建設業許可についての全て(東京都)

建設業を営む上で、許可取得は事業の信頼性を示す不可欠なステップです。以下は、建設業許可取得のプロセスを理解しやすくまとめたものです。

↓動画解説はこちらから↓(AIアバター行政書士の鹿間英樹が説明しています。)

建設業許可とは?

建設業許可とは、建設工事を請け負う事業を行うために必要な国または地方公共団体の許可のことです。この許可を取得することで、公的な信頼性を得られ、大規模な工事の入札に参加することが可能になります。

建設業許可の要件と申請方法は、都道府県によって若干異なる場合がありますが、ここでは東京都の場合を例に取り上げます。建設業許可を得るためには、法律で定められた一定の要件を満たす必要があります。

許可の種類

  • 国土交通大臣許可 or 知事許可: 事業の規模や活動範囲に応じて、どちらの許可が適しているかを判断します。

大臣許可と知事許可の違いは何ですか?

大臣許可は、2つ以上の都道府県に営業所を設置している場合に必要です。

1つの都道府県のみに建設業の営業所がある場合は知事許可に該当します。この区分は建設業の営業所に関してであり、建設工事場所には制限はありません。

有効期限は何年ですか?

建設業許可の有効期間は5年です。期限が切れる前に更新手続きすることで継続できますが、許可満了の30日前までに更新の申請を行わないと許可は失効してしまいます。期限前に更新手続きを行いましょう。

許可の区分

  • 一般建設業特定建設業: 下請け契約の金額により、どちらのカテゴリに該当するかを判断します。

一般建設業

以下のいずれかに該当すること

  • 自己資本が500万円以上であること
  • 500万円以上の資金調達能力を有すること
  • 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

特定建設業

以下のすべてに該当すること

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金の額が2,000万円以上あり、自己資本の額が4,000万円以上であること

ある程度の自己資本が求められるため、よく確認しておきましょう。

許可要件の確認(東京都)

  1. 法人または個人事業主の事業として建設業を営むこと。
  2. 主任技術者の配置: 建設業の許可を受けようとする業種ごとに、必要な資格や経験を有する主任技術者を配置する必要があります。
  3. 資本金または出資金の要件: 法人の場合は資本金が500万円以上、個人の場合は出資金が500万円以上の要件があります(一部業種を除く)。
  4. 経営の健全性: 財務状況が良好であること、また経営に関する事項が適切に管理されていること。
  5. 過去の違法行為のないこと: 建設業法に違反する行為がないことや、暴力団等の反社会的勢力との関係がないこと。

申請に必要な書類(東京都)

  1. 建設業許可申請書
  2. 会社概要書
  3. 役員一覧表(法人の場合)
  4. 財務諸表(最近の決算書類)
  5. 主任技術者の経歴書及び資格証明書
  6. 犯罪歴のないことを証明する書類
  7. その他、都道府県によって求められる書類

申請手順

  1. 書類の準備: 上記の書類を揃えます。
  2. 申請書の提出: 必要な書類を東京都の指定する場所(例えば、都の建設局など)に提出します。
  3. 審査: 提出された書類が審査されます。この過程で追加資料の提出を求められることがあります。
  4. 許可の発行: 審査を通過すると、建設業許可証が発行されます。

注意点

  • 審査期間: 申請から許可証の発行まで数ヶ月かかることがあります。申請は事前に計画的に行ってください。
  • 申請書類の正確性: 申請書類には正確な情報を記入し、必要な書類は適切に準備してください。不備があると申請が遅れる原因となります。

東京都における建設業許可の要件と申請方法は、上記の通りです。しかし、細かな要件や手続きの詳細は変更される可能性があるため、申請前には必ず東京都の公式サイトや関連部署に最新の情報を確認することをお勧めします。

許可を取得するメリット

  • 信頼性の向上: 許可を取得することで、法規を遵守している信頼できる事業者として認知されます。
  • 事業機会の拡大: 公共工事の入札に参加できるようになり、事業の幅が広がります。
  • 企業イメージの向上: 許可取得は企業の信頼性とプロフェッショナリズムを示すものとして、顧客や取引先からの評価が高まります。

許可申請のプロセス

  1. 業種の選定: 建設業許可には、土木工事業、建築工事業など29の業種があります。事業内容に合った業種を選定します。
  2. 必要書類の準備: 申請には、事業内容の説明、財務諸表、技術者の資格情報など、多数の書類が必要です。
  3. 主任技術者の選定: 許可申請には、指定された業種ごとに主任技術者を設置する必要があります。この人物は、技術的な知識と経験を有する必要があります。
  4. 申請: 全ての書類を準備した後、所轄の都道府県知事または指定都市の市長へ申請を行います。

注意すべきポイント

  • 申請書類の正確性: 申請書類は非常に厳格にチェックされます。間違いや不備があると、申請が却下される可能性があります。
  • 経営事項審査(経審): 経営事項審査は、企業の経営状態や技術力を評価するものです。高い評価を受けることで、より大きな案件の入札に参加できるようになります。
  • 更新: 建設業許可は更新が必要です。有効期間を過ぎると、新たに申請し直さなければなりません。

建設業許可の29業種

建設業許可制度における29の業種は、事業者が特定の工事を行う上での専門性と能力を示します。これらは以下の通りです。

業種名概要
土木工事業道路、橋梁、トンネル、ダムなどの土木構造物の建設
建築工事業建物の建設
大工工事業木造建物の建設
屋根工事業屋根の葺き替え、修理
板金工事業ダクト、屋根、外壁などの板金工事
タイル・レンガ・ブロック工事業タイル、レンガ、ブロックの壁や床の工事
鋼構造物工事業鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの鋼構造物の建設
鉄筋工事業鉄筋の加工、組立て
塗装工事業建物の内外壁、鉄骨などの塗装
防水工事業建物の屋上、外壁、地下などの防水工事
内装仕上工事業壁、床、天井などの内装工事
機械器具設置工事業空調設備、電気設備、衛生設備などの設置工事
電気工事業電灯、動力、通信などの電気工事
情報通信工事業情報通信設備の工事
管工事業水道管、排水管、ガス管などの管工事
熱絶縁工事業建物の断熱工事
防音・防振工事業建物の防音、防振工事
解体工事業建物の解体工事
とび・土工工事業足場の組立て、土木工事の補助作業
井戸工事業井戸の掘削、修理
その他の建設工事業上記以外の建設工事
土壌改良工事業土壌の改良工事
造園工事業庭園、公園などの造園工事
建具工事業ドア、窓などの建具の製作、設置
石工事業石材の加工、施工
しゅんせつ工事業河川、港湾などのしゅんせつ工事
水道施設工事業水道施設の建設、修理
測量業土地、建物の測量
ほ装工事業(保温・保冷工事業)保温・保冷工事

これらの業種は、建設業の多様性と専門分野の幅広さを反映しています。事業者は自社の事業内容に適合する業種で許可を申請することで、その専門分野での事業運営が認められます。

経営事項審査(経審)について

経営事項審査(経審)は、建設業者の経営の健全性や技術力、そして経営の安定性を評価するための制度です。この審査を通過することで、事業者はその信頼性と経営能力が公的に認められ、大規模なプロジェクトへの参加資格など、事業の大きなチャンスを得ることができます。経審は主に次の三つの基準で評価されます:

  • 財務状況: 財務健全性や資金繰りの状況。
  • 技術力: 技術者の資格や経験、過去の実績など。
  • 経営の安定性: 人材管理、労務安定性、適正な受注活動の実施など。

経審を通過することは、事業者にとって、自社の経営基盤がしっかりしている証明になり、信頼性の向上に繋がります。

主任技術者と専任技術者の違い

建設業許可申請に際して重要な役割を担うのが、主任技術者と専任技術者です。これら二つの役職の主な違いは、その職務範囲と責任にあります。

役割内容責任範囲
主任技術者工事全体の技術的指導と監督プロジェクト全体の技術的な責任
専任技術者特定の工事に対する技術的な知見と専門性の提供特定の工事や作業の監督

簡単に言えば、主任技術者は工事全体の技術的な監督を行い、専任技術者は特定の工事分野における専門的な知識と技術を提供する役割を担います。これにより、建設プロジェクトが高い品質と安全性を確保しながら進行することが保証されます。

まとめ

建設業許可の取得は、建設事業を成功させるための第一歩です。複雑に見えるプロセスも、一歩一歩丁寧に進めれば乗り越えられます。この記事が、建設業許可の概要と申請プロセスの理解の助けとなれば幸いです。

許可申請の過程は、確かに難しいかもしれませんが、事前にしっかりと準備をしておけば、許可取得ができます。


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