2. 基本ルール:「在留資格」と「就労活動」の原則
日本に在留する外国人は、許可された在留資格の範囲内でのみ活動(就労含む)が認められるという大原則があります。これは出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条に明確に規定されており、違反すると重い処罰の対象となります。
「就労活動」とは何か?
入管法上の「就労活動」とは、一般的に報酬を受ける目的で行われる継続的・反復的な活動と解釈されています。重要なのは以下の要素です
- 報酬性:金銭その他の対価を受け取ること
- 継続性:一時的ではなく、定期的・反復的に行うこと
- 事業性:単なる趣味の延長ではなく、事業としての体裁があること
「資格外活動許可」は、現在持っている在留資格の範囲外の活動で収入を得たい場合に必要な許可です。ただし、この許可にも厳格な条件があり、許可の範囲を超える活動は原則として禁止されています。
重要な注意点
「少しの収入だから大丈夫」「趣味の延長だから問題ない」という考えは危険です。入管は活動の性質と継続性を総合的に判断しており、金額の多寡だけで判断されるものではありません。
3. ケーススタディ(1):技人国ビザでUber Eats・ライブ配信・YouTube・EC運営はOK?
技人国ビザの活動範囲の再確認
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、大学等で修得した専門的知識を活用する業務に限定されています。具体的には、エンジニア、通訳・翻訳、経理、マーケティング、貿易業務などの専門的・技術的業務です。
各副業の法的位置づけ
Uber Eats配達
技人国ビザの活動範囲外と判断される可能性が極めて高い活動です。理由
- 専門的知識を必要としない単純労働と見なされる
- 資格外活動許可の対象にもなりにくい
- 継続的に行えば確実に資格外活動違反となる
YouTube等の動画投稿・ライブ配信による広告収入・投げ銭
活動の「内容」によって判断が分かれる複雑な領域です
- 専門分野関連の場合:自身の専門分野(例:ITエンジニアが技術解説動画を投稿)であれば、本業との関連性から議論の余地はありますが、一般的には別の「事業活動」と見なされる可能性が高い
- 趣味・娯楽系の場合:ゲーム実況、日常系動画等は技人国の範囲外
- 継続的収益の場合:趣味の延長でも、反復継続して収益を得ていれば「就労」と判断されやすい
入管が重視するポイント
- 収益が振り込まれる口座:定期的な収益の受取口座は調査対象
- 活動の継続性・事業性:一時的な活動か事業としての活動か
- 投稿頻度と収益構造:システマティックな収益化を行っているか
個人ECサイト運営
技人国ビザの範囲外かつ資格外活動許可の範囲を超える可能性が非常に高い活動です
- 商品選定、仕入れ、販売、顧客対応など総合的な事業運営活動
- 個人事業主としての側面が強く、別途「経営・管理」ビザが必要となるケース
- 継続的な事業運営は明確な資格外活動違反
4. ケーススタディ(2):留学ビザ(資格外活動許可あり)での上記活動の限界
資格外活動許可の原則
- 時間制限:週28時間以内
- 業種制限:風俗営業等でないこと
- 学業優先:本来の留学目的を阻害しないこと
各活動の留学ビザでの取扱い
Uber Eats配達
時間内であれば「包括的許可」の範囲内で行える可能性はありますが、以下の注意点があります
- 学業との両立:配達時間が学業を妨げていないか
- 事故リスク:事故時の責任や保険の問題
- 個人事業主の側面:雇用関係ではない働き方への入管の視点
- 時間管理:自己申告による時間管理の困難さ
YouTube等の動画投稿・ライブ配信
時間制限の範囲内であっても、以下の理由で問題となる可能性があります
- 事業性の高まり:単なるアルバイトとは見なされず、本来の「留学」目的を逸脱していると判断されるリスク
- 継続的高額収益:学費・生活費を大幅に上回る収益は要注意
- 時間計測の困難:動画制作・編集時間の正確な把握が困難
- 個別許可の対象外:現在、YouTuber等の職種は個別許可取得不可(2025年5月現在)
個人ECサイト運営
資格外活動許可の範囲を逸脱する可能性が非常に高い活動です
- 個人事業主としての活動となり、雇用関係のアルバイトとは性質が異なる
- 事業運営に要する時間の正確な計測が事実上不可能
- 学業優先の原則に反する可能性が高い
5. 入管はここを見る!「就労」か否かを判断する"隠れた"基準
入管の審査実務において、以下の要素が「就労活動」か否かの判断に大きく影響します。これらは法令上明文化されていない部分もありますが、実際の審査で重視される重要なポイントです。
① 報酬発生の有無とその性質
- 無報酬のボランティア活動との明確な区別
- 対価性のある収入かどうか
- 収益の性質(広告収入、投げ銭、販売収益等)
② 収益が振り込まれる口座
- 国内外問わず、定期的な収益の受け皿
- 振込履歴は重要な証拠となる
- 海外口座でも追跡可能
③ 活動の継続性・反復性
- 一時的な活動ではなく継続的に実施
- 定期的なスケジュールの有無
- 将来継続する意思の存在
④ 事業性の有無
- 屋号の使用や事業届の提出
- 広告宣伝活動の実施
- 在庫管理、顧客対応等の事業体制
⑤ 活動時間・頻度
- 本業(学業)とのバランス
- 副業に割く時間の割合
- 深夜・早朝等の活動時間帯
⑥ 社会通念
- 一般的に「仕事」と認識される活動か
- 「ビジネス」としての体裁があるか
- 社会的な認知度と評価
重要な認識
これらの基準は総合的に判断されます。「時間が短いから」「収入が少ないから」という単一の要素だけでは安全とは言えません。特に、継続性と事業性が認められる場合、金額の多寡に関わらず「就労活動」と判断される可能性が高くなります。
6. バレたらどうなる?資格外活動違反・不法就労のリスク
資格外活動違反・不法就労が発覚した場合、以下のような深刻な法的リスクが生じます。令和5年の入管法改正により、罰則も強化されています。
在留資格への直接的影響
- 在留資格の更新不許可:次回更新時に不許可となり、日本に滞在できなくなる
- 在留資格の変更不許可:より良い在留資格への変更が認められない
- 在留資格の取消し:現在の在留資格が取り消され、即座に帰国準備に入る必要
退去強制(強制送還)
重大な資格外活動違反の場合、退去強制手続きの対象となります
- 強制的に日本から退去させられる
- 上陸拒否期間:原則5年間(場合によっては10年間)
- この期間中は日本への入国が一切認められない
刑事罰(令和5年改正で強化)
外国人本人への罰則
- 不法就労:3年以下の懲役もしくは禁錮、または300万円以下の罰金
- 資格外活動:1年以下の懲役もしくは禁錮、または200万円以下の罰金
雇用主への罰則(不法就労助長罪)
- 改正前:3年以下の懲役もしくは禁錮、または300万円以下の罰金
- 改正後:5年以下の懲役もしくは禁錮、または500万円以下の罰金(併科可能)
将来への長期的影響
- ブラックリスト登録:入管のデータベースに違反歴が永続的に記録
- 将来のビザ申請への悪影響:永住権、帰化申請等が著しく困難に
- 信用失墜:就職、転職、住宅確保等の社会生活全般への影響
- 家族への影響:家族の在留資格にも悪影響を及ぼす可能性
「バレないだろう」は最も危険な考え方
「少しだけなら」「友達もやっているから」「バレないだろう」という安易な考えは極めて危険です。入管の調査能力は年々向上しており、以下の方法で発覚するケースが増えています
- 税務署との情報共有による収入の把握
- SNS等での活動状況の監視
- 通報による発覚
- 在留資格更新・変更時の詳細審査
7. 副業を考える前に!必ず確認すべきことと専門家への相談
安全に副業を行うため、以下のチェックポイントを必ず確認し、疑問がある場合は専門家に相談することを強く推奨します。
事前チェックリスト
在留カードの記載内容と、その在留資格で認められる具体的な活動内容を確認
許可の種類(包括・個別)、時間制限、業種制限等の詳細条件
継続性、事業性、報酬性の有無を第三者の視点で評価
会社員の場合、副業が許可されているか、申告義務の有無
確定申告の必要性、住民税の取扱い等
専門家相談のタイミング
以下のような場合は、活動を開始する前に必ず専門家に相談することをお勧めします
- 「これは大丈夫かな?」と少しでも疑問に思った場合
- 継続的な収益が見込まれる活動を始める場合
- 既存の活動で予想以上の収益が発生している場合
- 複数の副業を組み合わせて行う予定の場合
- 事業的な色彩が強い活動を検討している場合
相談先の選択肢
出入国在留管理局
各地方出入国在留管理局の相談窓口で、資格外活動に関する一般的な質問が可能
行政書士
在留資格の専門家として、個別具体的な状況に応じた詳細なアドバイスが可能
「知らなかった」では済まされない
入管法違反に対して「知らなかった」「理解していなかった」という弁明は、法的には認められません。外国人として日本に滞在する以上、自身の在留資格に関するルールを正確に理解し、遵守する義務があります。不明な点は必ず事前に確認し、安全第一で行動することが重要です。
8. まとめ:賢くルールを守って、日本での生活を豊かに
YouTube、ライブ配信、Uber Eats、個人ECサイト運営など、新しい働き方や副業に関心を持つことは、現代社会において自然なことです。これらの活動を通じて経済的な豊かさや自己実現を求める気持ちは十分に理解できます。
しかし、外国人として日本に滞在する皆様にとっては、どのような活動であっても在留資格のルールが最優先されるべきであることを改めて強調いたします。一時的な経済的利益のために、長期的な日本での生活基盤を失うリスクを負うことは決して賢明ではありません。
賢明な判断のための指針
- 疑わしい活動は避ける:「グレーゾーン」と思われる活動は行わない
- 事前確認を徹底:新しい活動を始める前に必ず専門家に相談
- 継続的な学習:法改正や運用変更に関する情報を定期的に確認
- 記録の保持:活動内容、時間、収入等の詳細な記録を保持
- 透明性の維持:隠れて行うのではなく、オープンで透明な活動を心がける
適法な範囲での活動であれば、日本での生活をより豊かにし、将来への可能性を広げることは十分可能です。重要なのは、正しい知識に基づいた賢明な判断を行うことです。
最後に
皆様が日本での生活において、法的なトラブルに巻き込まれることなく、安心して目標に向かって努力できる環境を整えることが、私たち専門家の使命だと考えております。どのような小さな疑問でも遠慮なくご相談ください。皆様の日本での成功を心より応援しております。
行政書士しかま事務所の在留資格コンサルティング
こんなお悩みはありませんか?
- 「この副業は自分のビザで問題ないか?」
- 「資格外活動許可の範囲はどこまで?」
- 「もし違反してしまったらどうすれば…」
- 「在留資格の更新で不利にならないか心配」
- 「適法に事業を始めたいがどうすれば?」
専門的サポート
- • 在留資格の詳細分析と活動可能範囲の明確化
- • 資格外活動許可申請のサポート
- • 在留資格変更・更新手続きの支援
- • 法令違反リスクの事前評価
安心の実績
- • 豊富な在留資格手続き実績
- • 最新の法改正・運用変更への対応
- • 個別事情に応じたオーダーメイド相談
- • アフターサポートも充実
あなたの日本での活動が常に適法であるよう、専門家が的確にサポートします。
副業に関するビザの不安は、お気軽にご相談ください。
お電話でのご相談も承っております
【免責事項・情報の時点】
本記事の内容は2025年5月24日時点の出入国管理及び難民認定法、関連政省令、出入国在留管理庁の運用基準等に基づいて作成されています。法令の改正や運用の変更により内容が変わる可能性があります。個別具体的な案件については、必ず最新の法令等を確認の上、専門家にご相談ください。本記事の内容に基づく行動により生じた損害について、当事務所では一切の責任を負いかねます。
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